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コミュニケーションがうまくいかないのは、「昭和の夫」になっているから

わたしは、仕事上のコミュニケーションで突然「昭和の夫」になってしまう人を多く知っています。

しかも、これは性別や年代に関係なく、そうなる。

ここで言う「昭和の夫」とは、自分の状況を相手はわかっているという前提で仕事をする人のことです。

「昭和の夫」がいると、周りは負担が増えます。疲れたり、混乱したり、やる気がそがれたりすることも。悪影響だらけです。

みなさんは、そんな「昭和の夫」になっていませんか?

「おい、あれ、取ってくれ」はなぜ通じるのか

昔むか〜し、昭和の食卓では、夫が「おい、あれ、取ってくれ」と言うと、妻が「はいはい」と言ってしょうゆを差し出す、なんてことがあったとか。

いやーどえらいことですよね。夫が「あれ」で指すものを、妻は「しょうゆ」だとわかっちゃう。

でも、これ、昭和の夫婦って通じ合えたんですね〜みたいなぬるい話ではありません。

実は、ある構造が隠れているのです。図にしてみました。

夫は「あれ」でしょうゆに行き着くのに対し、妻は「食卓」「いつも使う」といった情報のストックからしょうゆに行き着いている。

どういうことかと言うと、夫は「あれ」と指示語を発して終わりですが、妻は過去の経験や共有された情報から答えを導いているのです。

しかも、妻に、経験や情報をストックする気がなければこうした以心伝心は成立しません。

つまり夫の「あれ」が通じるのは、妻の労力のおかげなのです。本当におつかれさまです。

では、これを職場に置き換えてみましょう。

仕事をする中で、上司からの「おい、あれ、取ってくれ」は部下に通じるでしょうか?

いやいや、職場で「おい、あれ、取ってくれ」でしょうゆを取ってもらうような人はさすがにいないでしょ。

みなさんはこの例ならそう笑うと思います。

でも、実際には、同じレベルのことが起きている。あいまいな指示で人を動かそうとする「昭和の夫」はたくさんいるのです。

あなたの指示は「おい、あれ、取ってくれ」かもしれない

一緒のチームで仕事をしているんだから、何でも通じる。そう思っている人はコミュニケーションが「昭和の夫」になります。

つまり、自分の話すこと、書くことはどんな言い方でも間違いなく伝わると信じて疑わないのです。

ふたたび図にしてみました。上司が部下に「あれ、やっといてくれ」と言った場合です。

上司は「あれ」で進行中の仕事の書類をイメージし、部下に指示する。

同じチームなら、ましてや上司と部下なら何のことかわかるだろう、というわけです。

でも、部下は上司との仕事のほかにも、頼まれた書類があるかもしれません。この言い方では相手を迷わせてしまいます。

もっとよくあるのは、上司があいまいな表現で指示するこんな場合。

「いい感じにして」と言われた部下はどんな気持ちでしょう。上司が思う「いい感じ」をつかめなくてモヤっとするし、何をどう直せばいいかわからない。

また上司のほうも、直すべき点について部下に何度も聞かれたりして、やりとりが増え、結果的に仕事が停滞してストレスが溜まります。

これは上司と部下にかぎらず、どんな関係でも起きる不幸ではないでしょうか。

「昭和の夫」にならないために、今すぐできること

「自分がわかっていることは、相手もわかっている」と決めつけてしまうと、コミュニケーションはうまくいきません。

わたしも、自分の言葉が伝わっていないな…と思うことがあるのですが、そういう時はたいてい、自分と相手の認識にズレがあります。

行き違いや誤解を生まないためには、自分がわかっていることは、本当に相手もわかっていることだろうか?と考えること。

たとえばメールを送る前に、相手は自分と同じ情報を知っているのかを考え、不安なら念のために付け加える。

「いい感じにして」などのぼんやりした表現をやめ、相手がわかるように具体的な言い方をする。

わずかな行動の差なのです。これができれば、あいまいな言葉で人を動かそうとする「昭和の夫」にならずに済むはずです。

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文:シノ

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