見出し画像

ニューヨークの治安。そして、日本のこれから

コロナ禍で、日本に一時帰国していた友人が仕事のためにニューヨークに戻った。「渋滞もなく、人の歩いていない、こんなマンハッタンを見た事がない!」と、メッセージが届く。常に人が多かったチャイナタウンも人がまばらで、暇を持て余すウェイターの方たちのサービスがすこぶる良いという事実にカルチャーショックを受けてもいるもよう。

ニューヨークから人が流出しており、レストランをショップを再開したくても、フロア担当の人が足りずに再開できないという声もあるのだとか。

ここまでは雑感として耳にしていたことはあったが、ここからがビックリ! 

とにかく治安が悪くなっているのだという。

警察が減り、ホームレスが増加した影響らしい。銃や弾薬の売り上げも伸びていて、不動産業を営む友人の知人が「生まれて初めて、ニューヨークに住むのはヤバイかも」と感じているのだそうだ。次は薬物が蔓延し、治安の悪さが加速する流れを予想する別の知人もいる。

調べてみると、昨年8月と比べ発砲事件の件数は166%上昇。

「治安悪化はBLMのせいだ」とする意見も噴出してきているのだという。

トランプ大統領は、治安の悪化を容認する地方政府(ポートランド、シアトル、ニューヨーク)への予算を見直す覚書にサイン。

連邦資金が不当に浪費されず、生命、自由、財産を保護するという政府の誓いに違反するかたちで浪費がされないために、連邦政府が無政府状態、暴力を許可する管轄区による連邦資金の使用を検討することが不可欠です。

それを受け、NYのクオモ知事は急遽電話会見。

トランプ氏に「ニューヨークを歩くならボディーガードではなく、軍隊を連れてきた方が良い」と猛反発し市民の反感の強さを強調。「史上最悪の大統領だ」と酷評した。

あのハワイのワイキキでさえ、今は治安が悪くなっており、夜、一人で歩くには危険を感じる状態なのだという。

民主党が強いエリアはロックダウン。共和党が強いエリアはロックダウンしない傾向があるらしく、ハワイは民主党が強いエリア。「ロックダウンは生活に余裕がある富裕層が主張しがち」という意見もあるようで、これらは11月の大統領選挙に大きなる影響を与えてしまうのだろうな、と。

以前は、共和党は「金持ちの人たち」の党、民主党は「貧しい人たち」の党というイメージがあった。しかし、いまではそれが逆転し、民主党には富裕層、高学歴という印象が定着しつつある。

富裕層がNYを脱出し始めており、このままでは税収がままならなず、今よりも治安は悪化すると予想されている。マンハッタンの治安が改善し、活況な状態に戻るには、かなりの時間を要すことは想像に難くない。

リーマンショックのときもそうだったが、雇用主側は人手不足の状態にならないと採用を増やそうとしないため、いったん失業者が増えると、なかなか簡単には回復しない。このコロナ禍でも同じ現象が起きている。

SNSで知った銀座ど真ん中のGINZA SIXや地下街の飲食店が閉店を余儀なくされているという記憶とどこかで重なる。

先頃紛糾した「自助・共助・公助。この国づくりを行っていきたいと思います」との菅氏の発言に、かなり不安を抱いてしまうのは私だけなのだろうか?

「まず自分でできることは自分でやる、自分でできなくなったらまずは家族とかあるいは地域で支えてもらう、そしてそれでもダメであればそれは必ず国が責任を持って守ってくれる。そうした信頼のある国づくりというものを行っていきたいと思います」(菅氏)

防災の文脈と(菅氏が発言した)国家方針や社会政策の文脈とでは、意味が真逆になると専門家は指摘する。

「これが国家方針の文脈で語られるときには、『自分のことは自分で守る。それができなければ地域コミュニティーで助け合う。それもできなければ国が最低限は助ける』という意味になります。裏を返せば、自分のことを自分で守れなければ切り捨てられても仕方ない、という新自由主義的な発想です。国は最低限のことはするけれど、生活の質や尊厳までは守りません、という“切り捨ての論理”になるのです」

日本は、これまで景気が冷え込んでも治安がわかりやすく悪化することはなかったように思う。けれど、それは個人の資質に委ねられてきた部分が大きい。右肩上がり時代は乗り切れたかもしれないが、国力が落ちていくとき、またしてもそれらは個人に委ねられてしまうのだろうか? はたして乗り超えられるのだろうか?



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?