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Salesforceってどう?(退職ブログ)

巷で退職ブログよく見かけるようになったので、どうせすぐ埋もれるだろう!と思い切って自分も書いてみました。

~私について:意外とレアな(?)キャリア~
Salesforceのユーザ側として、導入や運用のエンジニア/コンサルタントとして、更には自分自身が中の人として
新卒3年目の頃から約10年Salesforceに関わってきました。

ITソリューションとしてはあくまでも一つの手段でありプレーヤーでもあるSalesforceですが、

リスペクトも込めつつ、全方位で関わってきた私なりにフェアに語れる部分もあるだろう、とSalesforceについて書いてみたいと思います。

書き出しが長くなってしまいましたがざっくり以下の構成です。

Salesforceについて
1.客観的に見た製品についてどう思うか
2.一技術要素としてエンジニアやコンサルにとってどうか
3.働く場所としてどうか


1章 製品としてみたSalesforce

・ユーザの望みを正しく捉えた初めてのプラットフォーム(ソフトウェアの民主化)

創業から20年たった今も、Salesforceはテクノロジーの民主化を進めています。クラウド、モバイル、ソーシャル、IoT、今やAIも、企業規模に関わらずすべての企業が利用できるよう推進してきました。
(Salesforce社ホームページより)


私がSalesforceという製品を最もリスペクトするのはそのビジョンです。Salesforce社のメッセージングの中に度々登場するのが
”民主化”
というキーワードで創業から20年一貫して言い続けているフレーズだそうで、出会った当初強く共感を覚えました。

~素人目でみて納得しにくいSIの慣習~
新卒3年目、海外製ERPパッケージの会計モジュール導入/運用コンサルタントというお堅い領域を担当していた私から見ると、
当時のプロジェクトでは、エンドユーザの要望はシステムの都合が間に挟まって汲み取り切れず、
ウォーターフォールの上流フェーズの膨大なレビュープロセスと要件漏れの回避は困難を極め、
数年おきの保守切れやバージョンアップは数億円がかり、
と、大企業がリスクや我慢を伴ってなんとかシステムが使えるのが常識でした。
お客さん側はしんどいな、というのが正直な感覚でした。

〜選択的なITサービスという世界観へ〜
現在は、freeeやSansanなど申し込んでアカウント発行すればすぐ使える類の数々の特定業務向けB2B SaaSや、
Kintoneのような簡単に独自のアプリを作れるWebDB/aPaaSといったサービスが溢れています。

ユーザ企業はユーザ自身でそれらを実際に触って試して、選び、時には小さく始めたり、素早く全社に展開したりといった形でITを活用することができるようになりました。

まだまだソリューションが届かない領域はあるにせよ、選択的になったのはユーザにとっていいことなのは間違いありません。

Salesforceは創業した20年前から、こういったユーザメリットが受けられ
且つ提供側としては莫大な投資負担が先に立つ
利用型(サブスク)のサービスモデルに取り組んできた企業であり製品で
リスペクトの言葉以外にありません。

〜ビジョンを成立させている〜
優れたコンセプトのサービスや製品が多く見られるようになりましたが
成立させるのは難しいことだと思います。(実際、10年ほど前から応援していた会社が今潰れそうだったりします)

Salesforceはビジョンは一貫しているものの製品やサービスは大きく変化を続けていて
今では当たり前のことですが社内システムにSNSの概念を持ち込んだことや、モバイルアプリ無償提供や、
より優れたUXへの製品全面刷新(LightningExperience)にも衝撃を受けました。

かゆい所を補った後発製品も多数登場しましたが、それにも負けず
今では当初のCRMの概念を拡張し、MAやBI、ECといった顧客企業の顧客のための製品群も統合されています。

共感できるビジョンの上にテクノロジーが伴って
止まる事なく進化してきた実績がありますので
初期導入からその後の活用まで含め、私自身最も自信を持って選択できるプラットフォームの一つです。

どのサービスを使うかは出会い方やタイミングなどもあるかと思いますが
ご参考ください。

2章 エンジニアにとってのSalesforceというスキル・キャリア

・エンジニア/コンサルタントの成長が加速するプラットフォーム

ん?と思う方も多いと思います。
また、私の周りには技術者としてはSalesforceは正直つまらない、という方も多いのが事実です。
2008年頃ほぼ未経験でIT業界に入った立場から見た意見だと思ってください。

〜実際10年関わってみてどうなれたか〜
実際のところ私はオブジェクト志向もJavaもよく知らない状態から
・20代のうちにPMやラインマネージャ、プリセールスを経験
・IoTプロジェクトの受託ビジネス立ち上げ
・億越え案件のPM
といった経験をすることができました。

Salesforceへ入社後も比較的テクニカルに強い部類のSEとして括られることが多かったと思います。

〜顧客価値から逆算で学びやすい仕組み〜
多くのシステム会社の研修では、アルゴリズムの考え方やコンピュータの仕組みを学んだり、
コマンドラインで動くプログラム開発や、ローカルサーバの環境構築と簡易なWebアプリの開発・・・と基礎から順に学んでいきます。
(いわゆるフォワードチェイニング)

こういった教育は非常に重要です。
システムの場合はどれだけ高度化・大規模化しようと基礎は変わらないので
何か新しい潮流や難しい技術課題に出くわした時にキャッチアップが早いのは基礎理解の高い人です。

ただ、基礎の上に乗ってくる
例えば仮想化手法や言語・フレームワーク、セキュリティ対策、効率化ツールなどの技術は非常に変化が早くバリエーションも多いです。

1個1個頭からお尻まで順を追ってきっちりキャッチアップして行くのは
機会的にも難しいのが現状だと思います。
折角覚えたとしても次のPRJには廃れているかもしれません。
これから技術の世界に入る方は尚更です。

一方私は、
Salesforceに携わる中で
・ガバナ制限から軽量でコストの低いコーディングとは何かを学び
・関連リストのイメージや標準オブジェクトからテーブル設計(ER的な)を学び
・Salesforceの開発者ドキュメントからセキュアコーディングの基礎を学び
・グローバル検索から全文検索エンジンの仕組みやOSSの存在を知り
・LightningExperienceからフロントエンドの潮流やSPA開発を知り
・大量データの扱いからDBのインデクスや裏のOracleの仕組みマテビューやログなどを意識し
・2ヶ月スパンのPRJの繰り返しからプロジェクト管理のプロセスだけでなく勘所を習得し
・標準機能からSFAやマーケ、コンタクトセンター業務プロセスや業界用語を知り


etc…(製品用語ですみません)

と、製品を通じて
Webサービス開発における技術トレンドや基礎、業務のベストプラクティスといった
ユーザが求める価値を提供するために必要なものを少しずつ網羅的に把握することができました。

完全にスクラッチのシステム開発では、手数的にもレイヤーやサブシステムで担当やチームが分かれたり、レベルもまちまち、、と同じだけの範囲を知るには
色んなPRJをちょこちょことつまみながら渡り歩くしかなく、時間もかかり理解も進まなかったと思います。

ともすれば技術覚える/高めること自体が目的化しやすい中で、
顧客に対してPRJをデリバリしきるという原則に基づいて、必要なインテグレーション手段を習得する、というサイクルが
個人的には非常にあっていたように思います。

第3章 WorkplaceとしてのSalesforce

・最新メソッドと高速のPDCAを体感でき、マネジメント人材が育つ環境

~総じて働きやすいです ~

外資ITなので、やれ成果主義だドライだというイメージもあると思います。

実際は、いくつかの調査で働きがいや働きやすさでは評判の通り、
働いていて心理的な安全(安心感)や満足感は非常に高かったです。

個人的にはショップというカフェテリアのような場所にいつでも好きな飲み物や健康を気遣うドリンクがいただけるのは
外回りの多い身として一番嬉しく、予定がパツパツで肉体的にしんどい時も自尊心を保ちながら仕事に取り組むのに役立ちました。オフィスの綺麗さとかもあるとは思うのですが、意外です。

私は中小企業マーケットを担当し、かつ技術営業(プリセールスエンジニア)という職種でしたので視野は限られますが、
在籍期間1年8ヶ月がびっくりするほど濃く長く感じました。


〜パイプラインマネージメント、カスタマーサクセスマネジメント、インサイドセールス、セールスイネーブルメント、TheModel…〜

上に挙げたようなキーワードを(誰が最初に言ったなどは置いときます)
これほど実際にオペレーションを実行して成果を出し、リファレンスになっている企業はないと思います。

組織づくりや運営に自分なりの課題感を持って入社した身としては
上記のようなメソッドそのものに関心すると共に、
実際の現場で更に数えきれないほどの独自の名前がついた施策があり各組織・チーム単位で動いていることに驚きました。

やはり枠組みだけでは目指す成果は上がりませんので、
例えば、パイプラインを作るとしてもどこから作るのか、そのためのツールは、トラッキング方法は、というのをセットで考案しては、組織・チームで取り組んでというのを1week、1ヶ月、1Qごとなど大小様々回しています。

〜日々きちんと失敗もしている〜
そこには、今回の施策に対して反発する特定のチームとの一時的な軋轢や
意義が浸透仕切らずこなすだけになってしまったKPIなど
どの組織にもある、生々しく小さな失敗もありましたが、
そのまま、立ち止まらず組織も施策も変化し続けられるところに強さを感じました。

勿論それらを可能にしている大事な基礎として、
全員がSalesforceシステムの上で業務を記録し、コミュニケーションし、KPIと進捗を把握できる、といった環境があり自己流や属人性の極力少ない形で
組織が動いている、という点があったと思います。

先進的な組織やオペレーションのフレームワークの上で動く施策は全て共有・蓄積されているため
期が変わって、昨日までエース営業だった人が、次の日からマネージャになってチームミーティングを開いている、なんてことが当たり前に行われています。


今後について

小さなシステム開発・ITコンサルの会社で自分自身も現場に身を置きつつ、経営として一緒に働くエンジニア仲間のキャリアや環境を整えていくことにもチャレンジをします。

〜SI企業のトランスフォームと、働く技術職の価値を向上させる〜

SIかサービス企業か、webかエンタープライズか、マネジメントかスペシャリストか、

エンジニアリングサービスにおけるビジネスモデルの硬直によって生きづらさを感じてるひとも多いでしょう。

"こんな生き方も用意できたら救われる人もいるかな?"と思っているエンジニアの多様なキャリアを
色んなパートナー企業さんと作っていきます。

活躍すべき市場の開拓や顧客との関係づくり(営業面)、ナレッジや教育、チームでこなす必要のある大きな仕事の機会、

などなど組織の強みを活かしつつ、自分らしい仕事への向き合い方ができるようエンジニアやコンサルタント、マネージャーの方を支援していきます。

自分で一通りのエンジニアリングが完結できるようになったあたりから
生きづらさを感じているプレイヤーの方が多いように思っています。


〜顧客企業のビジネスの転換期を支える〜

プレイヤーとして自分も取り組みたいことですが、
素晴らしいビジネスを持ちながら、IT基盤に根深い課題を持っていて、スピード感を失いかけているお客様を多く見てきました。

良い提案があっても、お客様にドライブする余力がなければ実現しません。
右腕、相談相手を必要としているお客様のプランを支援していき、
他社含め世の中のたくさんの価値あるエンジニアの方と繋いで実行できるようにしていきます。

Trailbrazerの卵を育てて、共に育てるパートナーづくり。

プロジェクトはやっぱり人次第、人が全て、という言葉は
どの世代でも良く言われる言葉だと思います。
お客様の成功を支えるフォーメーション作りに貢献していきます。


自社の取り組みについては今後もお伝えしていければと思います。
斜め読みでも、つまみ食いでも、読んでいただいて有難うございます。

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