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新型コロナ感染者 家族側の心境 その3~ICUで面会できた時のこと~

Yoshida Kenの娘です。
今回は、父と面会した日前後のことを書きます。

父がICUに入り、危険な状態だと言われてから2日。
病院からは人工呼吸器になるという電話も入らず、
父本人からも血液検査の結果は良くなっていると聞いたこともあり、
このまま良くなってくれれば、と少し希望が見えていました。

それがその2日後、
肝臓の数値がかなり悪くなっていて、
この土日が山場だといわれたと、母から連絡があったのです。

ICUに入って5日。
時々電話をすると、うつ伏せのためかとても苦しそうでした。
たくさんの管に繋がれて、苦しい思いをしている父を思うと、
いっその事、意識を飛ばした人工呼吸の方が本人にとっていいのではないか
と縁起でもないことが頭を過ったりしました。

それでも、今自分にできることをしようと、
まずは息子と一緒に父を励ます手紙を書きました。
息子はまだ字が書けないので、一緒にクレヨンを持って、
シールを貼ってもらって賑やかなお手紙に。

そして、元気ができるようにといくつか写真を用意しました。
私のお気に入りの、父と母のツーショット写真。

その他に、父には渡していませんが、
毎日折り紙で折り鶴を折ることにしました。
千羽鶴には到底届かない数ですが、
不安になったとき手先を動かすと落ち着きました。

翌日、とりあえず行ってみようと
手紙や写真をICUで受け取ってもらえるかわからないまま
病院に向かっていました。
途中、父から「アイスノンを買ってきてほしい」と頼まれたときは、
渡しに行ってもよいことが分かって嬉しかったです。

病院につくと、看護士さんが待っていてくれて、
「面会されていきますか?!
 さっき先生に確認したら面会OKですって!!」
と!!
もちろん即答でYesです!!
前日までは、手紙や写真を渡してもよいのかすらわからなかったのに、
まさか面会までできるとは…!!
看護士さんと先生のご配慮は本当にうれしかったです。

面会で驚いたのが…
コロナ患者と面会するには防護服を着るイメージがあったのですが、
私は特に何も防護せず、普段着のままICUに入れたことです。
私だけではなく、看護士さんもみなさん普通の白衣姿で、
各個室の前に小部屋のような1畳ほどのスペースがあり、
そこで防護服に着替えるようでした。

私が行った日はたまたま、父の隣の病室が空いていて
その部屋からガラス越しに父と会うことができました。
(後日、その病室にも患者さんが入ったとのことで、
 本当にこの日は運が良かったようです!)

父はうつ伏せでテレビを見ているようでした。
防音がしっかりしているガラスだったので、
ガラス越し、電話で会話を少しだけしました。
同じ電話でも、実際に対面して話すのは、
テレビ電話とは違って…うまく言い表せないけど、
「そこに居る」というのがいつもと違う嬉しさがありました。

それに、ICUは私が思っていたより広くて開放的で、
窓も大きくて、天気や時間も感じられる空間でした。
実際にどんなところにいるのかを見ることで、心配が1つ減ったような気持ちでした。
何よりも、看護士さんがとても明るく接してくれて、
こんなにも恵まれた環境の中で父は頑張っているのだなぁと、
前向きになることができたのです。

手紙や写真も快く受け取ってくれて、渡すことができました。
短い面会でしたが、本当に来てよかったと思いました。

その後、お墓参りに行き、
お墓をきれいにして、父の母(私の祖母)にお願いをしました。
母も行きたがっていたけれど、この時、隔離施設に入院中。
家族の思いを背負っての墓参りでした。


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