【レビュー】ネクラな貴方に…Nick DrakeのBryter Layterを解説

僕は少し陰のあるシンガーソングライターが大好きです

なかでもNick Drake(ニックドレイク)は特に内省的かつ美しい

今日はそんなナイーブな名盤をご紹介します。


Bryter Layter 3つの特徴

①不遇のシンガーソングライター1970年の意欲作
②そっと語りかけるような歌声と内省的で美しい楽曲
③弾き語りと調和した上質なアレンジ


1.どういう作品なの?

ニックドレイクは1969年、イギリスでデビューしたシンガーソングライターです。

ソフトな声と独特なギタースタイルで弾き語る彼の音楽は、当時、評論家から高い評価を得ました。

しかし、商業的成功には恵まれず、精神を病んだニックは抗うつ薬の過剰服用により、わずか26歳の若さで亡くなってしまいます。

ところが80年代以降、様々なアーティスト達がニックに影響を受けたことを語り、そこから再評価が始まりました。
現在では最も影響力のある英国のシンガーソングライターの1人に数えられています。


そんな悲劇的な人生を送ったとも言えるニックの2枚目のアルバムが、1970年発表のBryter Layterです。

1枚目のアルバムの不振を受けて、よりポップな路線を目指した本作は、フェアポート・コンヴェンションのメンバーやジョン・ケイル(元ヴェルヴェット・アンダーグラウンド)が参加。
ジャズやクラシックの要素を取り入れた完成度の高い作品となりました。


で、僕はどうやってこのアーティストに出会ったのか?

タワレコでジャケ買いしました笑

ジャケットを見てもらえばわかりますが、なんとも陰鬱な雰囲気が漂っています。

ギターを抱えて独り椅子に座るニック

それを囲む紫のフレーム

手にとった瞬間これは絶対好きだと確信しましたね。
そして帰って聞いてみたらどストライク。
最も好きなシンガーソングライターの1人になりました。

ジャケットが作品の内容を如実に表している好例です。


2.どこが良いの?

①そっと語りかけるような歌声

まずニックの特徴はソフトな声です。

声を張って歌い上げることはなく、ささやくように軽やかなメロディーを歌います。

例えるならフルートのような歌でしょうか。

アルバム冒頭の曲、Hazy Jane Ⅱの出だし部分は特に軽やかで、シンコペーションしながら降下していくメロディー、字余り的に付け足されている4分の2拍子が歌の浮遊感を演出しています。

そっと語りかけるような歌声はとても耳馴染みがよく共感を誘います。



②内省的で美しい楽曲

もう一つ大きな特徴は、独特なギタースタイルです。

ニックは変則チューニングをうまく利用して、複雑で陰影のある曲作りをしています。

変則チューニングというのはギターの調律に関するテクニックで、イレギュラーに調律することで不協和音を効果的に取り入れ、奥行きのある響きを得ることができます。

At The Chime Of A City Clockのくぐもったギターの響きは、バンドサウンドの中から浮き立って聴こえてきます。



③弾き語りと調和したアレンジ

そしてこの作品ならではの良さはニックにマッチしたアレンジです。

作品の主役はあくまでソフトな歌とギターなのですが、そんな控えめなニックを包み込むようにバンドが彩りを添えています。

ブリティッシュな雰囲気を醸し出すタイトなドラムとメロディックなベースはさりげなく曲をもり立てているし、瑞々しいストリングスやリード楽器(サックス、フルートなど)はポップさを加えています。

ニックの素朴で美しい曲と上質なアレンジが融合した完成度の高い作品です。



3.このアーティストもおすすめ

・Suzanne Vega
1985年から活動しているニューヨークのシンガーソングライター。ささやくような落ち着いた歌声と内省的な楽曲はニックに通じるところがあります。

・Fairport Convention
1968年から活動するイギリスのフォーク・ロックバンド。リズム隊のDave Pegg、Dave MattacksとギターのRichard ThompsonはBryter Layterに参加。

まとめ

①不遇のシンガーソングライター1970年の意欲作
②そっと語りかけるような歌声と内省的で美しい楽曲
③弾き語りと調和した上質なアレンジ

いかがだったでしょう?

ナイーブで人間味のあるニックの魅力にぜひ触れてみてください。

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フリーで音楽制作、音声編集、ギター講師をしています。 2000年にギター、2002年にDTMを始め、それ以来ずっと音楽のことばかり考える日々。 photo by Matsushita Mamiya
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