ヨリ
3歳児と眺める、安野光雅さんの絵本
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3歳児と眺める、安野光雅さんの絵本

ヨリ

子どもの頃から本に囲まれて育ち、読書が生活の一部だった私。いつしか、お母さんになったら子どもにたくさんの絵本を読んであげたい、と夢見るようになった。

けれども。

長女が3歳になり、現実はそんなに甘くないことを知る。

3歳児といえば、保育園では先生の読み聞かせを皆で真剣に聞いている頃。

家でも『11ぴきのねこ』や『ぐりとぐら』が楽しめるかな?と、娘に読み聞かせしてみたところ。

「なんで?おさかなたべるの?」
「なんで11ぴきなの?」
「なんでなんで?」
「なんで~~??」

……ってぜんっぜん先に進まない!!

子どもがお話に没頭、なんてことはなく。

読み聞かせの理想と現実のギャップを思い知った、絵本ライフだったんだけど。

唯一「ふたりで楽しめたなぁ」という絵本があった。

それは。

安野光雅さんの「もじ」のない絵本。

図書館に行けば何冊も本が置いてある、有名絵本作家の安野光雅さん。画家でもある安野さんの絵は、淡い水彩画で細部まで緻密に書き込まれており、ずっと眺めていても飽きない。

実際に、3歳の頃の長女は、毎晩のように安野さんの絵本をもってきては、「これ読んで」だった。

そんな思い入れのある絵本たちなので、この場でいくつかご紹介したい。

1.ふしぎなえ

三角帽子をかぶった小人(のような人たち)が住む世界は、どこか変。

水はうえにながれ、階段をのぼってもうえの階にたどり着かず、小人たちが暮らすお家なんて、床と天井がさかさまだ。

「小人さんが歩いているよ。てくてく…」
「あれ、おかしいな。急に床が壁になっちゃった。大変だ!おちるおちる!」

と、3歳児とアテレコしながら、『ふしぎなえ』を、いつまでも眺めていた。

2.もりのえほん

私が小学生のころに、大好きだった絵本。

一見すると、静まり返った森の風景の絵が描かれているだけなのに。

よーーーく目を凝らすと、木のなかに、草むらのなかに、動物たちの姿が浮かび上がってくる。

この本の面白いところは、どこになんの動物が隠れているか、回答が書かれていないところ。何年たっても新しい生き物を発見したりするのだ。

一度、動物が隠れていることを教えずに、この本を知人にプレゼントしたところ。1年後に「あ!」と、この本の秘密に気がついたらしい。

3.旅の絵本

ヨーロッパの美しい風景のなか、馬にのったひとが旅してまわる様子が、ただただ描かれている。

はじめのページで馬を譲り受けた旅のひと。
つぎのページではその馬とともに田舎町を通過する。次第に町は都会にかわり、パレードがはじまる。
旅のひとは、賑やかな街を横目にとおりすぎ、つぎのページでは山道を抜けて、川をわたった。

この絵本は、ページごとに「旅のひと」は、どこにいる?と探す面白さ(『ウォーリーをさがせ』的な)があり、3歳児は夢中になって旅のひとを見つけていた。

* * *

世界中のあらゆることに「なんで、なんで、」だった3歳児。

振りかえると。

安野光雅さんの「もじ」のない絵本は、そんな3歳児にぴったりだったんだと思う。

「なんで、小人さんが落ちちゃうの?」
「動物はどこにいるの?」
「旅のひと、みつけたよ!」

安野さんの想像力をかきたてる絵を通して、娘は「疑問」と「発見」の言葉を私にたくさん聞かせてくれた。

どのページから読んでもよいし、お話だって好きにつくればいい。

―― これらの絵本は、思い通りに読み聞かせできずに悶々としていた私に対して、そう教えてくれたような気がした。

* * *

現在、娘は4歳半になり、ひらがなカタカタはすっかりマスターしてしまった。

そして、絵本はお話を自ら読んで楽しむ、という段階になったようだ。

「わたしが、ママに読んであげるよ」

そう、寝るまえに『11ぴきのねこ』をもってきて、私に読み聞かせをしてくれる。

うーん。

やっぱり私が想像していた絵本の読み聞かせとは、違うカタチのようだけれど。

ふたりで絵本の世界を楽しんでいるので良しとしようか。

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ヨリ

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ヨリ
7歳、5歳、3歳の母。通勤電車で育児日記を書く日々。暮らしのブログも運営中 https://yorimichi-kazoku.com/