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デザイン・デザイン思考とは 前半

デザインスクールでの授業が始まって一週間が経ちました。日本での環境と打って変わって、圧倒的な量と高速の英語を処理して行かなければならないことを実感し、右脳を活用するコツを模索しています。(その場で意味が分からなくても高速でインプットし、思い出すような感じで理解が追いついてくる、この感覚がとても大事な気がしています。)

さて、本日はデザイン・デザイン思考とは何なのか? ブームになっているけれど一体何がそんなに嬉しいのか?について触れたいと思います。

先週のオリエンテーション時に、デザインとは一体何なのですか?と教授陣に直球で質問するインド出身の女性がいました。彼女もプロダクトデザイナー経験がある人なので、自身に問いかけ続けているテーマなのだと思います。

そしてなんと、一人の教授の回答は「そんなこと考えたことないなぁ。。」でした w

それもある意味では頷ける回答で、ずっとデザイナー一筋でやって来ている人には至極当たり前の世界なので、他の世界と比較をしたこともないし、その優れている点がよく分からないのは当然なのです。

だからこそ、私のように大学の理系学部を出て、ビジネスのバックグランドを持つ違う畑からやって来た人間の方が、デザインという世界の特徴をはっきり捉えることができるし、同時に説明責任があるのだと勝手な使命感を感じている次第です。

別の教授の説明が一つのヒントを与えてくれました。それは、デザインという学問分野が発展して来た歴史についてです。そもそもデザインはアートの親戚で、デザイナー個人の属人的なセンスや技術で対象物を制作する、主観性の強い分野でした。しかしながら、厳格な学問の世界で生き残るためには、しっかりとした説明力 (理論とロジック) が求められ、この環境を背景に客観的な科学としても発展して来たのです。(建築が発展して来た経緯とも似ているそうです。) この主観と客観の世界をブリッジするポジショニングこそが、デザインという分野の特徴および強みを生み出す源泉になっているのだそうです。

先生は、デザインとは何かははっきりとは定義されませんでしたが、科学やビジネスの客観性優位 (世の中で声が大きい) の時代に、デザインこそが主観性 (世の中のマイナーな声 : 少数派の意見・非常識・審美性など) を机上に持ち出すことができ、主観と客観の両方向から会話を活性化する役割を担っているのだと仰っていました。 (下図イメージ)

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ここからは、一週間の授業も含めて私の理解整理になって来ますが、デザインとは、"人の徹底理解に基づく(人の主観を許容する)問題解決"のことであると考えます。(人間中心の設計という言葉で一般的に言われています。)

今週出会った気になる言葉の中に、"We are All Designers"というものがありました。

"We are all designers in the sense that all of us deliberately design our lives, our rooms, and the way we do things. We can also design workarounds, ways of overcoming the flaws of existing devices."

つまり私たちは、日常生活の中で、自分の主観を頼りに自由にデザインを行なっているのです。無意識に、自分にとってお気に入りのモノ・コトを手に入れようと問題解決をしています。デザインという行為は人間の生まれ持った習性なのかもしれません。

しかしながら、これが簡単には上手くいかないのが現実の世界です。世の中のシステムがあまりに客観的 (ロジカル & 機械的) 過ぎて、人間に不幸を感じさせるのです。システムを人間に合わせるのではなく、人間がシステムに合わせるように強いる社会の仕組みと風潮になっているのです。かなり多くの人が、本当はシステムのデザインが悪いだけなのに、自分は不器用であるとか理解力が足りないとか自責を感じさせられてしまうのではないでしょうか。以下気になった表現:

"Much of the design is done by engineers who are experts in technology but limited in their understanding of people. The problem with the designs of most engineers is that they are too logical. If we didn’t have people, everything would work so much better." 

なんという皮肉、技術が進歩するほどに、人が不幸になってしまうとは。これは昔から根強く存在するパラドックスらしく、デザインが必要とされる意義がよく理解できる観点の一つかと思います。現実的には、世の中を人間中心に寄り戻す役割をデザインが担っているのです。

宿題で時間があまりないので、、今日はデザインの定義と意義について簡単に触れるだけにして、次回はデザイン思考について記述してみたいと思います。デザイン思考とは、デザインを行う際に、優れたデザイナーが行う作業&思考プロセスを標準化したものです。なぜこの工程が非常に注目されていて、ビジネスにも応用できるかにはいくつか理由があるのです。<続く>

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