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ケーキ屋としての成長と自分と向き合った2年目

2023年3月。

あと2日もすればお店の2周年記念日。3月に入った途端に暖かくなり、今年は桜の開花も早い。2周年を前に、思い返せばこの1年も色々あったと、気持ちを整理しています。去年の今頃の自分と、現在の自分を比べても、本当に成長したなぁと思う年でした。

開店後1年目は生きているだけで精一杯。営業日を宣言することも出来ず、オープン当日にインスタで告知という、今から考えればとんでもない営業スタイル。しばらく続いたそんなアンビリーバボー営業も、1周年を迎える頃には、「木金営業です!」と自信をもって言えるようになっていました。

2022年振り返り、YokoBakesの2年目

お店を開いて2年生に進級するやいなや、2022年4月、コロナに感染。家族全員ダウンしてGW前に1週間半の臨時休業。大型連休はそもそも休む予定だったので、まさかの3週間近くの休業。焦る気持ちを抑えて営業を再開したのは5月中旬。

営業日も定まって、それゆえ1週間の製造リズムも段々と掴めてきたのは梅雨の時期。1年目は丸々休んだ8月も、その経済的打撃を身をもって実感したことと、少し余裕が出てきたことから、2年目は夏休み限定で夕方営業にトライ。暑い夏にケーキの需要があるか分からない中での挑戦でしたが、「夕方営業、嬉しい!続けてほしい!」の声を多数いただき、普段平日の営業時間内に来られないお客様が多くいらっしゃることを知るいいチャンスとなりました。

9月、通常営業にリターン。秋かと思えば実はまだまだ夏で、ケーキがたくさん余ってしまう事態に直面。さて、8月の夕方営業の好評をうけて、営業時間を延長するかどうか。ケーキは余る、でも求める人に行き届いてない、だけど夕方遅いのも土曜日も「出来ない」という思い込みから、なかなか踏み切れず、そのまま通常営業を続行。そうこうしている内に気温は下がり、本当の秋到来。と同時に売れ残りも減少し、ひとまず夕方営業云々は忘れたつもりでいました。

クリスマス・シーズンでケーキ屋としての成長を感じた

そうしてやって来た12月のクリスマス・シーズン。1年目は完全に無計画・無防備で迎えたこの大事な時期を、今回はもう少し準備をして挑もうと11月からイソイソと活動開始。お釣りの準備、包装資材の注文、先を見越した原材料の発注など出来る限り前倒し。

12月、いよいよミンスパイ開始。イギリスのこの伝統菓子、1年目はもうひぃひぃ言いながら作ってました。寒すぎてタルト生地が伸びない、ミンスミートが流れ出す、それ故型から取り出せない、等々。ひたすら作っても出来るのはほんの少しだけ。そんな経験が記憶に刻まれていたため、気を引き締め心して取り掛かったところ、あれま、1年目大変だったことが、いとも簡単に出来るようになっていたのです!

生地を伸ばすのも格段に簡単に出来るようになったし、作業も手早くなったし、型からの取り外しにも慣れて、前年の倍量を、より少ない労力で作れるようになっている自分に気づいたのです。そしてこの時始めて、自分が歩いてきた長い長い道のりを振り返って見ることが出来ました。

コツコツと、足元しか見えない状態で進んできた暗くて長い道に、ふっと光がさして、やっと振り返って見つめることが出来た。

そしてここで得た自信と達成感が、次の大きなターニングポイントへ繋がることにもなったと思います。

新しい自分の欲と自分のバランスを取ろうとする間で

スタッフの急なお休みなども何とか乗り切りつつ、大盛況の中終えた12月ですが、実は少し苦しい時期でもありました。と言うのも、製造のリズムが掴めてきた分、自分が焼ける量も気付けば多くなっていて、12月のケーキ・ハイシーズンを前に、

「もっと焼きたい!もっと売上を伸ばしたい!」

という欲がにょきにょきと出てきたのです。と同時に

「ダメダメ、無理は禁物!」

とブレーキをかける自分もいて、なんとか「現状維持で無理はしない」方向へと自分を持っていこうとするも、「いや、でもやっぱりやりたい」自分が拭えず、モヤモヤ。それはまるで自分の腹の底から出てくる芽を自分の足でぐいぐい押してへこませてるような感覚。出てくるな〜、みたいな。

ちゃんと自分の労働に対価を払えるようになりたい

実は、これは12月末に決算をして分かったことなのですが(いや、その前から気づいてたけど見ないふりをしていた)、お店の売り上げから、原材料費、人件費、家賃、水道光熱費、支払い利息、その他もろもろの経費を引き、そこからさらに借り入れした融資の返済額を引くと、自分に支払える報酬が殆どないというのが、ヨーコベイクスの現状でした。オープンしてからここまで、本当に生きることに精一杯で、自分の労働に対価を支払うということが、二の次だったのです。まず、お店も私も、生きなければいけなかったから。

お店を続けられればいい、お菓子作りが好きだから、子どもが小さいから、と色々理由をつけては「これでいいんだ」と自分を納得させようとしました。ヨーコ得意の自分騙しです。でも、正直、この数字を見て私はめっちゃめっちゃ悔しかったんです!!そして、やっぱり、もっとやりたい!自分の労働に対価を支払いたい!という自分が、腹の底から出て来ては、絶対に引き下がらない。だけどだけど、どうにかこうにか言いくるめて、その「やりたい自分」をどーうしても止めたい自分がいて、それが一体何なのか、分からなくて年末年始はぐちゃぐちゃでした。

頑張って失敗するのが怖い自分

今から思えば何がどうなってこの混沌とした心理状態から抜け出したのか、よく覚えていません。いいタイミングで降りてきた本や映画の中に、ヒントがあったような気がします。「やりたい自分」を、私がなぜそんなにしてまで止めたかったのか、答えはやっぱり、自分の中にありました。そしてそれは、たった一文で表すなら、「頑張ることが怖かったから」

2021年、お店をオープンした2か月後、私はお店でパニック発作を起こして救急車を呼んでしまいました。頭が真っ白になって、フラフラして、血の気が引いたような、死んじゃうんじゃないかというあの感覚…。頑張ったら、またやり過ぎたら、またパニック発作を起こすんじゃないか。その恐怖がまず第一にありました。その後睡眠障害やうつ状態に陥ったことも、大きな要因です。

そして、頑張っても失敗したら…。思うような結果にならなかったり、目標に達せなかったり。そしてその「失敗」した自分を受け入れられない自分、自分をまた嫌いになるんじゃないかという恐怖。(はい、自己肯定感低いです←絶賛改良中です)

そして、「頑張ることが怖い自分」を自覚することも嫌なので、私はずっとそれを押し殺していました。無意識に。そして「小さい子どもがいるから今は仕事に専念できない、それ故夕方も土曜日も営業出来ない」と言うのは、何とも正しく聞こえる、何とも都合のいい理由だったのです。正当化というやつです。それは自分に対しても、周りに対しても、「頑張ることが怖いから頑張らない理由」としては、うってつけの好都合でした。自分はいいお母さんぶってられるし、周りからのいいママポイントも稼げるし(笑)。

お金と育児と仕事

もう一つ、こうした頑張ることへの恐怖に加え、私は「お金」との関係がとてもアンヘルシーなことにも気付きました。これまで、お金をとてもダーティーなものと見ていたのです。なので、「儲けたい」って言うことにたいして、「やだ~!汚らしい!」みたいなアレルギー反応をしていた訳です。

だけどよく考えてもみたら、人間生きていくためには食べる必要があるわけです。そして食べる為には、自給自足の生活をしていない限り、働いて、その労働の対価で得たお金を使って食べ物を買わなければいけない。なので生きていくためには働くことが不可欠となるわけです(超絶ベーシック!)。

そしてそこにダーティーなことは何もなく、ただ人間として生きていきたい、ただそれだけなんです。それは人間が長い年月行ってきた営みで、加えるなら私は、どうせ働くなら好きなこと、楽しいことをして働きたい、それで生きてけたら幸せだな、と思っている訳です。

(後に京セラの稲盛さんという方が書いた本に、彼も「儲けを出す」ことに罪悪感を感じていた時期があったと読んでホッとしました…)

こうして、少しずつ複雑な気持ちを紐解いていくと、残った自分はとてもシンプルでした。それは、私は仕事がしたい。そしてそれはお菓子作りという仕事。そしてその自分の労働に対価を支払って、食べて、生きていきたい。たったそれだけ。

「子どもが小さいのは今のうちだよ」とよく言われます。よく分かります。でも私は声を大にして言いたい。

「私だって40歳の若いのは今のうちなんです!子供が大きくなる10年後には50歳なんです!」

元気に毎日厨房に立って仕込みが出来る年齢としては、身体は既にターニングポイントを超えています。人生100年時代とか言うけれど、生きとし生けるもの、いつ何時何があるか分からないんです。そしたら、私は、確実に生きている今、好きなことをして過ごしたい!そう思います。

そして、その好きなことを仕事にして起こした事業が、誰かの役に立つのなら。何か、地域の、社会の役に立つのなら。これはまだまだ先のビジョンでもありますが、こんなに素晴らしい人生はないんじゃないかと思っています。

2023年はお店の改革からスタート

こうして2023年新年、私は気持ちを切り替えて仕事を始めました。インスタでしつこいほどにアップしている「#改革2023」は、経理から製造、販売まで、お店に関わる全ての変革です。1月から始めた改革は2か月ほどで大前進を遂げました。なんせこのIT音痴がカード決済を取り入れたんですから(笑)!

何か新しことを始めるとき、やっぱり怖くなります。出来る!と思ってやっていても、急に足がすくんだり、身体がこわばったり。またパニックになるんじゃないかという恐怖も、未だにつきまといます。だけど、「頑張ったらパニック発作を起こす」というマイルールの存在を認めつつも、一旦それを手放して、私はもう一度チャレンジしたい!それがどんな結果になっても、その道が少し怖いときがあっても、自分の置かれている環境や状況を理由に「やらない」選択をするのではなく、怖がりな自分も、弱い自分も受け入れて、やってみたい。

そして、そんな「やってみたい」自分に、もうウソはつきたくない。

今、そんな自分と日々向き合いながら、ケーキを焼いています。

こうしてもうすぐお店は2周年を迎える訳ですが、ここまで、私一人の力では到底たどり着けませんでした。私がケーキを焼き続けられるのは、変動的で限定的な営業スタイルにも関わらず、ご来店して下さる皆さまがいるからです。そして「美味しいよ!」と言って頂けると、本当に焼いて良かった、また作ろう、って気持ちになります。自分の作ったケーキで、誰かが幸せな気持ちになるということ。こんなに嬉しいことはありません。

そして、これまで1年半、ずっと側で私を見守り、支え続けてくれているスタッフのいずみちゃん。もう本当にどうしようもなく不安定な私を、優しく、そして微動だにせず受け止め、お店の前をどっしりと守ってくれる彼女に、本当に本当に、心から感謝しています。私がケーキを安心して焼けるのは、彼女がいるからです。いずみちゃん、いつも本当にありがとう。

同じキャロットケーキを何度食べても、ブラウニーをどれだけ食べても、飽きずに喜んでくれる2人の子どもと我がパートナー。売れ残りが多くてガックリ帰宅しても、完売してバンザイで帰宅しても、どちらでも喜んでお家に迎え入れてくれるこの3人に、私はがっしりと支えられています。

そして、私のもとへ原材料を届けてくれる取引先、配送業者のみなさま、牛や鶏、米農家、酪農家さんを始めとする日本、そして世界の生産者さん達、そしてその生産を支えてくれている地球と太陽。この奇跡的な繋がり全てに、本当に本当に、心から感謝しています。

4月からは3年生。石の上にも三年と言うけれど、きっと本当にそうで、来年3周年を迎えるころには、きっとすごくいい景色が見えているんだろうなと、今から楽しみにしています。

3年目のヨーコベイクス、兎年にちなんで飛躍の年となりそうです!これからも、どうかどうか、ヨーコベイクスをよろしくお願い致します。

たくさんの愛と感謝の気持ちを込めて

2023年3月23日 ようこ

Yoko Bakes 
神奈川県藤沢市片瀬4-10-20
最寄り駅 江ノ電 湘南海岸公園駅すぐ


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