- 運営しているクリエイター
2020年5月の記事一覧
神影鎧装レツオウガ 第八十七話
戻る 総合目次 | マガジン | 進む
Chapter10 暴走 08 白と、黒と、灰色。
それが今、風葉の視界に映る色彩の全てであった。
白は雪だ。しんしんと降り積もる結晶は、今でさえ足首まで埋めている白色を、更に厚く塗り重ねていく。
黒は森だ。降り続く雪の帳の向こう、悠然と連なる巨大な木々は、槍じみた枝を空めがけて突き刺している。
そして、灰色は空だ。木々の更に向こう、降りしきる雪
神影鎧装レツオウガ 第八十六話
戻る 総合目次 | マガジン | 進む
Chapter10 暴走 07
「ヘッヘ、OKオーケー。どォやらギャリガンが予知した通りの流れになッたようだなァ」
オウガとフェンリルが睨み合うEフィールド、その階下。透過処理された天井越しに、ハワードは状況を見上げた。
口角が上がっていたのは、しかし数秒。劈く金属音と爆発音がため、ハワードはすぐさま渋面に戻ってしまう。
「アー。しかしこッちは上手く
神影鎧装レツオウガ 第八十五話
戻る 総合目次 | マガジン | 進む
Chapter10 暴走 06
コクピットを満たす紅茶の香り。しばらくそれを楽しんだ後、マリアはティーカップを傾けた。
舌の上を転がる、熱い琥珀色。こくりと鳴る喉。じわと染みる熱。賦活する霊力。
この紅茶にも回復効果は含まれているのだ。
「ふ、ぅ」
息をつくマリア。ようやく人心地ついた。だが同時に、飲んでる場合なのかという疑問符も沸き上がって来る
神影鎧装レツオウガ 第八十四話
戻る 総合目次 | マガジン | 進む
Chapter10 暴走 05
TRRRRR。TRRRRRRRRRRRR。
「……おっと」
鳴り響く通信音に、ギャリガンは目を開く。ここはレイト・ライト社執務室――だった部屋だ。今は随分と趣が変わっている。スレイプニルへの変形に伴い、壁から迫り出してきた大小の計器類、特に大型モニタが強烈に自己主張していた。
「ご主人、通信ッスよ」
どうあれ、少し物思