ジャングルを歩く

久しぶりに新宿の紀伊國屋に行った。 

紀伊國屋書店という書店は決して「おもしろい」本屋さんではないし、棚を眺めていても、そこに紀伊國屋書店としての個性や主張を見ることは出来ない。

例えば、ジュンク堂にはなんとなく“ジュンク堂の主張″があるし、蔦屋書店には″蔦谷らしさ″がある。

しかし、紀伊國屋という書店は日本各地のどの紀伊國屋に行ってもその主張というものがない。単に本が並べてあるだけである。

しかし、そこが紀伊國屋の魅力でもあり、おそらく意図的に紀伊國屋はそのようにしているのである。
憶測だが、勝手に書店側が本に色をつけることはせず、読者にその判断を委ねているのではないだろうか。あくまで書籍に対してフラットな中立的な立場でいようとしているのではないだろうか。

それにしても、やはり新宿紀伊國屋レベルの書店はすこぶる楽しい。まさに知識やエンタテインメントのジャングルを歩いているような気分であり、朝から晩まで丸一日過ごすことが出来る。

東京という街の知識・文化レベルの高さも窺い知れる。反面、地方と東京の文化格差も痛感し、文化的な部分での東京一極集中を思い知らされる。

東京一極集中を解消することはそう簡単な話ではないし、決してそのこと自体が非難されることでもない。
持つ者の所に物が集まるのは世の必然である。

どうだろう。地方でしか暮らしたことのないみなさん。長い人生の数年間、東京に住んでみるというのはいかがだろうか。その経験は決して無駄な経験にはならないように思う。

そして、東京でしか暮らしたことがない人は数年間、地方で暮らす経験をした方がいい。東京がいかに日本全体から見れば異常かが、よく分かるだろう。

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