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【トレーニングを始める前に】クリッカーを買おう!

犬にコマンドを教えていくとき、良い行動をしたら「褒めて」行動を強化していきます。「いいね!」「グッド!」などを使っている方が多いと思いますが、声の合図は個人差があり、犬にとってわかりづらいんです

そこで、クリッカーを使って家族の誰もが「いいね!」と褒めることができるようにしていきます。

クリッカーの種類

「クリック音を出すモノ」という意味で、クリッカーと言います。クリック音とはマウスをクリックしたり、ペン先を出したりするときの「カチっ」という音ですね。いろいろなクリッカーが売っていますが、特にクラシックなタイプは音が響き、犬にとっても聞こえやすいです。

■クラシックタイプ

■音が小さ目なタイプ(音に神経質な犬などにぴったり)

■音が調節できるタイプ

どのクリッカーでも使い方は一緒で、ボタン部分を押すと「カチッ」と音がでます。すぐに取り出して使えるよう、お散歩用、家用と複数購入し、いたるところに置いておくことをお勧めします(服のポケットにも忍ばせてほしいです!)


クリッカーのメリット

1.褒めているよ、の合図がわかりやすい

せっかく飼い主が褒めても、「いいね」「グッド」「すごーい!」など、家族の中で褒め方がバラバラだと、犬は「褒められた!」と認識できないかもしれません。すると、せっかく犬が良い行動をとったとしても、強化されず、徐々に良い行動をとらなくなってしまうリスクがあります。

クリッカーを使えば、「その行動イイね!」という合図が、誰がやっても同じシグナルになり、飼い主が褒めた=犬が「褒められた!」と認識する結びつきが強くなり、適切に飼い主の意図が犬に伝わるようになります。

2.おやつがなくても褒めることができる

よく相談いただくのが、「おやつをもっていないとコマンドを聞かない」というお悩み。飼い主が巧妙におやつを持っているふりをしても、なぜか犬は気づきますよね!そこで、クリッカーを使って、「おいしいものはあとから出てくるよ」という学習をさせます。そうすると、「クリッカーの音=ご褒美」と認識し、おやつがなくても、コマンドを聞くようになります。

3.早く学習が進む

オスワリができた!と思って、おやつを上げようとすると、口に入れる瞬間にはおしりが上がっていることありませんか?犬は、「褒められた瞬間にどの行動・姿勢をとっていたか」で学習しています。おしりが上がってしまっていたら、「おしりを上げる」という行動で褒められた、と学習してしまうかもしれませんよね?

そこで、クリッカーの音でよい行動に「マーク」を付けます。その瞬間のその行動・姿勢が正しいよ、と褒めて、後からご褒美が出てくるのです。このコミュニケーションは犬にとっても非常に明快なようで、クリッカーを使わないでトレーニングするより、数倍早く、効率的に犬がコマンドを理解するようになってきます。


クリッカーを使う前に

「クリッカー=褒められている」
「クリッカー=あとからおいしいものが出てくる」

という学習をさせます。この学習は、まずクリッカーを鳴らして、ドライフードを目の前に転がします。犬がパクっと食べたら、また、鳴らして、フードを転がします。これを何度もすることで徐々に犬は

クリッカー=おいしい!
クリッカー=嬉しい!
クリッカー=おいしいものが出てくる合図!
クリッカー=サイコー!!わくわくする!褒められている!

という学習が進みます。

注意:
この学習をさせるまで、犬にとってクリッカー音はニュートラル(いいものでも、悪いものでもない)ですが、耳元で鳴らすとびっくりして、「クリッカー音=怖い」と学習してしまうかもしれません。初めて使うときは、ポケットの中で鳴らすなど少し小さ目の音で試してみましょう。決して犬の目の前で鳴らしてはいけません。

クリッカーとご褒美が結びついているかは、クリッカーを鳴らしてみて、耳がぴくんと動いたり、期待感のある様子が見えるかなどで判断しましょう。


クリッカーの使い方(初級)

コマンドに従って良い行動をとったら、その瞬間に「クリッカー」を鳴らします。例えば・・・

アイコンタクト・・・目が合った瞬間
オスワリ・・・おしりが地面についた瞬間
フセ・・・お腹が地面についた瞬間

そして、クリッカーを鳴らしてから、数秒以内におやつをあげましょう。
クリッカーを鳴らすときは、おやつを持っていなくてもよいです。つまり、飼い主さんは、

①犬が良い行動をとった瞬間にクリッカーでマーク
②数秒後においしいものを与える

とトレーニングを進めていきます。

Hint
やってみるとわかりますが、これは飼い主さんの反射神経もかなり必要になってきます。わたしも最初はタイミングが掴めず、犬がおしりを地面につけても、すぐ立ち上がってしまって、おしりが地面についていないときにクリッカー鳴らしたことも・・・そうすると、マークした(褒めた)行動が意図したものと違いますよね。反射神経を鍛えるために、テニスボールを手から落として落とした瞬間にクリッカーを鳴らす、なんてトレーニングをするのもおすすめです(犬じゃなくて、飼い主さんがやるんですよ!笑)


クリッカーの使い方(中級)

十分にコマンドがわかるようになったら(8割くらいできるようになったら)、今度は時間を延ばしていってみましょう。例えば、オスワリでは「おしりが地面についた瞬間」にクリッカーを鳴らしていましたが、そのタイミングから数秒ずらしてみましょう。つまり

「オスワリ → おしりが地面についた瞬間 = クリッカー」だったのが
「オスワリ → おしりが地面につく →(数秒待つ)→ クリッカー」に変わります。

そうすると、自然と「オスワリ+マテ」につながっていきますよね。オスワリの状態をキープしなさい、ということが学習できるようになりますので、このまま徐々にクリッカーを鳴らすまでの時間を延ばし、60秒くらいまで待ってもらうようにします。

このやり方を応用して、「フセ+マテ」なども教えることができます。


クリッカーの使い方(上級)

犬が問題行動を起こしたとき、飼い主は犬を「ダメ!」「コラ!」といって叱りますよね。でも、同じシチュエーションでよい行動をとったときにちゃんと褒めていますか?

例えば、

チャイムが鳴ると吠え続けてしまうワンちゃんに対し、「ダメ」「うるさい」と叱りました。次、チャイムが鳴った時、犬はコングに夢中で、吠えませんでした。
散歩中に他の犬を見かけるとしばしば吠えるワンちゃんですが、今日はなぜか犬を見かけても吠えませんでした。

こういうときこそ、クリッカーを鳴らします。すると、犬は「こういう行動をとると、おいしいものがもらえるんだ!」と学習し、良い行動が強化されます。


クリッカーを使ったトレーニングの動画はYoutubeにもたくさん上がっていますので、まだ使ったことないという人は、ぜひ参考にしてみてください。クリッカーを使って、犬との共通言語をひとつ増やしてみましょう!



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