「距離を変える」ことから始まる

オンラインサロンを共同運営するもとくらの鳥井さんが、本日更新のブログでこんなことを書いておられました。

モノを買う人、作る人、そのまた隣で煽る人。

このサロンは「僕らの理想のデニム」についてあれやこれや考え、最終的に1型のデニムを作る目的で行われています。

そのサロンで先日開催した、作るデニムの方向性を決める大討論会で、「隣で煽る人」の大切さをまさに痛感しました。

「隣で煽る人」について、詳しくは鳥井さんの上記事をご覧いただきたいのですが、極端な話、大討論会において鳥井さん=隣で煽る人がいなければ、全く別の結論が出ていたと思います。

逆に言えば、鳥井さんの一言で場の方向性がピタっと定まったような、改めて場と空気づくりの上手さに感服したことを覚えています。

もちろんその場や空気は、誰か1人が掌握できるわけはなくて、サロンメンバーみんなで作り出した互いの信頼感や空気があってこそ生まれたもの。つくづく本当に素敵な人たちの集まりだなあとぼくは思います。

それを差し引いても、今回のサロンにおいて、ぼくたちEVERY DENIMという”作る側”とサロンメンバーという”受け取る側”この2者しかいなければ、「何を作れば良いか」決めるのは簡単ではありませんでした。

作り手側の視点からだと、うっかり気づかぬうちに受け手側に寄ってしまったり(非独裁的)、逆に無視してしまったり(非民主的)、バランスをとるのがなかなか難しい。

第三者視点からの人たちが”煽る”ことでバランスを取ってくれたことは、非常にありがたかったです。

そして何より、こういった方向性について、”作り手側”と”煽る側”が事前にビジョンを共有しておいたのがよかった。

【オンラインサロン・オープン】いま、僕らが本当に選びたい「理想」のデニムをつくろう──「EVERY DENIM」山脇耀平・島田舜介 × 鳥井弘文「灯台もと暮らし」

EVERY DENIMが今回のサロンにおいて「超独裁的」かつ「超民主的」なスタンスを取るというのは、開設前から予め決まっていたこと。鳥井さんから提案を受けて、ぼくも理解した上で臨んでいました。

これは実際、サロンをやっていく上でとても役に立ちました。スタンスをすり合わせたおかげで、発言の意図を読み取りながら運営を進められたような気がしています。

そして、例の大討論会のときに、確実にターニングポイントが訪れました。どこか自分たちのスタンスを忘れそうになっていた所を軌道修正してもらったおかげで、急激にいろんなアイデアが浮かんできました。

まさに”作り手”・”受け手”・”売り手(煽り手)”、三方がそれぞれの立場を全うしたことで、すごく熱量の高い空気に包まれた時間になったと、振り返って今思います。

結果的に、サロンを経て完成するデニムは、とてもワクワクするものになりそう。企画に携わったみんなはもちろん、想いを届けたい人をどんどん巻き込んでいけそうな、力強いデニムが完成する予定です。

そして、この半年間のサロン運営自体が、今後のEVERY DENIMのものづくりにとっての、とてもとても大切な経験になっています。

もしかしたら、ぼくたちEVERY DENIMがとっているようなやり方は、伝統的なものづくりのあり方を尊重しておられる方からは奇妙に思われるかもしれません。

でも、従来の”作り手”と”受け手”と”売り手”の距離を変えることで生まれる、新しいものづくりのあり方を、今回のサロンは教えてくれた気がしています。

「距離を変えることで生まれる」というのが大事で、作り手が特許を取得するくらいものづくりに没頭するのではなく、受け手が欲しいものについて徹底的に情報を得ようとするのでもなく、売り手がとてつもなく響くキャッチコピーを考えるのでもない。

そのどれでもない、三方の距離を変えることから始まるものづくりについて、もう少し、実験していたいのです。

特にこのサロンでは、ぼく自身、主に距離感について多くのことを学んでいます。それはまたいつかまとめるとして、三方のチームワークを結集したデニムを発表できる日が、楽しみでなりません。

山脇、毎日。