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インディーズレーベルオーナーが考えるウィズコロナにおけるインディーズミュージシャンについて

TREKKIE TRAXというダンスミュージックを中心にしたインディーズレーベルを主宰しているfutatsuki (フタツキ) です。

新型コロナウィルス感染症の影響で、僕たちインディーズミュージシャンは非常に窮地に立たされていまして、レーベル業務とマネジメント業務を兼務している当レーベルでも、その影響は計り知れません。
緊急事態宣言は早くて今週末、遅くても5月末には解除されそうな雰囲気はありますが、緊急事態宣言が解除されたかといって、おそらく変わってしまった世の中が完全に元に戻るのは我々が新型コロナウィルス感染症に完全に打ち勝った時=全世界で完全終息、もしくはインフルエンザのようにワクチンである程度対応出来るようになった後になることは想像が付きます。
なので、実際は我々は少なくともここ数年は感染症のリスクと共に生きていく "ウィズコロナ" という状態を選択せざるえませんし、その状況下でこれまでのアーティスト活動は大きく変貌を遂げることになるでしょう。
その状況下で、まず我々が出来る事というのをざっくり整理しつつ、次のアプローチをどうすれば良いのか模索できればと思います。

1. 音楽の売上は影響を受けないので、とにかくリリースを増やす

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この部分は非常に分かりやすいです。現在のコロナ禍において在宅を強いられている我々は、自宅で消化できるコンテンツに大きく生活が依存しています。
実際ゲーム業界、Netfilixのような映像系サブスクリプションサービス、漫画などのコンテンツの需要は高く、売上が著しく上がっていることは確認できています。他にも海外では本来劇場で公開するはずだった映画をオンラインで公開したところ、劇場で公開する以上の売上があったという記事も見かけました。
その中で<音楽>はというと、明確に右肩上がりであがっているわけではありません。(当社、もしくは周辺の中堅レーベル当の話)ですが、このコロナ特需に乗っかれていないだけで、売上が減少しているわけではないというのが味噌です。
車や電車に乗る時間が減った結果、音楽を聞かなくなったという人は増えたと思いますが、逆にコアな音楽ファンは音楽を聞く時間が増えている人も多いと思います。
なので、とりあえず楽曲を出し、その売上をしっかり積み重ねていくというのが大事になるでしょう。リリースしたコンテンツは資産なので、リリースする数は多ければ多い程よいです。我々のようなインディーズミュージシャンが一番注力すべきはこの部分だと思います。

2. クラブ・ライブハウスへの出演枠は以前より減少する

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大変悲しい話ですが、ライブハウス・クラブのような業態は新型コロナウィルス感染症の影響を大きく受けており、多くのベニューが窮地に立たされているのは周知の事実だと思います。
その中でも僕たちの出演してきた小箱・中箱といったベニューほど影響が大きく、既に数店舗は閉店になっていますし、この後もその流れは続くと思います。
そのような状況下で、単純にベニューが減る=出演出来る機会が減るという影響は僕たちインディーズミュージシャンは大きく受けることになるでしょう。
またソーシャルディスタンスを維持した状態でこれまでと同じ会場に収容出来る人数は15~25%とも言われていますし、100人が定員のベニューなら最大25人しか入場出来ないわけです。
その状況下で以前と全く同じ売上を出すには、単純計算でもチケット代金を4倍にするしかないですし、数倍ということはなくてもチケットの価格が上がるのは必須でしょう。
その状況下で <出演を勝ち取る> にはより自身のアーティストブランディングを高め、自分のアーティストとしての価値を高めていく他ありません。
簡単にいうと自分のファンがチケットが高くてもしっかり遊びに来てくれる、そういったコアなファンベースの形成が強いられることでしょう。
また現在ファンベースがないアーティストは出演機会を獲得するのが難しくなるので、オンラインをベースにしたブランディングをしっかり考える必要があります。
これまでは自分含め、集客はやりたくない!みたいなアーティストも多かったと思いますが、よりそういった部分が顕著に自身のブッキングに関わってくる事になるでしょう。

3. 出演ギャランティーについても見直しが必要かも

ビフォアコロナの状況だと、<出演1回につき○円>といった形で自身の定価を決定して、そこからプロモーターと最終的なギャランティーを調整していたアーティストが多いと思います。ただしアフターコロナの世界では、様々な問題点から従来のイベント開催への予算や売上が減少することが見込まれますので、以前のような価格での出演料を承認取るのが難しくなるかもしれません。その場合 <1人集客するごとに500円> と言った、自分が呼んだファンに対するギャランティー設定などが主流になってしまうかもしれませんね。(今の無観客配信系のイベントも、自分がプレイした時間帯のドネーションの一部がギャランティーとして支払われることが多いです。)
そうなった場合、やはり自身のファンベースをしっかり構築しておく、というのが重要になりそうです。

4. 配信環境必須は当たり前、配信でもファンベースを構築しよう

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これまではSNSのフォロワー数というのもはかなり重要なアーティストブッキングの要素になっていたと思いますが、それだけでなく今後は配信系プラットフォームでのフォロワー数も重要になってくるでしょう。
まずベニューでイベントが開催出来るようになっても上記のような状況でしょうし、売上を立てるために現場と配信の2軸構成になるのは間違いないです。
またオンラインパーティーの需要も一定数継続するでしょうし、まず自宅から自身のパフォーマンスを配信出来る環境は必須となってきます。
合わせて配信プラットフォーム上でのコミュニティ形成も必須になるでしょう。やはり現場には現場の人気者がありますし、配信には配信の人気者がいます。(テレビのスターとYoutubeのスターは別みたいな話です。)全く同じ状況が我々インディーズミュージシャンにも訪れる可能性は高いです。
またTwtichなどのプラットフォームに音楽配信系は集約されていくでしょうし、Twitchの </hosts> や </raid> といった機能を使い、自分が持っているフォロワーをパーティーのチャンネルに流し込むことも必須になってきます。その逆にパーティーのチャンネルからの流入といった相互関係もあるでしょうし、こういったプラットフォームで今から活動しておくというのは大きなメリットがあるように思われます。

5. ドネーションで以前のような出演料を得るのは難しそう

現在の配信イベントでは、配信を閲覧するのにお金がかかるもの(有料配信)は非常に少なく、基本的には誰でも見れるような仕組みになっており、そこからドネーションや、Twitchのビッツ、物販の購入などでベニューやアーティストに還元する流れとなっていますが、現在はベニューやアーティストを助ける意味でのドネーションの金額が増えがちなのです。
僕たちも配信を行っていますが、特にドネーションを押し出しているわけではなく、また弊社アーティストも窮地に立たされている部分はあるのにとりわけそういったアピールを行っていない事もあってか、他の配信イベントに比べ、ドネーションの金額としては非常に少ない状態となっています。つまりこれが平常時の配信のドネーションの感覚なのだと思います。
そういった場合のリスナーUUに対してのドネーション金額はだいたい1人5~10円程度だと思っており、その場合僕たちのようなリスナーUU 1,000人規模の配信だと大体1回の配信で5,000円〜10,000円程度しか収益を上げることが難しい状態です。<つまり5人のアーティストで配信を行った場合、1人あたりのギャラは1000円〜2000円程度ということです。>
この金額はクラブでリアルなイベントを行っているときの<5%程度>の売上にしかならず、以前と同じギャランティーを手に入れるとなると、最低限のリスナーUUは1万人あたりが目安となってきます。
そうなると、SNSのフォロワーはだいたい最低でも10万人ぐらいになってくるので、僕たちみたいなインディーズアーティストの枠を大きくはみ出てしまうのが現状です。上記を踏まえてもインディーズアーティストがドネーションをベースにオンライン配信で収入を得ていくことが難しいのはよく分かりますし、今後ベニューでの無観客配信等も同様の状態になりかねないと思っています。(メチャクチャな概算なので、もっと良質な配信はもっと良い数字を叩き出しているとは思いますが…)

6. コアなファンとしっかり繋がって、コミュニケーションを取ろう。

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こういう状況下なので、以前に比べてファンベースを拡大していく手段というのが限られてしまった状態です。そんな中でもしっかり自分のことを応援してくれる、昔からのコアなファンや、友達としっかりコミュニケーションを取って、彼らを大切にしましょう。
あなたのファンは口コミであなたのことを広めてくれるかもしれませんし、今後につながる大きなクライアントになるかもしれません。
以前はそういったコミュニケーションが現場で行われていましたが、今はそれをオンラインで行っていきましょう。

オンライン時代のファンベースの構築については、僕も個人的にお世話になった松島 功さんのnoteが参考になるので、是非参考にしてみてくださいね。

そんな感じで、最近思っていることをまとめてみました。
あくまで個人的な意見ですので、軽く参考にする程度にしてくださいね。
こんな時代ですが、みんなで頑張っていきましょう!

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