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横島孝太郎
2019年6月27日 13:06
戻る 総合目次 | マガジン |Chapter06 冥王 06 転移術式装置を降りて、二歩三歩。 制御装置群の只中に、巌は立った。先程まで利英が作業していた場所だ。 見れば、正面には大型のプレート状転移術式装置。直径こそ大きいが、紋様自体は足下のものと同じだ。「改善されたとはいえ、やっぱ正規のに比べたらちといびつだな」 顔を上げる。灰色の丘の上、レツオウガの姿が見えた。 つい、と
2019年6月20日 12:33
戻る 総合目次 | マガジン | 進むChapter06 冥王 05 ごうどうと。どうどうと。 瀑布じみて噴出する霊力が、ウェストミンスター区中へ凄まじい勢いで広がっていく。建物等への被害こそ無いが、その様はもはや水害のそれだ。 水面の高さは三~四メートルくらいだろうか。その密度と流れる勢いだけで、全ての大鎧装が足を取られてしまっている。 歩兵部隊も沈んでいるが、皆フェイスシールド
2019年6月13日 19:30
戻る 総合目次 | マガジン | 進むChapter06 冥王 04 ずしん。 重く巨大な音が、イーストエンドに響く。 足音だ。ホバーモードを解除したディスカバリーⅢ小隊が、一斉に地面を踏みしめたのである。 数は三、後続無し。随分控えめな数だが、ウェストミンスター区では未だキクロプス達との戦闘が継続しているのだ。仕方あるまい。 無表情なモノアイと銃口が、油断無いチームワークで立体駐
2019年6月6日 12:41
戻る 総合目次 | マガジン | 進むChapter06 冥王 03 時間は少々さかのぼって、冥が地獄の火《ヘルファイア》洞窟へ乗り込んだ頃。 ランベス橋から北東、直線距離で約六キロ。そこには、高い尖塔が印象的な一軒の教会がある。 クライストチャーチ・スピタルフィールズ。十八世紀初頭に建築された、この区画のシンボルだ。 馬上槍めいて青空を突き刺す尖塔は、二十一世紀の今日においてもなお