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グローバル人材にとって「英語は運転免許」 日本電産・永守重信会長

第22回日経フォーラム「世界経営者会議」(主催=日本経済新聞社、スイスのビジネススクールIMD、米ハーバード・ビジネス・スクール)で日本電産創業者、会長(CEO)の永守重信氏が「新たな時代への提言~大学教育改革と企業経営」というテーマで講演がありました。

2018年3月に京都先端科学大学を運営する学校法人永守学園の理事長にも就任し、私財を投じて運営していると言います。

ブランド主義と偏差値教育に偏った日本の大学教育の変革とグローバルに通用する英語と技術力を身に付けた即戦力人材の輩出への情熱が強く感じられました。

世界の大学の最新のランキングでは日本の大学が年々落ち、アジアの大学が上昇傾向ということです。

イギリスの専門誌が発表した調査によると、1位が5年連続でイギリスのオックスフォード大学、2位がアメリカのスタンフォード大学、3位がハーバード大学で、上位13校までを米英の大学が占めました。

アジアの大学の中では中国の清華大学(20位) が最高で、北京大学(23位)、シンガポール国立大学(25位)と続きます。日本の東京大学はようやく36位に登場します。その他、シンガポールの南洋理工大学(47位)、日本の京都大学(54位)などが100位以内にランクインしています。

100位内に入っている日本の大学が少ない理由としては、英語教育が不十分ということ、世界の教育と比べると権威主義的で教育の仕方が遅れていることを指摘しています。

大学を受かるまでがゴールという、受験テクニックを小さい頃から学ぶ偏差値的な教育を脱却し、英語力と創造性豊かな教育を目指す必要性があるということを強調しています。小学校の間に友達と遊ぶなどの時間がないと豊かな想像力等が育まれにくいからです。

この問題は日本だけではなく、中国やシンガポールでも詰め込み教育の弊害があると地元の人や中国からシンガポールに来ている知人から聞きます。

筆者はシンガポールに6年住んでおり、娘を欧米の学校に4年入れています。ネットフリックスの創業者リード・ヘイスティングス氏も同セミナーにて社内文化として「自由度」と「責任」というキーワードを言っていましたが、欧米の学校ではまさにそうです。

3歳から自分の持ち物を自分で管理する、できるだけ優劣はつけない教育(運動会で順位をつけたりしない。成績表も言葉での表現がメイン)で、語学や算数など遅れがある学生を特別にサポートをして見切ったりなどしません。永守氏もこうした教育には非常にコストもかかると言いますが、私財を投じて経営をしているということです。私自身もできるだけ学校に寄付をするなどをして、かけてもらった教育の分返そうと努力をしています。コロナで学校の経営はどこも大変だからです。

先生がよいと、生徒のレベルも上がる

京都先端科学大学では、英語の教師を募集したところ数多くの募集が集まったということです。そして教師の質が上がると良い学生がたくさん生まれるということ。日本の大学では学生もスマホを見ていたり、居眠りをしていることも多いが、教師もそれを指摘しないのが問題だと言います。「教育」は「教」えるだけではなく、「育」てる必要があるということです。企業で即戦力となるような人材を輩出できるような教育を提供しているということです。

シンガポールに住んでいる日本人も、自分も含めて英語が障壁となってマーケットを広げきれないビジネスマンが多いと感じます。中国や韓国のエリート達の多くは大学から欧米に渡り、ほぼ完璧な英語を身に着けている人が多いです。欧米系のインター校でも日本人の数が少ないと感じます。

日本の学校はアジアの学生に門戸を開けるか

アジアの富裕層に軽井沢にあるUWC ISAK Japanなどの話をすると、サマーキャンプなどで参加してみたいという人が意外にも多く驚かされます。多くの人が日本に対して非常によい印象を持っており、自然豊かなキャンパスで英語で教育を受けることができるのであればアジアからも多くの人材が集まる可能性があります。日本の学校は私立も含めて、欧米の学校と比べるとコストパフォーマンスが高いからです。アメリカ人に国立大学の年間授業料が約54万円だと言ったら、「年間なのか?」と非常に驚いていました。私立大学でも100万円程度だと言ったら、それはチャンスがあると言っていました。

出口治明氏が学長の立命館アジア太平洋大学も国際社会においてリーダーとして活躍できる人材を育成するために必要なカリキュラムを提供しています。このような教育機関が増えていけば必然的にアジアから優秀な学生が集まり、日本企業も優秀な人材を確保できる可能性が高まります。また、海外に住んでいる日本人の子息を受け入れる土壌になるでしょう。

永守重信氏は世界ランキングを目指しているようですが、自宅で従業員3名の日本電産株式会社を設立したのだから不可能ではないということ。今後の日本の教育の変化が楽しみです。








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