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人生は鑑賞型ではなくて体感型


わたしは人生で一度も、合コンをしたことがない。

「人生で」といっても、合コンをするような年齢になってからは10年くらいしか経っていないけれど、周りが合コンをしているのをただ見たり聞いたりしかしたことがない。
10年間、その機会を迎えずに生きている。


生まれてこの方まだ30年しか生きておらず、かつ、物心ついた時から考えたらもっと短くなるけれど、世の中ものすごく変化した。

幼少期にはなかったスマートフォン、携帯電話も折りたたみではなかったし、動画を撮るならビデオカメラが必要だった。
Blu-rayどころかDVDもなかったし、CDよりもカセットだった。
格安航空もなかったり、言語を学ぶツールも少なかったことで海外がものすごく遠かったように感じる。

いまは、なにか気になることは調べたらすぐに見つかるし、SNSやYouTubeを通じていろんな景色を見ることができる。
実際に体験していなくても目の前にないものまでも、VRを通して経験したような目の前にあるような心地にもなれる。

すごい時代。


だからこそ、経験したことないことまでも経験した「つもり」になってしまうことも多い。
行ったことない場所でも、聞いた話やネットの情報をそのまま信じてしまう。
見たことないもの、食べたことないものに関しても、そう。


オーストラリアに行く前に、オーストラリアは英語の訛りがひどいから英語を学ぶならカナダの方がいいよって言われた。
実際はオーストラリア人よりも、第二言語が英語の人たちのオリジナルアクセントに苦闘した。だけど、多文化の中で生活できたことは本当に大きな影響になった。(そしてカナダ人とも友だちになった)

日本人嫌いな人が多いらしい、と言われたけれど、全然そんなことなかったり、日本語を勉強しているオーストラリア人もいれば、アルバイト先ではオーストラリア人のオーナーは毎朝「おっはよ〜!」と言ってくれた(おはよう、ありがとうだけ覚えているらしい)

嫌なことがなかったと言ったら嘘になるけれど、嫌なことなんて日本でも起きるから大差ない。


先日、『映画配達人』というNPO団体の代表を務める方をテレビで特集していた番組を観たときに、カンボジアにもwifiが通っていることに驚いた。


日本だけではなくて、世界だって変わってきている。

それは昨年読んだ『ファクトフルネス』でも学んだことではあったけれど、想像以上だった。
知っている「つもり」になっていた。


現実は大きいことも小さいことも、体験してみないと分からない。
世界の情勢や、日本の治安などニュースで知ることは山ほどあるけれど、自分にとっての現実は目の前にあることと、歩いてきた道のりから築いてきたものの2つでしかない。

甘いと言われた果物が酸っぱいこともあれば、大変と言われたことが楽しめてしまうことだってある。
体験して初めて、わかる。

仮に想像通りでも、体験せずに「絶対たいへんだ!」と思うよりも、「想像通りたいへんだった!」と言えた方がたしかな経験値になって自分の中に生きていく。


わたしは人生で一度も、合コンをしたことがない。

それは周りに「合コン行ってもいい出会いなんてないよ!」、「昨日の合コン、まじでハズレだった」というような話を聞いてきたからで、テレビやYouTubeでもそういう飲み会の様子を見て知ったつもりになっていた。

だけど、本当はなにも知らない。

実際に経験してみたら、「なんだ、案外たのしいじゃん」と思うかもしれないし、「言われた通り、だめだ」と思うかもしれない。
でもどれもこれも、経験しないことには発言できないまま、わからないまま。
人生って体感型アトラクションのようだ。


だからといって、思いきり体感しよう!と思って真冬のノルウェーにビーチサンダルで行くのは違うとは思っている。

だから片一方ではなくて、『情報+体験』で人生を動かしていきたい。

ノルウェーが寒い北国であること。
冬は陽がのぼる時間が少ないからビタミン剤を必要とする人が多いこと。
夏は白夜で陽が沈まない夜があること。
税金が高くて、福祉が充実していること。
学んだから知っているけど、行ってみないことには自分がどんな風に感じるかは分からない。


別に合コンがしたかったわけではないけれど、学生時代の思い出として「そんなこともしたよね」と友人と盛り上がる話題にはなったんじゃないかな。

してこなかった過去に「してみればよかった」と思いを抱くことも多々ある、いまの年齢。
いろんなことが過ぎ去って、すこし冷静に過去を俯瞰できるようになったのかもしれない。

またすこし時間が過ぎた時に、すこしでも「してみてよかった」と思える体感型の思い出が増えるような日々を過ごしていきたいな。



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