300万円の未回収金がある話
著者スペック
著者はフリーランスのエンジニアとして独立して10年、キラキラしてる渋谷のインターネッツを扱ってる会社に新卒で入って、新規立ち上げ開発を数回した後にos作ってる外資に一瞬転職してから、縁あって独立した。
独立してから数ヶ月、懇意にしてるクライアントから、あちらこちらと仕事の紹介が増えていき、順調に仕事が広がっていった。
所謂良縁と言うやつだろうか、はじめにお仕事を紹介してくれたY君には今でも感謝している。
ある日、過去の知り合いから会社を一緒にやらないか?という誘いを受けた。自由に仕事できる立場なのだから、こういうサブプロジェクトも好きに運用するのもいいかなと思い誘いに乗ることにした。
やがて、売り物になるであろうレベルで新しいものが出来たので、早速営業をかけるが、しかしまぁ、コレが恐ろしいほど売れない。
立ち上げの商品が死ぬ程売れないのである。「こういう機能にしたら売れる、こういう機能なら買ってくれるらしいから機能追加だ」というのを繰り返して、10年が経過した。
ただ、割いていたパワー自体はいうて大した事がなかったのが救いで、うまくいかないなら最悪離脱を考えていた。
勿論、こういうリスクはつきもので、というか大体スタートアップなんてこうなる。そうなっていった会社を幾つも見てきたのだから、ある意味慣れていた。
いよいよ辞めて別の事に時間を使おうかと思っていた矢先、大企業H社との共同プロジェクトの話が持ち上がった。
この話は毎年継続的に予算が降りる話で、額も現実的で非常に魅力的な話に思えた。
今回この仕事での収入は全て会社に入れて、後から出るであろう継続的なインカム、またはその奥にあるであろう大魚が僕の狙いだったのだが…
結局ほぼ全て僕だけで進行するプロジェクトなので満額僕に出す話で決着した。
その額が300万円である
ただ、待てども待てども支払いの話になる事はなく、いよいよ半年経った頃クライアントであるH社から「今年度もまた継続でやりたい」との話が持ち上がった。「ん?去年の支払いは?」と思いつつ、打ち合わせを終える。H社はうちに報酬を支払ってるのだろうか?いや、払ってないわけないよな、どこいった?
後から社内で話すと、「別の補助金から支払うから待て」との事、お気づきかもしれないが、これは使い込んだので払えないという意味である。
本当に怖い事を想像するならば、未回収の額は本当に300万なのだろうか?
10年経って初めてコレが悪縁であると気付いたのだった。