しょうへん

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ノート

9つの掌編と9つの楽曲 +4

掌編は、いつも、3分ほどの音楽のようにつくりたいと思っている。 マガジン「しょうへん」に収めている9つの掌編。それぞれの小説の最後には、それぞれ...

ホワイトアウト・ルーム

あなたは窓際の壁にもたれて、外の風景をながめている。とても晴れた日の昼時だ。気持ちのいい世界には気持ちのいい気分が広がっている。あたたかな空気...

「紅い草」 *翻訳*小説*掌編

雨が降っていた。まだ、列車はやってこない。駅舎には調子っぱずれのピアノの音色がひびいている。古い、そしてとても小さな駅だった。赤い傘をさした女...

「気づいてないかも」  *翻訳*小説*掌編

ふいに、助手席のクリールが、 「あ」  と、声をあげた。自分でも意外なくらい甲高い声を出してしまったのに驚いたのか、クリールはあわててて左手で口...

三 タイムマシーン

「どうすればいいの?」  当時、まだ十歳だった僕は隣に正座する母の耳元でそう尋ねた。小声で言ったつもりだったが、その声は部屋の中を必要以上に一...

緑紫色の苔を飼っている

横断歩道で、ぼんやりとしていたら、左足の甲を真っ白な自動車のタイヤが通り過ぎていき三秒間の記憶が飛んだので、コンビニエンスストアで緑紫色の苔を...

カンブリア紀の白い壁

部屋には南向きの窓がある。一昨日の夕暮れと同じに見えた。ぼくは、隔世遺伝の空と名付けた。    明日から、街は無計画な雨季に入る。始まりは予測で...

φ

買い物。そう、始まりは買い物に出かけたこと。近くに探し物がなかったので、隣の一番大きなスニペセに続く地下道を歩いていたんだ。人が多く行き交う大...

どこかのふうけい - Somewhere in True

<月曜日> 太陽の光をさえぎるように、木漏れ日がさしていた。私の影は短い。ここはバスの停留所。子どもたちの声が聞こえる。鳥がいっせいに飛び立っ...

空っぽの空の気 - The Wrong Girl

根の生えた仔猫のような一日を過ごした。何もしていないわけではなく、胃に食べ物らしきものは入れた。詰め込んだ。大丈夫だ。息はしている。頭も動いて...