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退職後の守秘義務

 おはようございます。弁護士の檜山洋子です。

 昨日、新しい事務所への引っ越しが完了しました。

 あと2~3点家具を新調しようと思っていますが、すっかり良い感じになりました。

 さて、今日は、退職した従業員の守秘義務に関してです。

在職中の守秘義務

 労働契約を締結した従業員は、使用者の正当な利益を不当に侵害してはならないという誠実義務を負います。

 労働契約書や就業規則に定められていなくても、従業員であれば当然に負う信義則上の義務です。

 したがって、在職中に知った業務上の秘密を暴露することで使用者に不当に損害を与えた場合は、その損害を賠償しなければなりませんし、使用者は、会社の秘密が侵害されそうな時には差し止め請求をすることもできます。

退職後の守秘義務

 従業員は退職すると、使用者との間に何らの契約関係もなくなります。

 そのため、従業員は在職中に知った会社の秘密を守るべき義務は、もはや負わないようにも思えます。

 しかし、在職中の守秘義務も契約書や就業規則に基づく義務ではなく、使用者との雇用関係から発生する信義則上の義務であったのと同様に、退職後も、かつては使用者・従業員であったという関係から、信義則上守秘義務を負います。

念書の必要性

 したがって、使用者は、従業員の入社や退職に伴って、格別、約束をしておく必要はないし、念書を作成する必要もないのです。

 しかし、実際は、従業員は、自分が使用者に対して守秘義務を負っていることを認識しているとは限りません。ましてや、退職後にまでそのような義務を負っていることを認識している人は多くない可能性があります。

 秘密というのは、いったん外に出てしまえば終わりですから、事前に公表されないようにしておくことがとても大切なのですが、そのためには、従業員が入社した時と退職する際に、事前に守秘義務についての認識を持ってもらうことが重要です。

 そのために、念書を作成して内容を説明した上で、署名捺印しておいてもらいましょう。

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