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創作意欲はリビドーから生まれる

漫画『重版出来!』で、編集者の五百旗頭さんが創作の原動力となるリビドー(性的衝動)について語る場面がある。

漫画が手元にないのでうろ覚えだけれど、登場人物たちの後ろに小さく、「パンチラ描かせろ!」と叫んでいる架空の漫画家が描かれていた。

……わかる。

私は絵を描けないしパンチラにも興味がないけれど、「これを書かせろ!」の気持ちはとてもわかる。

ほら、萌えというかフェチというか、「こういうキャラや関係性が悶えるほど好き!」っていうの、あるでしょう。

私はベタなところだと、幼なじみ設定や、明るいけど実は闇が深い主人公の友達(関西弁なら更によい)などがツボ。基礎教養ですね。

ちょっと変則的なところだと、思慮深いギャルや、恋愛以外で精神的に深く結びついた関係性に萌える。

あと、主人公の一人称で語られる物語で、主人公が恋愛感情を自覚できず、読者が「それ恋だって!」って突っ込みたくなるやつ……などもたまらなく好き。

そういう妄想が捗りすぎたとき、それを小説として書いてみたくなる。

たとえば大昔に書いた『四月ばかの場所』は、「皮肉屋の男と苛烈な女の、甘さのない会話を書きたい」という思いが原点だった。

あと、「痛々しくてモテない異性を上から目線でばかにしつつハマってしまうクズな恋」もかなりツボなので、それらを掛け合わせた。

パンチラ描かせろ的に言うなら、「私の萌えを詰めこんだ物語を書かせろ!」だ。

これをリビドーと言わずしてなんというんだろう。

以前も書いたが、子供の頃から妄想でストーリーを作っていた。

この記事について、「私もこういう妄想してた!」という声を多数いただいた。

そうでしょうとも。

敵のアジト(倉庫)で手足を縛られて監禁されてると扉がギギギ……と開き、逆光で顔がわからない誰かが立っていて、足音とともに近づいてきたのはヒロインを助け出しにきた小栗旬、とか。

「いつから気づいてたんですか? 私が犯人だと」と聞かれて、「……最初に会ったときからです」と濡れた瞳で訥々と語りだす井浦新とか。

みんなも、日々そういうことを考えてるんでしょう?

創作意欲って大層なものじゃなくて、こういうところから生まれるんだと思う。

とはいえ、小説を書く難しさに挫けて、最近はもっぱら妄想だけで済ませているのだけれど。

リビドーを作品に仕立て上げられるだけの、精神力と筆力がほしい。


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