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地域で活動する団体紹介 外国につながる小学生のための学習支援教室 あおぞら

コロナ禍でのオンライン授業

 外国につながる小学生のための学習支援教室あおぞら(以下、あおぞら)は、外国につながる小学生を対象として毎月第1・第3土曜日の午前に鶴見国際交流ラウンジで教室を開催している。新型コロナウイルス感染症の影響で2020年4月・5月の教室が休みとなり、以降も対面での学習支援が行えない状況となっている。そこで、あおぞらでは6月からウェブビデオ会議システム(以下、ビデオ会議)Zoomを使ったオンラインでの学習支援を開始した。
2009年の教室スタート以来学習支援は常に対面で行ってきた。ビデオ会議導入にあたり、利用した経験がある学習支援サポーター(以下、サポーター)から使い方を学ぶところから始まった。このような中であおぞらはではどのようにビデオ会議を導入し、学習支援の現場で活用しているのか話を聞いた。

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 写真:あおぞらの会場 鶴見国際交流ラウンジ

  雨の晴れ間の6月第3週土曜日。あおぞらの第2回目のビデオ会議を利用したオンライン授業が行われた。会場である鶴見国際交流ラウンジの入口と窓は開けられ、涼しい風が室内を流れている。ラウンジ内は大きく部屋が4つに分けられており、各部屋ではホワイトボードをパーティションとして使った仕切りができている。サポーターは距離を置いて座わり、目の前のパソコンの画面を覗きながら準備を進めていた。この日は、これからオンラインで学習支援を希望するサポーター数名が見学に訪れていた。

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写真:パーティションで仕切り、距離を置いて座っている

 4名の学習支援コーディネーター木田さん、糟谷さん、工藤さん、宋さんはビデオ会議の操作方法で困っていることがないかサポーターの様子を確認。質問があればすぐに対応する。コーディネーターの4名もビデオ会議を使い始めてから間もない。しかし、サポーターからの質問に迷うことなく丁寧に答えている。 ビデオ会議を利用するため、コーディネーターとサポーターは勉強会を開催してきた。その回数は約1か月間に8回。最初はコーディネーターだけで勉強し、その後サポーターを交え、最後に教室に参加する子どもたちへ操作方法を伝えた。 「子どもたちはビデオ会議の操作を理解するのがとても早かったです。こちらから説明する前に学びたい教材の写真を撮って送ってくれたりしました」と宋さん。

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 写真:サポーターの質問に答える宋さん

 学習支援教室開始の15分前、コーディネーターの工藤さんが中心となりオンラインでサポーターのミーティングが始まった。出席する子どもの確認や情報の共有を行う。
 コーディネーターとサポーターのミーティングが終わると、子どもたちがオンラインで参加。この日参加したのは、中国、ブラジル、ボリビアにつながる子どもたち。最初に、みんなで一緒に体を動かすアクティビティを行う。「まーえ」「うしろ」「ひーざ」と言いながら手を移動し2回手拍子をする。あおぞらではいつも学習前にみんなで一緒に動き一体感を持つことを大切にしている。オンラインでも学習前にみんなで一緒に動いてから、サポーターとの1対1の学習に入る。

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写真:モニター越しに子どもたちに話しかける

 新型コロナウイルス感染症が広がる前、あおぞらには1日平均24.4名の子どもが参加していた。今回はラウンジの会議室利用人数制限とビデオ会議操作ができるサポーターの数に合わせ、参加対象も小学6年生や初期支援が必要な子どもとし人数を減らしての開催となった。授業中は子どもと日本語で話すサポーターと子どもの母語で話すサポーターがおり、子どもに合わせて対応している。教科を教える前に、どのサポーターも子どもたちの様子を聞き、子どもたちが自分の言葉で自分のことを伝えることができるように工夫をしている。教科学習では画面越しに教科書を映し、ホワイトボードを使って子どもたちに説明をするサポーターの姿が見られた。

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写真:モニター越しに子どもたちに話しかけるサポーター

 通常の学習支援は10:00~12:00の2時間で行われる。11:00に「おやつタイム」が始まり、子どもたちはおやつを食べながらそれぞれおしゃべりを楽しむ。あおぞらでは学習のほかにもこのように一緒にお菓子を食べたり話をする時間も大切にしている。コーディネーターの宋さんは「子どもたちは学校では母語で話す機会が少ないけれど、あおぞらにいる間は母語で話していいよ、わからないことがあったらどんどん聞いてね、普段できないことをしていいんだよと伝えています」と話す。
 オンライン授業は45分で終了。学習時間が終わりに近づいてきたころ、この日見学で来ていたサポーター松井さんがオンラインで子どもたちに教科を教えている姿をコーディネーターの糟谷さんが発見。松井さんに感想を聞いたところ「画面越しはもどかしさを感じますが、1対1で子どもが集中せざるを得ない環境は良いかもしれません。書いたものがすぐ見れなくてチェックがしにくいことや、子ども同士のつながりができないのが気になる点です」と話してくれた。

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写真:見学で来た松井さんもオンライン授業を実践!

 (6月)現在、鶴見国際交流ラウンジは部屋の利用人数制限により、通常の1/3しか入ることができない。あおぞらでは新型コロナウイルス感染症の影響が収まるまで、ビデオ会議で学習支援を行うとともに、ビデオ会議を使うことができない子どもは来館で対応するなど分散型で行っていくことを検討している。

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写真:あおぞらコーディネーターのみなさん

― Information ―

外国につながる小学生のための学習支援教室 あおぞら
 開催:毎月第1・第3土曜日 10:00~12:00
問合せ:鶴見国際交流ラウンジ ホームページ 
    電話045-511-5311


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