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【考え事】水五訓

■ 黒田官兵衛が愛した名言

 2014年大河ドラマの「軍師官兵衛」で有名になった黒田官兵衛。豊臣秀吉の側近として使え、参謀として活躍した人物です。そんな黒田官兵衛は晩年、如水円清と名乗っており、「水の如く生きる」という生き方を理想としていたようです。

■ 水五訓

 そんな黒田官兵衛が残したと言われている名言に「水五訓」があります。

一、自ら活動して他を動かしむるは水なり
二、障害にあい激しくその勢力を百倍し得るは水なり
三、常に己の進路を求めて止まざるは水なり
四、自ら潔うして他の汚れを洗い清濁併せ容るるは水なり
五、洋々として大洋を充たし発しては蒸気となり雲となり雨となり雪と変じ霰(あられ)と化し凝(ぎょう)しては玲瓏(れいろう)たる鏡となりたえるも其(その)性を失はざるは水なり

(1)自ら活動して他を動かしむるは水なり

「一、自ら活動して他を動かしむるは水なり」は、『自分自身が自ら動き、模範を示すことで、周囲を牽引しよう。』という意味です。水は自分が流れる事で物を運んだり周りの物を流したりできるんですね。主体的に生きる事が大事、と捉える事ができます。

(2)障害にあい激しくその勢力を百倍し得るは水なり

 ホースの蛇口を絞ると強く出るように、水は圧力をかけると強くなります。狭いスペースに水を閉じ込めて圧力をかけると、水圧がどんどん上がって閉じ込められなくなります。逆境に強い性質があるんですね。

(3)常に己の進路を求めて止まざるは水なり

 砂場やコンクリートなどに水を落とすと、水は道なき道を進みます。このように水の開拓者精神から見習うこともありそうです。

(4)自ら潔うして他の汚れを洗い清濁併せ容るるは水なり

 個人的にこれが一番好きです。水は汚れを落とす効果があり、洗濯に使われます。小学校の時に『川に一杯の味噌汁を流すときれいにするまでに大量の水が必要になるので川を汚さないようにしましょうね』という事を聞いたのですが、水は元々はきれいなので汚れを落とす効果があるのですが、それによって汚れを取り込んで自分が濁ってしまうんですね。それでも水は濃度を薄める事ができるので、水には清濁併せ持つ包容力がある、という解釈ができます。

(5)洋々として大洋を充たし発しては蒸気となり雲となり雨となり雪と変じ霰(あられ)と化し凝(ぎょう)しては玲瓏(れいろう)たる鏡となりたえるも其(その)性を失はざるは水なり

 水は変幻自在です。海にいるかと思えば蒸発して水蒸気にもなれるし、雲、雨、雪、霰など固体、液体、気体と自在に変化する事ができます。それでもまた液体に戻れば水の性質を失う事なく居続けられるという、自分を見失わずに柔軟である、という性質があります。

 水ってかっけえ。

【参考資料】

黒田孝高
黒田官兵衛の『水互訓』

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