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なぜイノベーションに多様性が大切なのか

11月に入りました。シカゴは冬は突入しつつあり、10/31に早くも初雪が降りました。

・・・というイントロを書いていたら、本日は12月5日で、秋学期の最後の授業が終わってしまいました。学校 (イリノイ工科大学デザインスクール) の秋学期が始まった8月12日から、怒涛の4ヶ月でしたが、とりあえずの一区切りです。今日は最終授業のクラスメートと、軽く乾杯をしてきました。シカゴで最も高い高層ビル (ジョン・ハンコック・センター) の、展望レストランで乾杯です。プライスも最高で、ビール (350ml缶) が$10の世界、、ほとんどがこの夜景のお値段、とりあえず一杯で撤退。

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しかし、この4ヶ月で自分は何を得ることができたかと改めて考えます。というか、まだデザインの全体感を抑えることができただけで、いろいろなことが正直さっぱり分からない。。細部については次学期以降の課題です。学校の先生にもアドバイスされていますが、最後に分かればいい。前回の備忘で触れましたが、成長曲線は直線には来ないので、一休さんの "あわてないあわてない、一休み一休み。" をいつも自分に言い聞かせています。

さて本日ですが、多様性について備忘したいと思います。多様性を英語でDiversity (ダイバーシティ/ディバーシティ) と言いますが、これは日本でもよく耳にする言葉です。多様性は大事だと、昨今多くの企業でも当たり前のように唱えられいて、ダイバーシティ経営、お台場シティという名前さえもあります。確かに多様性があると、色々なアイデアを持ち寄れるだろうし、3人寄れば文殊の知恵なんでしょ、とおおよそ予想ができます。でも、それは一体何なのでしょうか、何がそんなに嬉しいのでしょうか? 

ある授業で、多様性の実験レクチャーを受けた時の体験が非常に鮮烈でしたので備忘したいと思います。レクチャーの内容は、クラスの全員それぞれが予め用意されている、裏返しにされた絵を選びます。他の人に自分の絵を見せてはいけません。そして、会話だけで何が書いてあったのか情報共有を行い、その内容をホワイトボードにスケッチしていきます。非常に簡単なそれだけのワークです。

さて何が起きるでしょうか。実は、これ "Zoom" という絵本 (下図) を使ったスタディで、各々の絵には異なる縮尺から見た景色が描かれています。 (ページが進むごとに、どんどんZoom outして行くコマ割りになっています。) 

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お互いが情報共有しているうちに、何か同じことを話しているようで、でも何か異なることを言っているということで、最初は混乱が起きます。しかしながら、ホワイトボードに絵を描いて、全員の意見を共有していくうちに、各々持っている情報が繋がりはじめ、ぼんやりと全体像が見えて来るのです。最後は、全員の持っているピースがパズルのようにはまります。

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これ、私にとって非常にAHAな体験で、なんとなく多様性は大事なんだとぼんやりとは思っていましたが、なるほど!と非常にクリアーに腹落ちさせられるレクチャーでした。多様性はもとより、なぜチームワークが大切なのかということの理解にも役立ちます。

人が異なると、たとえ同じ対象を見ているとしても、見え方や捉え方が異なります。これをFraming (フレーミング) と呼んでいて、文字通り風景の切り取り方です。

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この言葉は、デザインスクールでも共通言語として使われていて、アイデアやコンセプトの視点を変えたい時には、Reframing (リフレーミング) しようという風に使われます。

つまり多様性とは、異なるFraming (フレーミング)を持つメンバーが、情報を持ち寄ることで、より全体感を持った物事の真の姿 (神の視点) を浮き上がらせることができると言えるのかもしれません。(大袈裟..)

先生と少し話したのですが、理論的に多様性をInclude (包含)するほどに、Innovaitonへの可能性は高まるが、同時に意見をまとめることや、ワークスタイルの相違など、チーム運営面での難易度が高まるということです。それ故、デザイナーには Knowledge Brokering (知識仲介の戦略) や Facilitaiton (ファシリテーション) の技術が同時に求められるのだと思いますが、この内容については個別の専門授業があり、ID (イリノイ工科大学デザインスクール) の得意領域でもあるので、別途備忘したいと思います。

このワークですが、チームビルディングに用いられるとのことで、簡単ですが非常に効果的だと思いました。ファシリテーションの方法を先生が教えてくれるそうなので、将来自分でもやってみたいと思います。

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