見出し画像

こだわり

私はなぜ生まれて来たのか、なぜ女なのか、なぜ男に生まれなかったのか、そんな疑問を抱いてきたせいか、性に対するこだわりが強いと思う。

女はこうしろ、スカートを履け、化粧をしろ、結婚して子どもを産むのが女の幸せなど、そう言われる度に「自分は女じゃない!」と心のどこかで叫んでいた。
今の時代は、服も職業も自由に選べるようになってはきたが、男女の役割や性差別など、まだまだ古い固定観念が残っている。

長年それに反発するように、女である自分を否定して生きてきたが、それはなんだか悲しいことだった。
生まれた性別は間違っていたと分かっても、完全に変えることはできない。
体を作り変え、名前と性別を変更して、元来の自分を取り戻して自分らしく生きる道もあるが、私は途中で立ち止まって辞めた。
自分が男になれば、周りの人の冷たい視線も変わるんじゃないかと思った。
けれど、中身が変わらなければ何も変わらないし、私に関わりのない人たちにとって、私の性別が変わろうがどうでも良いことだった。

私はこだわりを捨てた。
女でメンズファッションが好きで化粧しなくてもいいし、男でも化粧したりマニキュア塗っても、その人に似合っていたらいいじゃない。
変に思われようが嫌われても構わない。
私は私。
周りから見られる自分より、そのままの自分を表現しよう。

自分が嫌だと思う部分やコンプレックスさえも気にせず、きっと愛してくれる人がいるから。
それまでに自分自身を磨いて、こんな自分も好きだなって思いたい。
それが私の、新しいこだわり。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?