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ライターとは、なにかをつなぐ仕事でもある。

取材中に「いずれこんなことをやりたい」という話がでたときは、時間が許すなら、どうしたら実現できるか、と伺うように心がけています。
実は、そんな与太話が、のちのち、ひょい、っと実現したりもする。
何年も経ってから「あ、あのときに話していたことだー。おお、実現したんだなあ……」と、うれしくなります。

同時に、この仕事を続けていると、突然、「こういうことをやりたいけれど、ファンの方が喜んでくれる方向性に迷っているんだよね」とか「こういうことをやりたいけれど、どんなスタッフ、キャストがいいと思う?」的なことを聞かれることもあり。
コンサルみたいだなあ……と思いつつ。これまでにつちかった知識が役立つなら、と、全力で考えて、案を出したり、勢い余ると企画書を書いたり。
ときには実際にご紹介したりもする。
コンサル料をいただかないのか? って。
いやいや、先方もそんなことは重々承知で、親しい間柄だからこそ聞いてくれていると知っているので。
こちらが助けてもらっていることもたくさんあるし、答えることで、あるいは企画を出すことで、愉しい作品が一つでも増えるなら、大歓迎。
さらに自分で考えたことが実現するなんて最高で、思考の整理や、自分が持っている情報の精査にもなるし。気心が知れているからこその距離感で。
そんなふうに今日も、持ちつ持たれつの関係を続けている。

なので、ときどき思う。
ライターはあくまでも取材して書くのが仕事で、常に誰か創作者の褌で相撲をとっている仕事であり、第一次創作ではないけれど、こうして誰かとなにかをつなぐことで、創作の下支えにもなることができるんだなあ……と。
そんなふうにつらつらと考えを転がしていくと、そうか、取材して書いた記事を読んで「この人はこんな考え方なんだ」とか「こういう役を目指しているんだ」とお届けすることが、そのまま、誰かの目に留まることもあり。はたまた、取材相手が自身についてや目標について言語化する機会になっているかもしれないぞ、と気付き。

なんだかすてきな役割じゃないか、と、ほこほこしてしまうのでした。

こんにちは。はじめまして。 観劇したり記事を書いたりして暮らしています。 著書は若手俳優さんのインタビュー集『舞台男子』『舞台俳優は語る』新書『2.5次元舞台へようこそ』など。 どこかで見かけましたらよしなに。 サポートいただけましたら、ありがたく珈琲をいただきます。