奇跡のSuica
＊Suica＊→JR東日本発行の交通系ＩＣカードの名前
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一昨年の11月に夫が亡くなった時の事です。
葬儀の為の礼服一式を準備しておこうと真珠のネックレスのケースを開けたら、なんと糸が切れていました。
切れたのはその時ではなくもっと前だったのですが、いつか修理しようと思いながらすっかり忘れて放置していたのです。
葬儀にふさわしい代わりのアクセサリーは持ち合わせてはおらず、仕方なく何も付けないまま喪主をしてしまいました。
その後義母が施設に入ったので箪笥の中を整理していたら、真珠のネックレスが出て来ました。本物じゃなさそうだし借りるくらいいいよね、と思い夫の四十九日法要はそれを着けました。
義妹に変に疑われる前に「お義母さんの箪笥を整理していたら出てきたのでちょっと借りました」と報告したら義妹はそのネックレスの存在は知らなかったし、本物じゃないだろうと思ったからか「どうぞどうぞ」と承知してくれました。
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夫の四十九日が終わった3ケ月後、自分のネックレスを修理する間もなく今度は義母が亡くなりました。義母の葬儀でもやはりそのネックレスを借りました。
そして今度は義母の四十九日法要。またまたそのネックレスの出番となりました。
法要からしばらくして、義妹が形見分けの為に家に来ました。良さそうな物を選別し、「あのネックレスは上げます」と…本物だったら多分そんなにやすやすと言わなかったかも？
「後は適当に処分して下さい」ですって。
義母の部屋は何度も汚部屋になり、過去3回一斉処理した経験があります。施設に入った直後からかなりのガラクタを処分しましたがまだまだ大量のガラクタが…それに大型家具の処分もしなければ。
処分に掛かる労力と金額、どれくらい掛かると思ってんの？この偽物真珠で相殺しろと？
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さ、気を取り直し…
その偽物くんはその後も夫と義母の新盆でも活躍してくれました。
ところが…
次の登板予定の夫の一周忌の前日、偽物くんを手にしたところ金具が壊れてしまいました。
恐らくは経年劣化と思われます。考えて見れば95まで生きた人のネックレス。もしかしたら70年近く経っていたのかも知れません。
またしても夫の大事な法要をノーアクセサリーで済ませてしまいました。
もうこうなれば私の本物を修理するしかありません。今度は義母の一周忌がまたすぐに来てしまいます。
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ネットで調べたら3000〜4000円で直せるらしく、家から電車で3駅目のデパートに信頼が置けそうな修理屋さんがありました。
3月末、電車でそのデパートに向かいました。
全部がバラけていたりすると追加の技術料が掛かる所もあるようですが、私のは中心の12粒がバラけたものの、他は辛うじて繋がっていたので追加料金は発生しませんでした。
税込みで3850円でした。出来上がりは12日後です。
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出掛けついでにパン屋さんのイートインコーナーでおやつを食べました。
ここでの支払いはSuicaで行いました。
このSuicaは夫が遺した物です。残高が3000円ほどあったので時々気まぐれに使っていました。
私も自分のＩＣカードがあるので夫のSuicaはもうチャージせず上手く使い切りたいけど、何十何円はどうしても残るよね～なんて考えていたのですが…
おやつを食べながら伝票をふと見たら、
ん？418円？
これは我が家からこの街に来るまでの「片道料金209円✕2」ではないか！
ネックレスを引き取りにまた電車に乗る訳だから、これでピッタリ使い切れる！
これって奇跡じゃない!?
何だかワクワクしながら帰りは自分のＩＣカードで帰りました。
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さあ、そしていよいよその日が来ました。(大袈裟な)
電車に乗りデパートへ、そして寄り道は我慢して帰路に着き、最後のカードタッチ。残高0円の表示、しかと見た！
記念に？履歴を印字しました。
やり切った！
恐らく発売開始当初から使っていたと思うので、20年位働いてくれたのかな。お疲れ様でした。
そのSuica(PASMOも)は世界的な半導体不足により、一部地域を除き新規カードは昨年から販売中止に。
今持っているICカードを失くしたら、モバイルタイプにするしか無くなるので失くさないようにしなくては。
何でもスマホに頼るのは何だか怖い気がするアナログタイプな私です。
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ちなみに仕上がったネックレスはこちら。
ぱか。
嫁入り前に母が買ってくれた大事なネックレス。修理店の方から「粒も大きくていいお品物ですね」と言われて嬉しかった。
糸替えは3〜4年毎にやるべきなんだそうです。外で切れたら大変だものね。大事にしなきゃ。
本日もご訪問有難うございます。
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