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第3章 行政書士になるには

「月商100万円は、通過点」
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行政書士試験に合格する

これまで、行政書士として成功するために、業界の実態とマインドについてお伝えしてきました。

この章では、まだ行政書士の資格を取得していない、または資格は取ったが、行政書士の登録はしていないという方向けに、行政書士になる方法をあらためて解説します。

一般的に行政書士になるためには、行政書士試験に合格するしか方法がないと思われがちですが、他にも方法がありますので、自分に当てはめて考えてみてください。

まず、行政書士になるための最も一般的な方法が、行政書士試験に合格することです。

試験は財団法人行政書士試験研究センターが、すべての都道府県知事から試験に関する業務を委任されて実施しています。試験は年に1回、11月の第2日曜日に行うことになっています。受験資格は特になく、誰でも受けることが可能です。ただし、試験に合格することができても、行政書士になれないケースもあります。それが、未成年者や破産者で復権を得ない者などです。概ね当てはまらないと思われますが、行政書士を目指す以上は、こうしたこともチェックしてください。

試験の難易度については、ここ数年は合格率3%~9%ほどで推移しており、今度もおそらくはこのくらいの合格率が続くことでしょう。

司法書士試験などの超難関資格に比べれば、合格しやすい試験だと言えます。しかし、行政書士試験は法令科目と一般教養があり、どちらも広範囲にわたって出題されます。特に一般教養に至っては、ある種の「運」が必要と言えます。知っていればできる時事問題もありますので、知っている分野が出ればラッキー、という面は否めません。

なかには、どうしても一般教養と相性が悪い方もいます。そのために合格できないのであれば、行政書士以外の道を選ぶことも大切なことです。1章でお伝えしたとおり、行政書士が世の中の全てではありません。ある程度の「運」も必要と言える試験なので、2~3年受けてダメだったら、別の道を選ぶことも大切なのです。

特に、大学卒業を控えた若い人は、資格浪人をできるだけしないようにしてほしいと考えています。20代は体力的にも一番よく働ける時期ですし、経験を積める大事な時期でもあるからです。

このように、行政書士試験は特殊な試験と言えますので、なかなか合格できずに悩んだときには、もう一度「自分が何をしたいのか」を考えてみてください。

なお、試験の具体的な対策については、資格試験の本を参考にしたり、資格予備校などの専門機関に相談するなどしてください。試験は新しい情報を取り入れるのが重要です。ですから、できるだけ予備校のような生きた情報が入ってくる環境の中で、自分自身に合った方法を選ぶのがベストでしょう。

行政書士試験を受ける以外の行政書士資格取得法

ここでは行政書士試験に合格する以外の行政書士資格取得法について解説します。

まずは別の資格を取ることで、行政書士資格を得ることができます。その別の資格とは、次の4つです。
 ①弁護士
 ②弁理士
 ③公認会計士
 ④税理士
どの資格も難関資格ですが、これらの資格のいずれかを取得することによって、行政書士資格を得ることができます。

また、公務員として20年以上行政事務を取り扱った場合にも、行政書士資格を得ることができます。こちらも一覧にまとめましたので、自分自身が当てはまるかどうかチェックしてみてください。

なお、どの職種が行政事務に当たり、また当てはまらないかの具体的な判断は、行政書士を取り扱う行政書士会連合会に確認してください。

これらの方法でも、行政書士になる資格を得ることができます。

試験に合格しただけでは行政書士を名乗れない

最初によくある誤解を解いておきましょう。行政書士として活動するためには、二段階のプロセスが必要になります。

まずは行政書士となる資格を取得すること。試験に合格すれば、この資格が手に入ります。試験に合格すると合格証が来ますが、これをもって行政書士を名乗ることはできません。「登録」という手続きが必要になります。これが2つめのプロセスになります。

行政書士の登録は、行政書士会連合会が行っています。所定の書類をそろえて行政書士会連合会に提出し、登録費用を払います。これを一般的には「行政書士登録」と呼びますが、この行政書士会連合会への登録が済んで、初めて「行政書士」と名乗ることができます。

「行政書士登録」は、すぐに完了するものではありません。所定の書類を集め、書類に必要事項を記入して提出しますが、登録が完了されるまでには数週間から数か月もの時間がかかります。ちょっと古い話で恐縮ですが、私の場合は2003年3月頃に申請し、登録されたのは同年の5月でした。ですから、2か月弱かかったことになります。

また、登録には「登録費用」がかかります。これが都道府県ごとに異なるのですが、10数万円~30万円程度の費用が必要です。

また、月々の会費として7000円(年間で8万4000円ほど)の会費がかかります。これは行政書士であり続けるためにはどうしても必要な費用で免除されません。

さらに、行政書士会には「単位会」という都道府県ごとの会があり、その下に「支部」という組織があると以前に解説しましたが、その支部でも会費がかかることがあります。例えば、私の所属する渋谷支部の会費は、年間で1万2000円です。

このように、行政書士資格を取ったあと、登録費用や会費を支払うことによって、行政書士になることができます。この費用を安いと考えるか高いと考えるかはあなた次第ですが、登録をしたらこのくらいの費用は軽く稼ぐくらいの決意は持ちたいものです。

なお、行政書士としての事務所を他県に移転する場合には、再度登録費用がかかります。そのため、事務所の住所は慎重に決める必要があります。

資格の難易度とランク付け

行政書士の資格を「難関資格よりは取得しやすい」とお伝えしましたが、資格のランクの考え方には注意が必要です。

結論から言ってしまえば、資格の違いは「格」の違いではなく、「質」の違いだということです。現実的には、資格試験に難易度の差がある以上、どうしても格付けをしてしまいがちです。

「私は行政書士。だから、司法書士や弁護士よりは格下」

確かに世の中にはそういった考え方があるのは事実です。しかしながら、そう考えていると、最終的には難易度の高い試験に合格しないと納得できない人生になってしまいます。

あなたがどうしても「難関試験に受からなければ、自分の人生には意味がない。何億稼いでも意味がない」と言い切るほど難関資格にこだわっているのでしたら、難関資格を狙わないと不幸な人生になります。

しかし、もしあなたが「行政書士として、お客様、家族、スタッフを幸せにすることが目的」であれば、資格の違いは「格」の違いではなく「質」の違いと捉えましょう。

※掲載されている内容は、作品の執筆年代・執筆された状況を考慮し、書籍販売当時のまま掲載しています。

本書「行列のできる行政書士事務所の作り方」は、当初「Marketing Grip」と改題し、POWERCONTENTSPUBLISHINGより加筆編集の上再出版される予定でしたが、現在の刊行が未定となったため、現在は横須賀輝尚オンラインサロン四谷会議でその改変原稿を読むことが可能になっております。

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