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【リモートの可能性】ノーミーツ。NO MEETS、NO蜜、濃密……

webマガジンを運営していた頃、だいたい毎月2本ペースでリアルイベントを実施していた。ピーク時は毎週末。編集業の傍ら、台本をチェックしたり、全国を移動する日々。楽しいかったけれど、なかなかにハードだった。

有り難いことに、「私の街へはまだですか」「近くだったら行きたいです」というコメントをたくさんいただいた。けれど、なかなかに限度があり、もちろん全国津々浦々に足を運ぶことは叶わなかった。

今、オンラインでのイベントが盛況になっている。「リアルイベントが開催できないから」というネガティブなものだけでなく、オンラインだからの利点を生かした内容のものが増えてきているように思う。あの頃、場所の制約がないオンラインイベントをしてみたかったな、と少し悔やまれる。

最近の中でいちばん興味深かったのは、劇団ノーミーツの旗揚げ公演 「#門外不出モラトリアム」だろうか。なんとリモート劇団! 千秋楽を観た知人が、興奮のメッセージをくれた。2日間で3000人以上の方の視聴があったらしい。通常の小劇団の旗揚げ公演でそのようなキャパシティの会場を抑えるのはまず無理であろうから、演劇の可能性を押し広げた公演だったのではないだろうか? 

ドラマも続々とリモートドラマが放映されるようだ。

いちばん楽しみにしているのは脚本・坂本裕二さんのNHKドラマの『Living』。坂本作品は日常の何気ない会話の応酬が楽しい。その会話を通し、リモートでなければ成立しない世界観がきっちり醸成できている作品なのではないか、と大いに期待している。

リアルな現場での、これからのドラマの撮影様式がニュースになっていた。キスシーンやアクションシーンをなるべく避ける、とある。ストーリーに必要な演出についても明記されていることがとりわけ気になる。

そして、雑誌や書籍など紙媒体でも、リモート撮影された写真がどんどんリリースされる。被写体が自身の部屋にいながらの撮影は、よりプライベートな表情、素の魅力などを激写しやすくなるのかもしれない。これも新たなる可能性を感じる。

タレントの重盛さと美さんの編集以外は完全に自前(作詞・作曲・ヘアメイク、スタイリング、そして自室)という映像作品のクオリティにも驚いた。これも今回のおうち時間がなかったら、生まれなかった名作だと思う。

ロシアのアーティストのリモート作品『There are so many ghosts at my spot』。この作品は、コミュニケーションと人間の接触を必要としない世界を描く。現実世界では、自己管理とともに人間の日々の親密さはやっぱり大切だ、とキャプションが添えられている(自動翻訳をさらに意訳しているので、違うかもしれない)。

ひとり遊びの極みのような動画を見つける(ここまでくると、ひとりではないのだろうけれど)。

3分にわたるミラクルのラストメッセージ。

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クリエイティビティというものは、いかなる場合も自由で、希望を感じさせてくれるものなのだな、と思う。そして、自分は、いったいこの自粛生活で何を創出していたのだろう、と考えると軽く落ち込む。

とりいそぎ、今週末に、見逃してしまった劇団ノーミーツの一度きりの再上演を鑑賞して、自分の尻を叩いていこうと思う。


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今日の一本『her/世界でひとつの彼女』


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