フェルメール作品はなぜ人気なの?
こんにちは 美術鑑賞が趣味の蓬田(よもぎた)でございます。
今回は、フェルメール作品について、取り上げてみたいと思います。
ここ30年ほどらしいですが、日本での人気がとても高まっています!
今回は、大阪芸術大学教授の泉谷淑夫先生が書かれた、フェルメール作品の本質についての研究論文の内容をご紹介するかたちで書いてみたいと思います。
みなさまのアート鑑賞の参考になりましたら幸いです!
日本での人気の謎
泉谷先生は「フェルメール作品はサイズも小さく、派手な場面もなく、描き方も穏やか。それなのに、なぜこれほどの支持が集まっているのか、ちょっとした謎」としながらも、日本における「美術鑑賞事情の変化」というアプローチから、人気の秘密に迫っています。
泉谷先生は、人気の鍵は「穏やかな光の表現」にあると言います。
描かれている内容は庶民の日常で、穏やかな光の表現が作品の生命線です。こういう特色を備えたフェルメールの絵は、誰もが受け入れやすい、難しい解説を要しないタイプです。
これまで、日本で人気になった画家は、メディアが話題化させて人気を作り出したり、美術史家の権威付けで人気が出たケースが少なくありませんでした。
けれど、フェルメール人気の場合は、メディア先行や権威付けとは無縁で、一般の日本人が初めて、自分の目と心で選び、愛好するようになったということです。
これを機に、日本人の美術鑑賞態度が主体的なものへと変わっていくならば嬉しい、とも言っています。
構図、形態、色彩に造形性が力強い
フェルメール絵画の特徴について、泉谷先生の論文から紹介してみます。
ひとつ目の特徴は、構図、形態、色彩に造形性が強いということです。
絵の中に、矩形や直線を意図的に描き込むことで、強い造形性を確保しています。
人物の向きや形態が整理されていることも、画面構成の力強さに寄与しています。
フェルメールの関心は、選んだ場面の文学的なドラマではなくて、フェルメール自身の主体性が生み出す「造形のドラマ」にあったと分析しています。
静けさと光に満ちている
もうひとつの特徴は、動きや物語性が抑えられているということ。
人物の動きは少なくて、描く角度も整理されています。
しかも、人体表現にも、さりげなく単純化がされています。
生活に喧噪をもたらす子どもや犬、猫なども登場しません。
窓は描いているものの、窓外の景色は見えず、窓はあくまでも、画面に光をもたらす装置として使われています。
その結果、画面に「静けさ」と「時間の停止」と「ただならぬ集中感」が生まれています。
泉谷先生は、描かれた日常の空間と時間が、あたかも「聖なるもの」「永遠なるもの」としての色合いを帯びてくるとも言っています。
年代順フェルメールの作品
年代順に、フェルメールの作品を紹介しましょう。
上記の特徴を知った後に見ると、鑑賞がさらに深まるかもしれませんね!
↑↑↑ 1657年頃《窓辺で手紙を読む女》
↑↑↑ 1657年~1658年頃《小路》
↑↑↑ 1658年~1660年頃《牛乳を注ぐ女》
↑↑↑ 1660年~1661年頃《デルフトの眺望》
↑↑↑ 1664年~1665年頃《水差しを持つ女》
↑↑↑ 1665年~1666年《真珠の耳飾の少女(青いターバンの少女)》
↑↑↑ 1668年《天文学者》
↑↑↑ 1669年~1670年《恋文》
↑↑↑ 1669年《地理学者》
↑↑↑ 1670年頃《手紙を書く婦人と召使》
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如何でしたでしょうか?
フェルメール作品につきましては、以前に「初心者のフェルメール」という記事を書きました。
フェルメールの人物や作品の特徴について、わたしなりに簡単にご紹介しております。もし宜しければ、ご覧になってくださいね。↓↓↓
みなさまのアート鑑賞がますます豊かになることを祈っております!
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