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仕事で出会ったビックリ人間図鑑_その1

世の中ビックリ人間というのは多いものである。

ココで言うビックリ人間というのは
中国の鉄の玉を飲むオジサンとか、
きりたんぽを丸飲みするテレビディレクターのオジサンとか
はたまた牛乳をイッキ飲みしてゲロするタレントとかの話ではない。
(何のことか分からん人は 対決列島のDVD を買うのだ)

ココで言うビックリ人間とは、
こっちの常識とか理解とか言語力とかその辺全てを
軽々と飛び越してくる、超人的企業戦士たち
のことである。
具体的に言えば、 前回 書いた、あの「話の通じない営業マン
あたりも、かなり熟練のビックリ人間と言える。

僕の運が悪いのか、あるいはこのIT業界という場所が
そういうよくないものを引き寄せる魔窟なのかは知らないが、
ともかくこの手のビックリ人間について
キチンと図鑑として体系立ててマトメておくことで、
後進の皆様のお役に立てれば何よりである。

ビックリ人間『にんげんだもの』

世の中、謝らない・謝れない人間というのがいる。
これはまぁ、分からなくはない。
誰だって自分のミスや失敗を認めるのはイヤである。
できることなら何とか逃れたい、なかったコトにしたい
ものである。それはよく分かる。

だが。

だが。

僕が出会った奴はそれを遥かに凌ぐ
「私のミスは、ミスじゃないんです」と本気で思ってる
ヤベえ奴であった。

ある日のこと、僕あてに取引先からメールが来た。
内容は端的に言えば
「納期までに頼まれてたものが仕上がらないです」
という遅延の報告であった。

まあ大してクリティカルなやつでもなかったので
そっかそっかーくらいの感覚だったのだが、
念の為先方に「どんくらいで仕上がりますか?」というのと
「遅延した原因」だけは聞いとこうかと電話をしてみた。

すると出てきたのがこのビックリ人間であった。

ビックリ人間はまず、
「この度は遅れちゃって…ねえ、ドーモ…w」と
半笑いで答えた。

この時点で「おっ…………?」と
若干の違和感があった。
コレヤベえやつじゃねえの警報がうすーく鳴っている。

「まあでも、結構他社さんとかでも納期が押したりすることはありますので…」と僕から、誘い水を出してみる。

「そうですよねえ~
何ていうか、ほら、遅れることってえ、
やっぱりありますじゃないですか、人間ですもんねえ?

は  い  全  力  ア  ラ  ー  ト  🚨

全力アラート🚨

にんげんだもの、じゃねえんだバカ。
それを言っていいのはコッチであって
遅れたお前が「人間だからしょうがねえじゃん」っていうのは
オカシイだろ💢っていうかそれを聞かされて俺は
どう答えるんだ「そうですよねえ、杉山さん(仮名)人間ですもんねえ」
って答えるのかオカシイだろ

多分本人の中では「おっとりちゃんタイプでちょっと天然」みたいな
キャラ設定なんじゃねえのかなと思ったが
とりあえずこの後も延々言い訳でもない
「私はそういう、なんだろうなぁ~結構ぉ、ミスとかしちゃってぇ~
それでいっつも偉い人とかに、ダメだよー、って言われちゃうんですよぅ」
的なことを言っていた。

分かってんだろうか、他社に「弊社の仕事は信用ならないよ☆」
という大宣伝をテレアポしてるのと同義なんだけど

逐一「あーそうなんですねえ、じゃあ偉い人とかも大変だあ」
「まあけどミスは皆しますもんねぇアハハ」とか返事してやってる
コッチに身にもなってほしい。
なおそっから「けどぉ、偉い人とかもぉ、ミスはしててぇ」とか言い出したので申し訳ないが、次の会議があるので、と伝えて受話器をおいた。

電話を切った後、しばらくはくらくらしていたのだが、
とりあえず俺は
50にもなってこういうこと言っちゃう人間にだけはなるまい
と固く誓って仕事に戻った。

後日談

なおこの話には後日談があるのだが、
実は恥ずかしながら、この件の後、
今度は弊社がこの会社に対して事務手続きが遅れてしまったことがあった。

こちらも気づいた時点で誠心誠意謝罪をして、
先方も「ああ、いえいえ、元は言えばウチのせいもありますし…」と
言ってくれたのだが、横から口を挟むものがいた。


「けどぉ、ミスはミスですよ」


ヤツであった。


「たしかにウチの会社からの送付が遅れたって件はありますけど、
けどじゃあウチが送付遅れた会社は皆手続きが遅れてるのかって言ったら
そんなことはありませんし、そもそも以前の件と今回の件は直接的には
関係ないですよね?キチンと、具体的な再発防止策について
こちらが納得する形でご提示いただきませんと、
ちょっと…w困りますよねえ?信頼にも影響しますし…w」

このときは直接、
先方に出向いてお話をさせていただいてたのだが
あまりのことに下げてた頭を上げて
僕は本人の顔をガン見してしまった。

どういうつもりで、どういう顔で、それを言ってんだコイツは?
と確認せずにはいられなかったのである。

そこで相手が「意趣返しや!」とか「この前の恨みを晴らしたる!」的な
得意げな顔の一つもしていてくれたら、まあ性格には難あれど
まだ僕の理解の範疇に収まったのだが、

本人はいたって真面目かつキリッとした表情で
理非曲直は正さねばなりません!!という厳しさを以て
この後もひたすらに原因究明に全力を傾けてほしい!

とか言い出してたので

ああコイツほんまもんのビックリ人間や…!

と判断し、めでたく今回の
「ビックリ人間図鑑」の第一号を飾ることとなった。

おそらく、
100歩ゆずって1000歩ゆずって、更に10000歩くらいゆずって考えると、

・自分のミスは人間だから仕方のないこと、許されること
・対して、相手からのミスは決して許されない。間違いがあってはいけない

という、かなり認知の歪んたタイプの
「本人の中では多分 自分は謹厳実直な真面目な優等生 みたいなイメージ」
をお持ちなのではないかと推察した。
先に述べたように「ただひたすらに相手を嬲りたいだけのドS」だったら
どんなにありがたかったことかしれない。

単なるSならば、適当に殴られておけば相手の気も晴れるだろうが、
「自分は間違ってないが自分以外の全ては間違ってるから
厳しく接して正さねばならない!!」みたいな認知歪んでる系正義マンは
確実に今度のお仕事上でも厄介にしかならないので実に困ったものである。

皆様も周りにも、この手の
ビックリ人間が出現しないことを、心より祈りつつ
初回はここまでとする。

書いてて思ったが、何というか
SCPとかクトゥルフの手記を書いている気分になってきた。
ビックリ人間ですよろしくおねがいします。ビックリ人間はいます。

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