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デザインプロセスにおける成長カーブ

デザインスクールの秋学期は後半に入り、私は現在6科目/週を履修しています。一般的にアメリカの大学院では、週5科目がマネージできる最大量と言われている中、6科目を選択しているため、寝ている以外は常に何らかの作業をしている状態です。しかし、この一年は勉強にコミットすると決めているので、合宿だと思ってひたすら走り続けています。風邪を引くと、ピットインを余儀なくされるので、とにかく耐久レースが滞らないように、体力の温存には最大限の注意を払っています。

それにしても、やはり日本人 (私) にとっての課題は英語力で、この3ヶ月でどれだけ伸びているのだろうかとつくづく思います。。多分、8月に入学した頃に比べるとスピードにはかなり慣れてきているのではと思います。 授業の初日は、絶対卒業できないと絶望していたし、頭の疲労度も徐々に減って来てはいます。しかしながら、現状よく聞こえる日と本当に聞こえない日の波が存在する、上手く話せる日と話せない日の浮き沈みが激しい、むしろ早く話そうとすると文法が崩れるため、下手になっている気もする。そしてまたクラスでぶっちぎりの英語の下手さ加減に絶望する。この状態を冷静に分析すると下図のようになります。
"もう3ヶ月もアメリカで過ごしているのだから、英語が上手くなっていて当然なのに、なぜまだ聞き取れないんだ。俺には語学のセンスが無いのか?!”

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留学の経験者からアドバイスを頂くと、皆さんよく言われるのですが、"ある時突然英語がよく理解できる日が訪れる" と。もちろん人によってそのリードタイムは異なりますが、私も最短にする方法を模索しつつ、その "ある日" が突然訪れるのを待ち続けています。上記の理論から推察すると、その日が訪れるまで、日々もっと英語が上手くなっているはずだという当初想定と現実のGAPは広がり続け、焦りによる絶望を感じる状態が続くのです。 (今日の私.. )

さて、デザインスクールの授業でも繰り返し伝えられる事柄で、問題解決までの道のりはロジックで考える通りの直線平坦なプロセスでは決してないという教えがあります。Status Quo (現状維持) を分解し望む状態に再構成し直していくクリエイティブの過程はカオスであり、デザインの過程で必然的に出現するこれらのカオスを積極的に許容し受け入れなさいと。(下図イメージ)

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この過程をグラフで捉え直すと、デザインの作業努力に比例することなく、あるティッピングポイント(転機)を迎えると、突然アウトプットが出現し始めるという非線形なプロセスを辿るということになります。(前述の英語習得の過程も、現状を大きく変えるイノベーションのプロセスと捉えることができます。)

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努力量とアウトプットが比例しないという現象は、頻繁に耳にする・経験することかもしれませんが、人の認知と現実世界のGAPを理解するのに、非常に優れたモデルだと改めて感じています。昔ながらの精神論で嫌がられる、"先ずは量をこなすことが大事" や "足で稼ぐ営業" などの戦略も、イノベーションへのアプローチとしてある部分では、理に叶っているのかもしれません。

このデザインプロセスの成長曲線を念頭におくと、直線的な論理思考とは異なり、人の心理状態を考慮した目標へのアプローチが可能になるのではないでしょうか。より効果的かつモチベーション維持の可能な問題解決のアプローチ設計。

以上を簡単にまとめると、イノベーションデザインの過程では、いつ来るか分からない転機という不確実性や曖昧さを信じ追いかけることのできる楽観 (Optimism)が不可欠です。私も、英語習得への道のりでのカオスと絶望を受け入れ、転機を粘り強く待ち続けたいと思う次第です。

*補足ですが、ティッピングポイントをASAPで実現するために、デザインプロセスではプロトタイピングを重視します。MVP:Minimul Viable Product を素早く作り、試行錯誤のサイクルを素早く回します。これによって、可能な限りのFeecback情報を吸収ししなやかに軌道修正を図って行くのです。なのでデザインにおける一生懸命頑張るとは、プロトタイプによる失敗を多く繰り返すことで完成度を高めて行くことを意味します。

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