見出し画像

台湾の民主化過程を考えてみるnote ① 「民主化とは何かをかんがえる」

「台湾の民主化過程を考えるnote」の目標

今回、複数回を予定して書き進めていくことは、日本の植民地時代、白色テロと呼ばれる民衆弾圧の時代を経て、台湾がどのように今の民主主義国家となったかをわかりやすく書いていくことを目標としたいと思っています。
内容としては、台湾の民主化過程に関する論文(「台湾における民主化と国会改革」李嘉進、2014、※グーグルで検索すればPDFでダウンロード可能)の内容を要約しつつ、他のネット上の情報等を参考にして書いていきます。
この論文長いんですが、日本との比較や国会の民主化過程とかにも触れているので、かいつまんで読むにもすごくおすすめです。
(他にも面白い本や論文があれば教えてください!)

「民主的な状態」「民主的であるということ」とは何か

では台湾の民主化過程を考える前に、まず「民主的な状態」とはどんなものかについて考えてみたい。


例えば、好きな国の好きな音楽が聞ける、好きな場所で好きなように生きる、国の政治について自由に発言したり選挙で代表者を選ぶことができる。
このあたりは民主的な国家では当たり前に享受できることだと思いますが、アメリカの政治学者シーモア・リプセットによると、民主主義の定義は3つ。

  • 政府のポストを各界の個人や団体(政党)に与える。これは武力のない広く定期的な選挙競争による。

  • 公平な選挙により政治指導者や政策選択からエスニックを排除しない。

  • 政治的自由が存在する。


ここでいうエスニックは、少数民族として考えてもいいけれど、自分としては少数派という大きな括り、という認識でいいと思っていて、例えば、外国人に参政権を、やLGBTQ関係の施策とかありとあらゆる少数派を掬う政治体制であるべき、ということだと勝手に認識しています。

ここで、少し話が逸れるけれど、「民主的な状態」とか「民主主義の条件」と書くと少し小難しくて敬遠気味になる。また、ネットで「民主主義の条件」なんて言葉を調べると、とにかくいろんな情報が出てきて嫌になっちゃう。
ただ、個人的には例えば、リプセットの定義3つを知ったうえで、自分の中での「民主的であるとは」という条件を持っておくというか、考えておくのはすごく意味があると思っていて、「好きなカレーを食べ歩きできる/毎年好きなところに海外旅行ができる/自分の味方になるだろう政治を応援して、時には否定ができる」とかとか。
自分の腹落ちするレベルで何となく民主主義を捉えておくことが非常に大事なことだと思う。ということで、この文章を読んだ人は自分なりの「民主主義の条件」を考えてみていただくと明日は大吉です。


それぞれの民主主義を考えたところで、次は民主化の過程について考えてみたい。


台湾における民主化の過程、段階

今回台湾のことを勉強していると分かったことがあって、よく考えると当たり前なのですが、例えば、民主化っていうのは「昨日まで権威主義であった国が、じゃあ今日からは民主主義国家です」という風に単純な話じゃあない。
(※権威主義については、日経の記事にわかりやすいものがあったので参照


簡単に言えば、民主化は、非情に複雑に時には前進し、時には後退をしながら大きな流れとして国が民主化していく、というものだと考えます。

今回の論文の中でもよくでてくる人、サミュエル・ハンチントンによると、民主化の過程は以下4段階。
(※ただし、これは台湾の民主化に特化した民主化過程の段階をしめしているわけではありません)

  •  ハードな権威主義時期

  •  ソフトな権威主義時期

  •  民主化時期

  •  民主主義確立期


では、台湾の歴史年表にそれらの時期を重ねてみると、以下のようになります。(自作なのでミス等はご容赦、テヘペロ

台湾歴史年表


年表をみてわかるとおり、1900年ごろの台湾から現代までを見てみると権威主義体制のほうが長かったことがわかる。しかも、ご存知のとおり、その期間は日本が台湾を植民地統治していた時期も含まれる。

では、第1回はここまでにして、次回以降は日本植民地時代から白色テロ時代の台湾の歴史を振り返ってみたい。その中でそれぞれの時代で民主化への動きがみられるので、そのあたりを。
また、民主化の動きは先に書いた通り、進むと思ったら後退し、またあるときには複数要因によって大きく進んだりするので、そのあたりを面白がりながら書き進めていきたいと思います。

また、面白いのは台湾映画には時代をよく描いた作品がたくさんあって、つらい歴史だったにもかかわらず、そのあたりをテーマに据えた素晴らしい映画もあるわけで。
そのあたりも一緒に御紹介していきたい所存。

では、また書きます。
お楽しみに~


今日はここまで。

この記事が参加している募集

学問への愛を語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?