マガジンのカバー画像

神影鎧装レツオウガ

193
運営しているクリエイター

2019年6月の記事一覧

神影鎧装レツオウガ 第四十二話

神影鎧装レツオウガ 第四十二話

戻る  総合目次 | マガジン |

Chapter06 冥王 06
 転移術式装置を降りて、二歩三歩。
 制御装置群の只中に、巌は立った。先程まで利英が作業していた場所だ。
 見れば、正面には大型のプレート状転移術式装置。直径こそ大きいが、紋様自体は足下のものと同じだ。
「改善されたとはいえ、やっぱ正規のに比べたらちといびつだな」
 顔を上げる。灰色の丘の上、レツオウガの姿が見えた。
 つい、と

もっとみる
神影鎧装レツオウガ 第四十一話

神影鎧装レツオウガ 第四十一話

戻る  総合目次 | マガジン | 進む

Chapter06 冥王 05
 ごうどうと。どうどうと。
 瀑布じみて噴出する霊力が、ウェストミンスター区中へ凄まじい勢いで広がっていく。建物等への被害こそ無いが、その様はもはや水害のそれだ。
 水面の高さは三~四メートルくらいだろうか。その密度と流れる勢いだけで、全ての大鎧装が足を取られてしまっている。
  歩兵部隊も沈んでいるが、皆フェイスシールド

もっとみる
神影鎧装レツオウガ 第四十話

神影鎧装レツオウガ 第四十話

戻る  総合目次 | マガジン | 進む

Chapter06 冥王 04
 ずしん。
 重く巨大な音が、イーストエンドに響く。
 足音だ。ホバーモードを解除したディスカバリーⅢ小隊が、一斉に地面を踏みしめたのである。
 数は三、後続無し。随分控えめな数だが、ウェストミンスター区では未だキクロプス達との戦闘が継続しているのだ。仕方あるまい。
 無表情なモノアイと銃口が、油断無いチームワークで立体駐

もっとみる
神影鎧装レツオウガ 第三十九話

神影鎧装レツオウガ 第三十九話

戻る  総合目次 | マガジン | 進む

Chapter06 冥王 03
 時間は少々さかのぼって、冥が地獄の火《ヘルファイア》洞窟へ乗り込んだ頃。
 ランベス橋から北東、直線距離で約六キロ。そこには、高い尖塔が印象的な一軒の教会がある。
 クライストチャーチ・スピタルフィールズ。十八世紀初頭に建築された、この区画のシンボルだ。
 馬上槍めいて青空を突き刺す尖塔は、二十一世紀の今日においてもなお

もっとみる