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自分も、相手も、よかったと思えるように

田中大介さん 1977年生まれ 埼玉県東松山市出身
カケハシ・スタイル代表取締役 中小企業診断士
プログレッシブ・ロック専門 オンラインCDショップ「カケハシ・レコード」店長

15年前に寄居町へ移住。オンラインCDショップ「カケハシ・レコード」を経営する傍ら、寄居町の中小企業診断士として、地元商工会と創業者の経営計画づくりなどをサポートしている。


就職しないと言った時は大反対で、泣かれてしまって

- はじめに、CDショップ「カケハシ・レコード」を創業したきっかけを教えてください。

もともと大学でバンドをやっていて、ロック魂的に「就職しないぞ!」という気持ちがあったんですよね。(笑)あとは、実家が洋服屋を営んでいたので、サラリーマンよりは自営業の方が馴染みがあったし、色々考えたりできるのは楽しそうだなというのもあって、自分で事業をやりたいとはその時から思っていました。

親に就職しないと言った時は大反対で、母や祖父母に泣かれてしまって。自分で言うのもあれですが、それまでは良い大学に入った自慢の息子で、周りからもどこに就職するんだろうと期待されていた中で、プー太郎になるという(笑)裏切った、じゃないですけど結構悲しまれましたね。

- ロックですね。(笑)そこから起業に向けて準備を?

そのタイミングで家を出て、一人暮らしをすることにしたんですけど、ちょうど大学4年で就職活動もないし、授業も週1しかなくて暇だったので、CD屋でフルタイムのアルバイトを始めたんです。

大学を卒業したその4月に起業したんですが、それまでは埼玉の桶川で一人暮らしをしながら、週2日四ッ谷の大学に通って、残り5日間は新宿のCD屋でバイトする、という日々でした。

ネットでやったら売れるんじゃないかな、と

- なぜ、プログレッシブ・ロック*の専門店をやろうと思ったのですか?

バイト先がジャンルごとにフロア分けされているCD屋で、たまたま募集していたのがプログレッシブ・ロックの専門フロアだったんです。

当時はそんなに好きなジャンルではなかったけど、そこで働いてみようと思ったのがきっかけで、今のお店がありますね。働いているうちに、これはネットで売れるかもなという感触を得て。

*プログレッシブ・ロック: 1969年頃にイギリスで生まれた新しいロックのジャンル。文字通り"革新的"な音楽として、ビートルズなどが確立させた王道ロック・ポップスに、ジャズやクラシックなどの要素を取り入れた。シングルで1曲というそれまでの概念を覆し、アルバム1枚が一つの作品という制作スタイルも当時、話題を呼んだ。ピンク・フロイド、キング・クリムゾン、イエスなどが一世を風靡。


- 偶然出会ったジャンルから、オンライン販売のヒントを得たのですね。


プログレッシブ・ロックって、他のジャンルに比べて割と難しい感じの音楽なので、スマートな人がリスナーに多いイメージだったんです。インターネットも、僕が大学生の時にようやく出てきたくらいで、当時はまだあまり普及してなくて。ちょっと先進的なイケてる人が使っている印象でした。

それと、バイト先のお客さんは結構遠くから通ってる人が多くて。週末とかに電車で1時間半くらいかけて来る人もいっぱいいたし、そういうのを見て、オンラインのサービスにアンテナを張っている人も多そうだし、遠くからでも買いに来るようなマニアックなジャンルだから、ネットでやったら売れるんじゃないかな、と。

それからは、査定できるようになるために、売り場を回っては、この年代のこれはいくらかな〜と覚えてた記憶がありますね。

もしあの時、不動産屋さんからの提案がなかったら

- どんなことがきっかけで、寄居町への移住を決めたのですか?

結婚してから、自然豊かなところで子育てして暮らしたいというのはありました。なんとなく八高線沿線が良くて、最初はときがわに住む予定で家を探していたんですが、自営業というのもあって条件的になかなか厳しくて。ダメかと思っていたら、不動産屋さんが「寄居にいい物件があるので、見に行ってみませんか?」と提案してくれたんです。

内見前に寄居へ行った時も、たまたま入った喫茶店の雰囲気が良かったり、夏に玉淀河原でBBQをした時は、川の感じとか橋の感じとかが最高だな〜と思っていたので、自然に「ここに住みたい」となりましたね。内見で家も気に入ったので、その足でオーナーのところへ行ってサインしました。(笑)もしあの時、不動産屋さんからの提案がなかったら、ときがわの方で家を探してたかもしれないと思うと、本当に偶然ですね。

- 実際に住んでみて、どうですか?

山が近かったり、玉淀の正喜橋から見る風景もいいですし、子育てしやすい環境で困ったこともないので、すごく気に入っています。

(玉淀河原近くにかかる正喜橋からの眺め)

それと、週末に家族で出かける時に、色んなところに行けるのは楽しいですね。熊谷・本庄・群馬・秩父・東松山みたいに、車でも電車でも、縦横色んな方面に簡単に出れるので便利です。

- まさに、縦横無尽ですね。(笑) 群馬も近いのでしょうか?

八高線に30~40分乗れば高崎に行けちゃうので、映画を観に行ったり買い物に行ったりしています。東京に出るよりも混んでいないし、充分なので。仕事終わりに、高速で前橋のコストコに行ったりもできて、楽しいですよ。

あとは、美味しいお店が色々あるので、ドライブがてら深谷や長瀞の方へも足を運んでいます。

自分もサポートする側になりたいなと思うように

- いつ頃から、地域と関わるようになったのですか?

住み始めた時は、知り合いゼロだったんです。でもある日、「経営革新塾」という町内の若手経営者を集めたワークショップがあるのを知って。最初は勇気がいったんですけど、やっぱり地域の人と交流してみたくて参加したら、若手経営者が100人も集まっていて、色んな方との出会いがありました。そこに参加したのが人生の転機になったかもしれないです。

そのあと、若手事業主が入る商工会青年部という組織に入ってから、本格的に地元の人とのつながりができて、面白くなっていきましたね。

- 現在の中小企業診断士というお仕事も、商工会を通じて?

商工会青年部で企業診断士の存在を知って、経営者として計画書を作ってもらったり、セミナーを受けたり、サポートされる側としてお世話になっているうちに、自分もサポートする側になりたいと思うようになりました。

大学の同期が多方面で活躍していて、1人の仕事人として負けたくないという想いもあってか、ビジネス本を1日1冊みたいに課して毎日読んでた時期もあったので、蓄えた経営の知識を自分で実践したり、人に伝えてみたりするのは面白そうだなと思って、チャレンジしてみようかな、と。

- サポートする側になってみて、感じることはありましたか?

まず、実際にお客さんに会うっていうのが今までなかったんですよ。CDショップのお客さんは何千人といても、1人も会ったことはないですからね。もちろん、感謝のメールをいただいたり、やり取りもありますけど、生の反応を見たりはできないので。実店舗だと、お客さんの動きから気付いたところを変えてみて、反響があったりっていう面白さがあるじゃないですか。

それまでは、CD屋をやりながらもっと地域の役に立てるんじゃないかっていう想いがあって。今は、それぞれのお店にお客さんがいるので、経営者さんの気付きにつながれば、その先のお客さんに貢献してることになりますし、そういう意味で貢献度が広がったかなと思うと、やりがいはありますね。

田中くんが来てくれて良かったな、というふうに思ってもらいたい

- なぜ、寄居で地域に貢献したいと思うようになったのですか?

正直なところ、「寄居だから」という想いはないかもしれないけど、今寄居に住んでいるのはきっと何かしら縁があると思うので、自分も寄居に来て良かったなと思えるように動いていきたいし、寄居の方にも、ああ田中くんが来てくれて良かったなというふうに思ってもらいたい。それでですかね。

- 今後、寄居でやってみたいことはありますか?

皆さんをサポートするなかで、自分でもお店をやってみたいなという気持ちは出てきていますね。もちろん、経営計画づくりのお仕事も、自分なりにもう一度意義を捉え直したりすることで、モチベーションがあがったりすると思うんですけど、自分でやってみたいという気もしています。

CDショップは、すごくニッチだからなんとかやれているけど、お客さんが平均60歳くらいと高齢化してきているんですよ。なので、10年先を見据えると新しいこともやっていかないと、とは思ってます。

想いや強みを見える化する仕事

- ここの古民家も素敵ですよね。

築40年の平屋だったんですよ。当時、ちょうど平屋をリノベーションして事務所にしたら面白いんじゃないかな〜と思ってたので、青年部員の不動産屋さんに相談したらここを案内してくれて、じゃあここで、と即決しました。

- こういう中にレコード屋さんがあったら、ワクワクしそうです。

古民家リノベーションとかが好きなので、いつか古民家や空き店舗を活用して、音楽を聞きながらコーヒーや地ビールを飲めたりするお店とかがやれればいいな〜とは思いますね。空き店舗創業、どうですか?(笑)

- 確かに、寄居には創業する方が沢山いらっしゃるので、なんだか自分でもできるんじゃないかというか。いい意味で感覚が麻痺してきますね。(笑)

うん、面白いですよ。自分で考えてやるのって。

- インタビューする予定が、気付いたら私の方が話してしまっていました

僕は結構聞く仕事だから、喋るのはあまり慣れていないというか。毎日相手の話を聞いて、計画にするのが仕事なので。

- そうした中で、町の人との信頼関係も構築されていきますよね。

そうですね、逆に信頼関係がないとできないかも。やっぱり共感して作っていかないといけないので、まずはしっかりと相手の話を聞いて、その中で、「あ、その強み伝わってないかな」っていうのが見つかった時が一番、きた!ってなりますね。(笑)それを伝えていくにはどうしようかと、話しながら進めていくのがすごく楽しいです。

その人の持ってる想いや強みを見える化する仕事なので、毎日前向きで、それが余すことなくお客さんに伝わるようにすることが自分の役割だと思っています。


2019年1月26日(土)~27日(日) に開催される「寄居くらしごとワークショップ」では、寄居での"くらし"と"しごと"を考えながら、まちの余白を一緒に描いてくださる方を募集しています。

▼お申込みはこちらから
ーほどよい町「寄居」での暮らしと創業を考える2日間ー
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荒川と里山が織り成す豊かな自然と、都会へのアクセスの良さを兼ね備えた「ほどよい」暮らしを営める場所、寄居町。 この町での暮らしや仕事を選んだ人たちにインタビューをしながら、寄居の魅力を探っていきます。
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