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【日常系ライトノベル #1】マヌケなヒーロー

※PCで表示したときに読みやすいように改行されています(スマホの方は読みづらくてすみません)

オトコは運転中にどうしても用を足したくなった…
スピードを落とし、行きつけのスーパーへ

スーパーのトイレ
ドアはきしみ、鍵は衝撃で開きそうな…、そんなトイレ

我慢していたものも
スッキリしていく感じ
お腹の中から”最終電車”が出発したとき、目の前の光景に愕然とする

残された紙はわずか…
「大丈夫か?」
心の中で不安そうに「大丈夫にせねば」と

こんなにエコを意識して
使うことがあっただろうか


この悲劇を乗り越えたオトコ
話はここで終わらない…

誰もがこの悲劇に出くわす可能性は…
あるのだ‼
確率はどうであれ


悲劇を乗り越えたオトコには余裕がある
新しいロールを取り付けるために辺りをキョロキョロ

おかしい⁈
予備のロールが見当たらない

起こりうる悲劇を想像すると放っておけない

何が出来る?
何がいいのか?

オトコはスーパーの中に…
普段は駄菓子コーナーに立ち寄るはずなのに…
今日は違う

購入した、12ロール入のトイレットペーパー
袋をビリビリに破く
その中の1つを手に取るとトイレへ

この瞬間
オトコは起こりうる悲劇を救ったヒーローとなる

(トイレに)紙が無かった?
いや今は(トイレに)神がいたのだ

車に戻ったオトコはエンジンをかけると颯爽と走り出した

誰ともわからない人に悲劇が起こらないこと
それに気分がよかった


待ち合わせ場所に着き
助手席のドアが開いた

助手席に置かれていたトイレットペーパー…
破けた穴からこちらを覗いたロールの一つがこういった

「マヌケなヒーローよ」


「おい、これ1つ何に使ったんだよ?」と助手席の住人が言う


・・・


(終わり)

ありがとうございます。気持ちだけを頂いておきます。