「ぽかぽかの もと」 はらまさかず

夜、もっちゃんはお布団に入ると、
「ああ、きもちいい」
と、いいました。
お布団がぽかぽかしていたのです。
「やっぱり、お布団をほすと気持ちいいね」
と、もっちゃん。
「そうね」
お母さんがわらいました。
今日、もっちゃんはお母さんと二人で、お布団をほしたのです。
「おひさまってすごいね、ぽかぽかのもとをもってるね」
もっちゃんがいうと、お母さんはがまんできず、
「どれどれ、お母さんもちょっとだけ」
と、もっちゃんの隣に入ってきました。
「あー、ほんとだー。気持ちいいなあ。おひさまは すごいわ」
「ね」
 
「お布団だけじゃなくてさ、いやなことがあったときは、もっちゃんもお母さんも、おひさまにあたろうね」
お母さんが、お布団のなかでいいました。
「え?」
「ほら、おひさまに、ぽかぽかにしてもらおうよ」
「うん」
もっちゃんは、お母さんをぎゅっとしました。そして、ぽかぽかのなかで、いつのまにかねむってしまいました。

お母さんにだって、いろいろありますよね。
パートに行って、子育てもして、、、
お布団だって、ほんとは晴れの日には毎日、干してあげたいんだけど。
でも、だいじょうぶ。たった一度でも、子どもとのあたたかなひと時があれば、子どもはずっと、それを覚えていてくれます。

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