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短編小説

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一話完結の短編小説をまとめました。長編はそれぞれマガジンにまとめてあります。もっと短い400字小説は「400字小説」マガジンに入っています。
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記事一覧

ボタンを掛け違えたのは誰だ?

私この神社の神なんですけど、一年で一番忙しいのって実は神無月なんですね。 神無月に出雲大…

吉玉サキ
5年前
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ふられたほうが楽なのは知っている

先日も書いたのですが、林伸次さんの「恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。」がす…

吉玉サキ
5年前
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中央線 #金曜ビター倶楽部

中央線に、会った。 中央線は朱色のトレーナーを着ていた。そのトレーナーがもう少し黄みがか…

吉玉サキ
5年前
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雨男

二十歳の頃に書いた小説が出てきたので公開します。 ◇ トレイを拭きながら外を眺める。 通…

吉玉サキ
5年前
30

ブラック企業勤めの神様

私この神社の神なんですけど、神無月は出雲大社に出向いて男女の縁を決めるんですね。 これが…

吉玉サキ
4年前
52

おやすみなさい

ベッドに入ってから眠りに就くまでの間、君は何を考える? 僕は毎日、ある場面を想像する。そ…

吉玉サキ
4年前
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少女

今日、駅の階段に頬をつけてみました。 階段は埃っぽく冷たく、しんなりとした匂いがしました。 あたくしは目を閉じ、ここが駅ではなく、夏の和室だと想像しました。 あたくしは、畳に頬をくっつけています。その部屋は夏だというのにひんやりと涼しく、薄暗いのです。簾をめくると、窓の外の世界は馬鹿げて眩しく暑いのですが、あたくしの部屋は蝉の声すら聴こえません。 この部屋にはテーブルがひとつあるきりです。テーブルの上には金魚鉢がひとつあるきり。金魚鉢の中には金魚が一匹泳いでいるきり。

グッバイ、ママ

あなたの飼い主を殺したの。 死体が見つかるのは時間の問題だから、私もこの手紙を書き終えた…

吉玉サキ
4年前
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強がりビデオ

あの頃、まだこの街に話し相手のいなかった僕は、自分の中に蓄積された言葉が溢れ返りそうにな…

吉玉サキ
4年前
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