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日本医師会・会長選、次の任期への公約

前回の公約発表については、特に喫緊の課題であるコロナ対策を中心にお話しましたが、今回は、全般的なお話と、中長期的な取り組みについてお話をしたいと思います。

*前回の公約発表は以下のリンクからご覧ください。

今まで、三つの基本姿勢と三つの基本方針を掲げてきました。三つの基本姿勢、すなわち、Action 積極的な行動、Balance 全ての取り組みに偏りない政策、そしてChallenge 新たな取組にも挑戦でした。この姿勢を持って三つの基本方針を進めていくことの表明です。

三つの基本方針は、かかりつけ医を中心とした「まちづくり」、医療政策をリードし続ける医師代表としての「組織づくり」、そして将来の医療ビジョンを見据えた強固な医療体制と「人づくり」であります。

(1)かかりつけ医を中心とした健康な「まちづくり」
 1.健康寿命の延伸と全世代型社会保障の実現
 2.危機管理体制の強化
 3.地域包括ケアのさらなる推進とかかりつけ医機能の充実
 4.医師の働き方改革
 5.医療事故調査制度の円滑な運営と提言

(2)医療政策をリードし続ける医師代表としての「組織づくり」
 1.命と尊厳を守る医療の推進
 2.組織強化に向けた医師会入会の促進
 3.医学の発展と医療の充実に貢献する「医師を代表する団体」への発展
 4.機動力を発揮するための自律と有機的連携
 5.医師連盟強化に対する支援
 6.医師国保組合の存続・発展への支援
 7.消費税の見直しと、税制・社会保障制度全般の再検討

(3)将来の医療ビジョンを見据えた強固な医療体制と「人づくり」
 1.医療界の代表として、感染症拡大防止と医療崩壊回避を支援
 2.日本の医療のあるべき姿「グランドデザイン」のさらなる展望
 3.AI・ICT化による進化する医療
 4.若手医師の育成強化とリモート会議等の環境整備
 5.国民の信頼にこたえる新専門医制度の構築

ここで掲げた各項目を縦糸とすると横糸となるべきは、(3)の2に触れた日本の医療のあるべき姿「グランドデザイン」です。昨年発表した「日本の医療のグランドデザイン2030」のアクションプランを実行することによって、ここで掲げた政策テーマも有機的に実現されていくのだと思います。

アクションプランは、第1期、第2期、第3期と続いていく予定ですが、第1期は本年7月1日から第2期2021年1月から別添の資料の内容で進めてまいります。(日本の医療のグランドデザイン2030 アクションプラン概要)

日本の医療のグランドデザイン2030
第3部アクションプラン概要

Ⅰ はじめに

一人ひとりを守り、無数の「一人ひとりを守る」の結果、その集積によって社会を守る。第一部の冒頭で掲げた医療のミッションはこのプロセスに集約され、またここから派生する。

人が人であるがゆえに保障された基本的人権の尊重が、限られた医療資源の合理的活用を理由として軽んじられることは許されない。社会を守るためという理由で安易に個人の権利が制限されることも避けなければならない。しかし一方で、受療行動など医療に関わる日常の行動選択において、また新型ウイルス等の感染症が蔓延したとき、個人に認められた自由が発揮された結果として医療のみならず社会全体が危機に瀕することは十分起こりうる。基本的人権を尊重したうえでこうした危機を回避するためには、一人ひとりが科学的知見に基づいたより合理的行動選択をし、その結果として社会全体もまたより合理的な選択や反応をする環境を作る必要がある。

そして、2020年4月非常事態宣言を発令させた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックは、日本の社会と医療の問題について多くの問題点を炙り出した。これを踏まえ第一部で描いたあるべき医療の姿を実現するために、第二部で明らかにした医療の現状と課題を考慮したうえで、第3部ではとるべき道を示し、現在考えられうる方法について提示する。単に提言にとどまるのではなく、日本医師会がその活動のひとつとして行う行動計画を立案する。

また同時に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによる人類社会の受けた惨禍をみすえ、社会のあり方に対する医療者からの宣言と提言を発信することを広く呼びかける。アクションプランでも、これに連動して、より効果的な行動計画の作成と実施を行う。

Ⅱ 社会環境整備のために

「日本の医療のグランドデザイン2030」で提起した「あるべき医療の姿」の実現に必要な社会基盤、環境を作るためには、「賢明な選択」が行われる土壌が育成され、「法的基盤」の充実と制度的な配慮がなされ、医療が果たすべき使命と、その生み出す価値についての認識と理解が共有されることが必要と考える。日本全体を視野におき、あるべき医療の姿を実現することを目途とした必要な社会基盤を作るための「提言」「行動計画」をここで提起する。

(1) 学習指導要領の改定への提言・教育による社会の強靭化
一人ひとりのより合理的行動選択には、初等、中等教育での医学、医療、健康についての体系的、継続的な教育が不可欠である。健康を維持する、あるいは疾患に罹患するメカニズムを1人でも多くの人が理解することを実現していかなければならない。今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックに見られるように、必要な行動変容を起こすためにも、全体として医学、医療、健康についての体系的、継続的な教育は必要である。先行するがん教育とも連動し、教育現場の働き方にも配慮した提言を作成することが必要である。

また、現行の学校教育制度を見直し、オンライン授業の強化、部活動のあり方の見直し、不登校児童生徒のための居場所の整備、給食・子供食堂・食育等を通じての子供の栄養状況の改善、パンデミックへの対応など、現在や将来に向けての環境変化への対応を進める必要がある。
a 学習指導要領改定への医療界からの提言作成、b 提言を核とした医療教育の実施、c 児童生徒の栄養状態の改善、d 不登校への対応、居場所とセーフティーネットの整備、e パンデミックへの対応、f 先行的事例を共同できる市町村において実施

上記項目を達成目標として、学習指導要領の改定および関連課題への提言の作成を以下の要領で実施する。

* 学習指導要領の改定および関連課題への提言の作成
(ア)提言作成委員会の設置
(イ)提言基案の作成
(ウ)基案の公表と批判の集積
(エ)提言の作成と提言

* 提言を核とした医療教育の実施
(ア)先行事例としての医療教育の共同自治体の募集
(イ)共同自治体での先行的実施

* 紋別市、瀬戸内町とは医療教育導入で基本的合意済み

(2) あるべき医療についての法的環境整備
医療を社会にどう位置づけるかについて医療基本法の成立と周辺法の整備が待たれるが、医療現場に日常的に散見できる法的に合理性を欠く習慣や行為について是正を進めることも重要である。知りうる限りのそうした習慣や行為を収拾して、それに対する是正のための提言を作成し、その提言が受け入れられるよう進め是正を実現する。
* 医療基本法の実現後の周辺法の整備
* 医療の現場における法的およびその他の非合理の是正

(ア) 救急医療現場での問題の掘り起こしと是正案の提示
 ① 問題の抽出と分析
 ② 是正案の作成
 ③ 学会での発表
 ④ 是正案の修正
 ⑤ 是正案の提案
* このうち、第一例として救急現場での破壊行為については2019年臨床救急学会で発表。是正案も作成済み。

(イ)個人情報保護と生存権との間の問題整理
 ① 問題の抽出
 ② 問題の分析と整理

(3)医療情報産業の健全な発展のための基盤整備
ICT技術の活用は医療にとって必要不可欠な条件になっている。しかし、電子カルテの導入以来、特に医療機関にとって大きな負担も生み出している。医療者の効率的な働き方の実現のためにも、この分野の健全化は乗り越えなければならない課題となっている。一方、情報産業の成長も経済全体にとって必要である。医療界にとっても情報産業にとっても健全な発展が求められている。

 ① 医療界と産業界の懇話会の設置
 ② 担当者の選定
 ③ テーマの検討
 ④ 懇話会の開催

(4)医療経営の最適化への環境づくり
まずは、平時だけでなく、パンデミック等の災害発生時の医療供給体制の維持(資源配分、確保、施設設置、配置、医療者のストレスや疲弊対処、危険回避等も含め)のための経済、経営的な視点での制度のあり方、環境の作り方を再検討する必要がある。

現在の損益分岐点の位置で、果たして医療機関が人を守るという使命と責任を果たしうるものなのかの検討も必要である。現在日医総研でこの点についての作業が開始されている。準備が出来次第発表する。

また近年の医療費の増大は経済の新たな成長分野として、大小さまざまな企業や個人が医療を市場として注目し参入を図っている。また科学と技術の目覚しい進歩も医療を魅力的な市場に変えてきた。医療が人の命と尊厳を守るミッションを果たしつつ、この分野の経済的成長を促すために医療界と産業界の「対話」と共通課題への挑戦が求められている。
*医療機関の経営環境、社会条件の分析研究
* 医療ベンチャー企業と医療界との対話の場の設置
* 病院、診療等への経営環境整備の支援
* パンデミック発生時、自然災害発生時の薬剤医療材料の供給力整備
* 緊急時の医療機関の運営サポートの枠組み作り

(5)「社会の中に医療をいかに位置づけるか」への理論整備
* 医療への資源配分の適正化、住民の負担の適正化のための理論整備(法学、経済学、経営管理学、社会学、社会心理学等)
* 安全保障としての医療を機能させるための医療資源の配分、施設・人員配置の基準の見直し(緊急時の需要を想定したベッド数等の新基準作り)に資する理論整備(法学、経済学、経営管理学、社会学、社会心理学等)
* 行政、産業界を含む成人への啓蒙に必要な理論整備(法学、経済学、経営管理学、社会学、社会心理学等)

(6)医療供給体制の整備
近年、「増え続ける医療費」への対応を主たる動機として病床の減床が進められてきた。他の主要先進国に比べると、人口当たりの医師や看護師の数は少ないものの病床の数は多く、病床の減床が医療改革の一つの柱として進められてきた。たしかに過剰な病床はいらない。しかし、平時の医療需給だけに基づき病床等の施設数を決定するのは危険である。病床削減を進めてきたイタリアでこれが原因で医療崩壊が起きたことは対岸の火事ではない。そのイタリアに比べ集中治療病床が人口当たり半分以下という日本の現実は、日本の医療供給体制の脆弱さを表している。また、所得の大小などの条件に関わらず予防や保健で健康が守ることができ、疾患に罹患した際も所得の大小などの条件に関わらず早期の受診ができる制度と、また医療機関間の役割分担と合理的な運用を見据えた上で、新型ウイルスによるパンデミックのような災害の発生も考慮して以下の課題に取り組む必要がある。

① 安全保障システムとしての医療供給体制の設計
 ・パンデミックやその他の災害時を想定した病床数(一般病床、陰圧病床、ICU病床等)の必要最低数の計算と確保
 ・人工呼吸器、ECMO等機材の最低必要数の計算と確保
 ・ICU専門医、専門看護師等の人材の育成(最低人員の計算と確保のための政策誘導)
 ・地域医療計画との連動と計画の見直し
 ・ かかりつけ医の機能強化と多職種連携による患者の受療フローの再構築(医療圏に関わらない広域連携、医療機関間の機能分担も含む)
 ・ 保健所の強化と二重行政による弊害の排除
② 労働環境の改善とストレスへの対応策の設定
③ 災害発生時に限定した地理的遠隔地等での遠隔医療の整備
④ 災害発生時、製造、製薬、流通、情報産業等との他職種連携の整備
⑤ 災害発生時、医療者の安全確保のための環境整備
 ・ 資材の備蓄と共同購入の仕組みの設計
 ・ 発熱外来の設置、感染者受け入れ医療機関でのゾーン設定
 (自治体ごと、郡市区医師会でのプレハブの設置、病院設計時の配慮等)

医療は安全保障システムであるという視点に立ち、平時の需要だけを根拠にするのではなく、パンデミック等の災害時の対応を想定した医療供給体制の設計が必要である。

(7)医療供給体制の基盤づくり
医療供給体制の整備には、その社会基盤の強化が必要である。(5)で、社会の中に医療をいかに位置付けるについての理論整備の必要性について指摘したが、まさに医療の社会機能、医療が生み出す社会価値を考えた上で、資源配分や、医療に関わる制度設計が決定させる必要がある。医療費を抑制するだけではなく、適正な規模を算出し確保する、医療における消費税のあり方を再考する、こうした各論はもちろん重要であるが、こうした各論の最適化だけでは問題解決としては現実的ではない。この国の社会保障と税制の問題について考え直す必要がある。すなわち、この問題について医療から議論の喚起と政策提言を行う。

(8)かかりつけ医の機能強化
(9)予防医療の推進、(10)基礎疾患の重症化予防も視野に置き、かかりつけ医の機能強化を図る必要がある。多職種、病診連携のハブとしての制度設計と、ミッションを十分に担うための機能強化を図る必要がある。さらには、かかりつけ医として日々の診療にあたる医師へのサポート体制の強化を図る必要がある。現在でもかかりつけ医の研修など医師の生涯教育については様々な取り組みがなされているが、さらなるカリキュラムそのものの充実と、受講しやすさなどの仕組みの工夫を進めていく。

(9)予防医療の推進
予防医療については医療費の削減を目的として、その必要性が語られることも少なくない。予防医療は、疾病に罹患するという不幸を前提にした通常の医療ではなく、不幸を回避する確率を上げるための医療である。より健康で、なるべく長期にわたり自立した行動ができる身体環境を整備する個人個人の幸福の基盤を作る医療である。現行の診療報酬には反映されないが、共同できる自治体と都道府県、郡市区医師会等と先行事例を作り、将来的には診療報酬の体系の中に位置づける提言をしていく。同時にかかりつけ医の生涯学習カリキュラムの中で整備していく。

(10)基礎疾患の重症化予防
基礎疾患の重症化予防については、検診率の向上等で、より広範に患者や
患者予備軍を洗い出し、かかりつけ医の診療能力の向上、自治体との共同、自治体間の協力を図る必要がある。

糖尿病の重症化予防について、日本医師会はJ-DOME等ですでに取り組んでいるが、これら先行事業をさらに進めると共に、共同できる自治体との間で先行事例を進めていく。

(11)ICT技術の利活用等技術革新の医療への導入
医療のIT化とは何かを原点から考え、将来を考える目的で「医療IT委員会」を置き、2年にわたって議論を重ね、本年5月に答申がまとまった。そこでは「許容できるものはなるべく受け入れて、少しでも役立つような方向に迷わずに進んでいくことが、医師の働き方等の問題解決にもつながる」とされる一方で、「『ヒポクラテスの誓い』や『医の倫理』は、いつの時代においても変わることなく医師が守り伝えていくべきものである」という基本精神の確認もしている。

ビックデータの活用、個々の診療における情報システムの活用から始まり、より広範な新技術を活用し、患者の負担の軽減、より有効な情報の活用、医療者の働き方の改革や、医療現場での生産性の向上を図っていく必要がある。

(12)パンデミックへの対応システムの整備
日本医師会COVID-19有識者会議の議論を踏まえ日医総研でパンデミックへの対応システムを作成している他、社会全体のあり方に対する医療界からの提言をまとめている。

Ⅲ 先行事例の実現に向けて

あるべき医療の実現のために社会基盤、制度、環境を整備していくことが必要であるが、社会全体わたる基盤、制度、環境を整備することは時間もかかりまた完結することもない事業である。歴史の求めに応じてこの事業の成果を出し続けるためには社会全体を対象とした取り組みに加え、より小さな地域や、特定のテーマを対象とした先行事例を必要に応じて実現していくことも必要と考える。地域医療、教育、予防などをテーマとして、以下にあげる4件の事業を進めることとする。なお、先行事例の実現としての事業は、アクションプランの実施の過程で求められるテーマが出現した場合にはさらに事業を増やしていく。

(1)人口過疎地の地域医療連携モデルの設計と実施支援

(ア)紋別市との協定による先行事例事業
 * 糖尿病の重症化予防の行動計画作成とその実施
 * 血圧のコントロールの行動計画の作成とその実施
 * 市内小中学校での健康教育の実施

 * オホーツク広域連携の支援
 ① オホーツク広域医療連携フォーラムの設置運営支援
 ② 網走市、北見市での糖尿病重症化予防事業の推進支援
 * 北海道医師会との共同

 *オホーツク広域医療連携推進支援を目的とし、2019年8月紋別市において、「横倉義武日本医師会会長と地域医療を考えるオホーツクフォーラム」と題したフォーラムを開催した。開催地紋別市市長をはじめ、北見市長、網走市長、遠軽町長、管内四つの基幹病院から北見赤十字病院長、遠軽厚生病院長、網走厚生病院長、広域紋別病院副院長、紋別、北見、網走、遠軽、美幌の医師会長、保健所長、北海道医師会会長、事務局長、救急担当理事が出席して開催され、今後継続していくことで合意を得た。

(2)離島僻地の地域医療・地域総合計画作成支援と実施支援
 * 奄美大島瀬戸内町との協定
 * 瀬戸内町のGD、行動計画作成支援
 * GD作成、行動計画作成の会議の設置
 * 予防医療・保健の整備
 * 離島での健康調査、健康意識調査(東大・名大医学生によるフィールドワーク)
 * 外部講師による研修
  7月 真弓俊彦産業医科大学救急医学教授
  9月 竹村洋典東京医科歯科大学総合診療部教授
  羽鳥裕日本医師会常任理事
  川上浩司京都大学医学部薬剤疫学教授
 * 奄美大島南部での社会連携支援
 * 鹿児島県医師会との共同

(3)首都圏での地域医療モデルの発掘・設計支援・運営支援
 * 首都圏地域医療問題研究会
 (* 首都圏内過疎地での問題の洗い出しモデル事業)

(4)医学部教育への医療教育充実化モデル設計
 * 大学臨床教育センターとの共同

(5)Ⅰ、Ⅱの項目の中で先行事例として取り上げることが求められる項目の実施

Ⅳ 提起した問題へ対応するために

グランドデザイン2030の第一部「あるべき医療の姿」で取り上げた項目の中から、実現のための課題の抽出、具体的な提言、あるいは実現を目指した行動計画を作成していく。

(1) 第一期(2020年7月1日開始)

第一期として以下の項目(グランドデザイン2030の目次表記に従い提示)について課題の抽出を行った。

1.人類(ヒト)の生命と尊厳を守る 人類(ヒト)を苦痛から解放する

(1)命と尊厳を守る医療の推進

 1)人間の尊厳と個人の意思の尊重
  ① 人生の終末期の医療・介護について考え話し合うためのプログラムの設計
  ② 市民講座の設計実施
  ③ 医療・介護従事者への研修プログラムの作成
  ④ 研修プログラムの実施(厚生労働省、郡市区医師会、日医等の協力)
  ⑤ 医療・介護に関する意思表示なく判断能力を失った者への意思決定を支えるシステム設計
  ⑥ 上記⑤について諸外国の実態調査

 2)人が生まれ出るための環境と医療
  ① 周産期医療を担う施設と妊婦の距離との調査
  ② 施設外分娩と、社会的因子の関連調査
  ③ 分娩機会と施設設置についてのモデルケースの設計
  ④ 上記の結果を踏まえた提言作成

 3)65歳と75歳、高齢者の概念を変える
  ① 65歳から75歳を高齢者としない場合の問題の調査
  ② 65歳から75歳を高齢者としない社会のあり方の提言
  ③ 65歳から75歳を高齢者としない場合の必要条件の調査

(2)健康をつくる医療の推進
 1)かかりつけ医と地域ネットワークの構築
  ① 地方部と都市部でのモデル地域の選定
  ② それぞれの診療所の実態と既存のネットワークの調査
  ③ ネットワークの仕組みづくりの検討
  ④ ネットワークへの参加施設の募集
  ⑤ ネットワークの運用とフォロー、評価

(3)人生100年時代への医療のあり方 ~健康寿命の延伸と尊厳ある終末~
 1)超高齢社会において求められる医療
 2)高齢者の医療需要とポリファーマシー
 3)医療における益害バランスと賢明な選択
 4)生活習慣病(NCD)対策からフレイル対策へ
 5)将来のための医療・保健から、今を生きる医療・保健へ
  ① 健康の観点から「高齢者」の定義を見直す *高齢者の概念
  ② かかりつけ医は、患者の受療の司令塔の役割を果たす *かかりつけ医の機能強化
  ③ かかりつけ医は、高齢者の医療について益害バランスの観点から治療選択をする
   *かかりつけ医の機能強化
  ④ 急性期を担当する医師は、高齢者の医療についてアウトカム情報を取得したうえで治療方針を検討する
   *医療情報システムの整備、保健医療福祉の連携
  ⑤ かかりつけ医をはじめ医師は、高齢者に対してNCD予防からフレイル予防へ
  「太らない」から「痩せない」へ)の切り替えを指導し、医療の軸を専門分化から統合された全人医療へ(「調べる」から「見守る」へ)適切に移行する。また、かかりつけ医はACPの話し合いを支える。*かかりつけ医の機能強化
  ⑥ 医師は、国民のヘルス・リテラシーを高めるために、社会、特に教育界に働きかける。
   *学習指導要領への提言、かかりつけ医の機能強化、先行モデル地域での教育の充実

(4)健康な人づくり教育への貢献
 1)生活習慣と生活習慣病
 2)適切な生活習慣に関する情報
 3)国民のヘルス・リテラシーが低いことによってもたらされる事態
 4)学校における健康教育と医療界のかかわり
 5)学校医の役割 ~臨床医療と教育の現場を結ぶ学校医への期待~
 6)国民の生涯教育への医療者の貢献

  ① 医師は、国民のヘルス・リテラシーを高めるために貢献する。
  ② 医療界は、学校において、健康教育、ヘルス・リテラシー教育を進めるよう、教育界に建設的に働きかける。
  ③ 医療界は、国民の生涯教育、産業医活動、保険者の取り組みへの関与等において、健康教育、ヘルス・リテラシー教育を進めるよう指導・協力する。*学習指導要領改定への提言、地域での取り組み、かかりつけ医、学校医、産業医の活動

2. 人類(ヒト)の暮らす基盤を支える  
(1)社会を支える
 5)医療の生産性の向上 その1
  ① 下記の問いに関して、まずは生産性等の専門家を招集。言葉の定義、あらゆる財やサービスに適応できるのか等を議論する場を設定する(必要に応じて会内の勉強会や委員会などと連携して行う)。
   a. 「労働生産性」の概念は、現在でも財・サービスの効率性の比較において、有用なのか?
   b. とりわけ日本の保険医療のように、公共性の強いサービスであって、公定価格であり、病床規制や開設の許認可等、供給量に対する政府のコントロールが強い場合にどうなのか?
   c. 「労働生産性」によって「医療の生産性」を測ることは適切なのか?
   d. 「医療の生産性」を計測するにはどういった手法が適切なのか?
   e. 医療というサービスの提供において、他の財・サービスの提供と比較して、明らかに非効率または改善の余地がある部分があるとすれば何か?
  ② 上記①において、医療の場合には必ずしも妥当とは言えないという意見が出た場合、
臨床指標や医療の質指標の専門家や(病院)経営の専門家、医療経済学の専門家等を対象とし、インタビュー調査を行う。調査結果をベースに、日本医師会としての見解(案)をまとめる。
  ③ 上記の問いに関して、臨床指標や医療の質指標の専門家や(病院)経営の専門家、医療経済学の専門家等を集めて、シンポジウムを行う。

 5)医療の生産性の向上 その2
  ① 臨床成績と投入資源の相関の調査
  ② 技量と資格と業務のマッチングと人件費と簿外ロスの相関の調査
  ③ 医療機関ごとの生産性、社会の一部分としての生産性の比較調査

 6)医療保険のかたち(2030年・給付と負担)
  ① 日医かかりつけ医は、「かかりつけ医印」(仮称)を掲げており、ひと目で、かかりつけ医機能を持つ医師であることがわかる(個人的にはかわいいステッカーを貼ってほしい)。また、かかりつけ医ができること(役割、機能)を記載した院内掲示やパンフレットを用意する。どのように看取られたいかの相談にも乗る。
  ② 医療費通知に財源構成を併記することで、公的医療保険の持続可能性について考えるきっかけにつなげる。たとえば、後期高齢者の場合「あなたの保険料1割、現役世代の保険料4割、公費5割」と割合を記載する(個人個人で異なる割合や金額を記載するわけではない)。
  ③ 日本医師会や地区医師会が主導して、住民に医療へのかかり方の啓発を行う。

 7)在宅医療のあるべき形と多職種連携
  ① 日本医師会は、在宅医療を担う医師の継続的な育成に努める。2018年から開始された「日医かかりつけ医機能研修制度」における在宅医療の実践に関する講義は、地域住民から信頼される「かかりつけ医機能」のあるべき姿を評価し、その能力を維持・向上するための研修であり、まさに在宅医療を担う医師の導入や育成に対して、重要な役割を果たしている。今後も、内容のブラッシュアップを行いながら、都道府県医師会と協力して継続的に実施していく。
  ② 郡市区医師会においては、かかりつけ医の機能である生活を支える医療としての在宅医療が、地域包括ケアのシステムとして円滑に実践できるよう、各市区町村で推進される「在宅医療・介護連携推進事業」において行政と連携を図り、地域連携の要として、当該事業の連携の拠点としての機能を担うべく、地域包括ケアにしっかりと関与していく。

(2)担い手を育てる ~社会的環境~

 3)地域格差を解消するために
  ① 地域による診療・診断のバラツキについての現状把握を行う
  ② 糖尿病治療のエッセンスなど、まずは、かかりつけ医向けの診療ガイドラインの作成と普及状況を把握する
  ③ 今後、早急に均てん化が必要とされる疾患を特定する
  ④ かかりつけ医向けのコンパクトで使いやすい診療ガイドラインの作成を検討する
  ⑤ 日医生涯教育、専門医教育や医学教育の中で対応可能なことを検討する
  ⑥ 上記について短期間での評価は困難であるが、診療行為の変化をNDBなどを用いて検証する
  ⑦ アンケートなどで診療ガイドラインの普及度を測る。

(3)担い手を育てる ~医師の働き方と医師の養成、医師の研鑽~
 1)働き方改革
 2)医師の働き方の現状
 3)医師の働き方改革における二つの立場
 4)医療の質の確保のために
 5)専門医制度の動向
 6)医師の数は充足しているか
 7)医師の需要を増大させるその他の要因
 8)医師の働き方を変えるためには
 9)医師の研鑽の特殊性
 10)医師の生産性を高めるためには
 11) 国民、患者の理解

・医師は、自らの健康を確保した働き方を選ばなければならない。
・医師は、自らおよびともに働く人の勤務環境改善の努力を続けなければならない。
・医師は、医師の働き方の適正化の必要性を患者、関係者、社会に、説明し理解を求めていかなければならない。
・医師は、タスクシフティング、タスクシェアリングを推進しなければならない。
・医師は、診療の質の向上と勤務環境改善のためにICTを活用しなければならない。

上記の条件を実現するための環境、制度を作る。

3. 人類(ヒト)の明日に備える
(1)危機に備える ~有事の医療~ 
 1)自然災害に対応した医療
 2)パンデミックを想定した医療
  Ⅰで既出
 3)被災後の住民保護のありかた
  Ⅱの先行事例の実現の首都圏の地域医療で対応

 4)CBRNE災害をも含めたテロリズムおよび周辺有事に対応する医療
  ① 事前計画と実際の対応や課題を把握して事後検証を行い、フィードバック
  ② ラグビーワールドカップおよび東京オリンピック・パラリンピックに対して講じた対策を、今後の大規模イベント時の医師会における対策としてパッケージ化
  ③ 日本医師会雑誌等を通じた普及啓発
   日本医師会雑誌において、「災害医療2020―大規模イベント,テロ対応を含めて―」と題した特別号を企画(2020年6月15日刊行予定)
  ④ 発生後の迅速かつ適切な事後対応を目的とし、秋葉原や川崎殺傷事件等の医療対応および課題の把握
  ⑤ 救命率を高めるために、何があれば助けられたかという観点から検証
  ⑥ 昨今の多数傷病者発生事案は、車両の暴走や刃物による殺傷のほかに、放火事案が起きている。殺傷テロと放火テロともに事案の把握と検証し、情報共有の仕組みを作る。

 5)医療情報のサイバーセキュリティーの確保
  ① 啓発事業の実施
  ② 問題の分析検討
  ③ 対応策の立案提言

(2)進化する医療
 1)健全な情報システムの整備
  Ⅰで対応

 2)オンライン診療(2030年DtoP)
  ① 日本医師会が、「オンライン診療医師ライセンス」(日本医師会による研修の受講が必要)を発行し、オンライン診療の水準と安全性を確保する。
  ② オンライン診療で医師の幅広いコンサルテーションが提供されるようになることが想定されることから、それに先立ち、かかりつけ医の対面によるコンサルテーションのうち、予防・健康づくりを評価する仕組み(診療報酬あるいは地域貢献を評価する新たな仕組み)のあり方を検討する。

 3)健全な医療情報産業育成へのプラットフォームづくり
  Ⅰの(3)で対応

 4)科学・医療技術の進歩と医療倫理

(3)健康管理におけるICTの活用
 1)2018年、政府の進める「データヘルス×マイナポータルの連動」
 2)PHRの普及における課題
 3)受療時のPHRの活用とオンライン受診
 4)PHRに対しての専門家の役割

・医師は、ヘルス・リテラシーの涵養のために力を尽くさなければならない。
・医師は、PHRの保護とデータの信頼性担保のためにデータ構築に関与すべきである。
・医師は、PHRを診療に資する情報として活用していかなければならない。
・進化するICTについて、医学生および医師は、医学教育と生涯教育の中で進化にキャッチアップしていかなければならない。
上記の条件を整備する環境、制度を設計し、提言する

(2) 第二期(2021年1月1日開始)

第2期については以下の項目(グランドデザイン2030の目次表記に従い提示)について課題抽出、実現のための行動計画を作成する。

1.人類(ヒト)の生命と尊厳を守る 人類(ヒト)を苦痛から解放する
(1)命と尊厳を守る医療の推進
 4)医療における倫理、今日的問題
 5)虐待と自殺への対応

(2)健康をつくる医療の推進
 3)産業医(産業保健)の活用
 4)働くということの哲学的生理学的意味の研究
 5)怒り、ストレス、暴力への対応、医療の役割

2.人類(ヒト)の暮らす基盤を支える
(1)社会を支える
 1)セーフティーネットの強化 ~病診、診・診連携、多職種連携と共同化の推進
 2)社会の多様性を支える医療
 3)まちづくりと地域間連携
 4)タスクシフティング、タスクシェアリング

(2)担い手を育てる ~社会的環境~
 5)在宅医療の担い手が育つ環境

3.あるべき医療の姿を求めて
(1)がんとの戦い:個別化医療のあるべき姿
(2)ライフコースデータにおける母子保健、学校健診情報のデータベース化、方法とベネフィット
(3)医療データ分析と地域医療の設計
(4)「知識」から「意識」の教育へ
(5)総合診療医とかかりつけ医の連携
(6)あるべき精神保健、あるべき精神医療
(7)医療と社会システム ~あるべき医療の姿であるために~
 




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横倉義武日本医師会長が、日本医師会会長としての思い、会長選挙へ再度出馬するにあったての決意、今進めていること、そしてこれからすすめていくことについて、支援する有志とともに発信していきます。
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