ダウンロード

AI研究から人間がどのように学習すれば良いかがわかる話

こんにちは、ですます調で文章を書くのが苦手なよさまつです。

YouTubeのライブ配信でもしている話だけど話題にすることが多くなったので、アイデアとしてまとめがてらNoteとして公開します。後で恥ずかしくなったら非公開にするかもしれません。タイトルが怪しいんだけど最後に自己啓発系の怪しい書籍を販売したりはしないので安心して読んでください。

AIは脳科学の知見から生まれた

僕は人間の脳とAIとの対比が大好きです。YouTubeを運営してたくさんの視聴者と触れ合ってみるに、どうやらそれは僕だけじゃないようです。

現代AIと言われている技術はニューラルネットワークというものです。人間の脳内にある膨大な神経細胞(ニューロン)とそれらをつなぐシナプスから構成されるネットワークなのでニューラルネットワークという名前がついています。

このニューラルネットワークは大学1年生で習う数学をマスターすればおよそ理解することのできる非常にシンプルなモノです。

AIのニューロン1つ1つの役割は笑えてくるほどにシンプルなのに、それが集まるといかなる連続関数も表現できるほどに複雑な挙動を示すようになるのが美しいところです。

これは生物の成り立ちにも通じる美しさかと思います。

生物学者リチャード・ドーキンスはダーウィンが作り出した進化論について複雑なものを単純さのみによって説明したと評しています。人知を超える存在がデザインしたかのように見える人間の脳のような複雑な構造も、その全ては自然淘汰によって説明されるからです。

生物進化の歴史そのものと言ってもいい人体の構造からは学ぶことが大いにあります。人間が一朝一夕で考えることのできるアイデアをはるかに超えた存在です。

実際、数々のAI研究者が脳科学からアイデアを盗んではAIに応用してきました。有名な例は世界一と言って差し支えない人工知能企業DeepMindの創業者デミス・ハサビスです。彼はGoogleの頭脳とも言えるDeepMindを大成させる前に神経科学の博士課程に入学しています。AlphaGoが韓国の囲碁チャンピオンを負かしたのは、彼が脳科学を学んだからなのです。

AIは脳科学から学んできました。

しかし今は、その逆のことが起こっているのです。

脳科学がAIに学ぶ時代

人間の脳を動かす仕組み ならば AIでもうまくいく仕組み

が妥当な推論として成立してしまうほどに人間の脳構造は優秀でした。

ところが現代では

AIでとてもうまくいく仕組み ならば 人間の脳を動かす仕組み

という推論さえも妥当な推論と思われる節があります。


知能構造を突き詰めていけば、たどり着く先は一緒だろうというアイデアです。

例えば最近になって明らかになったのは人工知能のDistributional TD Errorという技術です。

簡単にいうと期待値100万円の宝くじでも1億円の当たりくじ1等が1個しかなくて残り99個はハズレなのか、全部のくじが100万円なのか、ということには注意した方がいいよね

ってことで注意させてみたらAIが賢くなったっていう研究です(2013年までのAIは将来得られる報酬の期待値しか考えていなかった)。しかしこれがわかるとシンプルな疑問が沸き起こります。

人間の脳も同じように学習しているんじゃないのか?

Because distributional TD is so powerful in artificial neural networks, a natural question arises: Is distributional TD used in the brain? This was the driving question behind our paper recently published in Nature.

実際確かめてみたらやっぱり人間の脳もこの工夫を取り入れているようでした。というのがDeepMind社が最高峰の科学ジャーナルNatureに叩きつけた真実です。

今はAIが脳科学から学ぶだけでなく、脳科学もAIから学ぶのです。

僕は人間の脳とAIの対比が大好きです。それはAIから学べることが本当に多いからです。AIの学習アルゴリズムとしてうまくいく工夫は日頃の学習に取り入れてもうまくいくだろうという強い確信があります。

学習がうまくいかないのは天性のセンスかやり方の問題か

本当はこの記事の本題はAIから学ぶ人間版学習法であり、これからその具体例を書こうと思ったのですが、長くなってしまったので次回に回すことにします。

とはいえそれではあまりに味気ないので、簡単に概要をフライングで紹介しておきましょう。

僕らは学習をし続けても必ず行き詰まります。行き詰まる仕組みがあります。学習とは進めれば進めるほど、単調に能力が増加していくような行為ではありません。

学習には方向があり、自分がいる地点で正しい方向に向かっていかなければどれだけ努力を重ねても能力は伸びていかない、それどころか減少していきます。

実際心理学者アンダース・エリクソンによれば、ベテランの医者の能力は、経験の浅い医者の能力に比べて劣っていると言います。

ただただ努力を重ねていくだけでは、決して通過することのできない点があるのです。

勉強・スポーツ・果てはゲームまで。

一流の人と同じくらいの時間を投じているにも関わらずいつまでたっても上達しないなんてことはありませんか?

身に覚えがないはずがありません。学習とはそのようにできているのです。

AI研究者たちはこの学習が終わってしまうという壁になんどもぶち当たりました。浅学ながら僕の知る限り今でも完全に乗り越えることはできていません。人間も乗り越えることはできていないと思います。

それでも学習が頭打ちにならないようにたくさんの工夫をしてきました。壁を乗り越えるとはいかないまでも、高さや厚みを小さくしたり、問題を回避するための工夫を凝らしてきたのです。

そしてAIをいつまでも学ばせる、一部領域では模範的な存在だった人間をも超えさせたこの工夫は人間の学習にも適用できるはずなのです。

毎日学習しているのに上達が頭打ちになってしまう現象について学習がスタックしていると表現することにします。塾講師として受験生に指導してきた経験から言って、学習がスタックしている人は本当にたくさんいます。

多くは「必死に努力すれば報われる」という古来からの言い伝えを真に受けているように思います。

そうして努力して報われなかった人たちはやがて生まれ持った才能=遺伝子という自分でもよくわかっていないものの存在にその責任を明け渡すことになります。

数々の研究が遺伝子と環境の相互作用によって人間の性能を決定することを明らかにしてきました。しかし遺伝子の影響の大きさについては行動遺伝学と言われる学問でぼんやりとわかっている程度です。そしておそらく行動遺伝学の研究結果は遺伝子の影響に関する一般的な結論を出す上である種の限界に直面していると思います。成績の〇〇%は遺伝子で決定してしまう!という趣旨の記事はありますが、僕は誇大広告だと思っています。現に研究や記事によって〇〇の数字は倍くらい違ったりします。

もちろん生まれ持った遺伝子の影響がゼロとは言いません。だけど、その影響がどれだけ大きいのか、よく考える必要があると思います。

隣の人と同じくらい頑張っているのに自分と他人では伸び具合が違う。モノが違うのかもしれない。

もしくは、努力の(方法を含む)環境がよくないのかもしれません。

次回はAI研究からその仕組みを紐解いてみたいと思います。

3000文字も読んでいただいてありがとうございました。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
大吉( *´艸`)
59
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。