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神影鎧装レツオウガ

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2021年3月の記事一覧

神影鎧装レツオウガ 第百三十話

神影鎧装レツオウガ 第百三十話

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Chapter14 隠密 05
「大丈夫、かな」
 思わず、アリーナは独りごちた。
 当面の目的地である託宣の部屋に入った辺りから、辰巳の通信と位置情報は途切れている。明らかに通信妨害だ。まぁ本拠地へ忍び込んだのだから、寧ろ良くあそこまで保ったと考えるべきか。
「侵入直後から遮断される可能性だってあったワケだし、ね」
 想定されていた最悪の可能性を、アリ

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神影鎧装レツオウガ 第百二十九話

神影鎧装レツオウガ 第百二十九話

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Chapter14 隠密 04
「ふー」
 辰巳は息をつく。カップを置き、ギャリガンを見据える。
「……まるで悪の科学者だな」
「おっと、勘違いして貰っては困るねえ。僕は魔術師だよ」
「悪の、ってトコは否定しないんだな」
「そりゃそうだろう? ここまで世の中をしっちゃかめっちゃかにした組織の首魁が、今更どのツラを下げて正義を名乗れると言うのかね」
「ま、

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神影鎧装レツオウガ 第百二十八話

神影鎧装レツオウガ 第百二十八話

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Chapter14 隠密 03
「……」
 構えを解かぬまま、辰巳は油断なくギャリガンを、次いで傍らに立つメイドを見やる。
 浅黒い肌、黒い髪、すらりとした長身。立ち姿を見ただけでも分かる。並の使い手ではない。
 だが当のメイドは辰巳の警戒なぞどこ吹く風、滑らかな手つきでティーポットへ湯を注ぎ始めた。ガラス製のポットはたちまち琥珀色に染まり、内部の茶葉が

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神影鎧装レツオウガ 第百二十七話

神影鎧装レツオウガ 第百二十七話

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Chapter14 隠密 02
「先見術式を起動した時、僕は何を体感すると思う?」
 射撃。
 脳天に弾丸を叩き込み、辰巳《たつみ》はギャリガンを黙らせた。血飛沫じみた霊力光を撒き散らす分霊《ぶんれい》に目もくれず、辰巳はアリーナへ通信を入れる。
「アリーナさん」
「ええ、最短経路ですね」
 此方の存在が露見した以上、隠密行動や破壊工作といった小細工の意

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