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#8 The Enemy / We'll Live And Die In These Towns(2007)──若き衝動は若いうちに

【best album of my life】
これまでの人生、様々なタイミングで出会ってきた数々の名盤を振り返っていこうという企画。今聴いたら少し恥ずかしいものから、当時は激ハマりしていたもの、変わらずずっと大切な名盤まで紹介してきます。
今回はその8回目、The Enemyの『We'll Live And Die In These Towns』です!

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The Enemy / We'll Live And Die In These Towns

The Enemy / We'll Live And Die In These Towns

英国ミッドランズ出身、2005年に結成された3ピースバンドThe Enemy。メンバーが18歳だった2006年にStiff Recordsとの契約を獲得し、シングル曲"40 Days and 40 Nights"でデビュー。2007年にリリースした"It's Not Ok"が大きな話題となり、NME誌などのメディアでは「オアシス以来の逸材」と評され2007年7月には1stアルバム『We'll Live And Die In These Towns』をリリース。初登場1位を獲得し、2007年のサマーソニックにメインステージのトップで出演した。

2007年はArctic Monkeysの出現もあり、世界的にUKロックブームが起きていた。2007年のサマーソニックのラインナップは正に"UK祭り"と言わんばかりの勢いあるラインナップだった。Arctic Monkeysがヘッドライナーを務め、KasabianやManic Street Preachersがラインナップするメインステージのトップバッターとして出演したのが彼らだった。
また、BritishAnthemsという英国バンドを中心としたフェスも開催されるなど日本でのUKロックブームの勢いは凄かった。その勢いそのままに英国から殴りこむように駆け込んで来たのがThe Enemyだった。

アルバム1曲目の"Aggro"、続く"Away From Here"では彼らのパンキッシュで若さゆえの苛立ちや焦燥感に溢れていて、デビューアルバムに相応しい最高の始まり。歌い方にはSex PistolsのJohnny RottenやThe JamのPaul Wellerの雰囲気を彷彿とさせる。とにかくブリティッシュアクセントが最高にかっこいい。
"Away From Here"は個人的に、人生で初めてライブのモッシュに参加した曲なので思い入れも強く、あの時サビを合唱しながらモッシュをした思い出は一生忘れることはない。楽しかった。疲れ切った足を踏み出して人の波に参加した瞬間に自分の中の新しい人生が始まった気がした。

そしてアルバム中盤にはこれまでのエネルギッシュな勢いを断ち切るアルバムのタイトル曲でもある"We'll Live And Die In These Towns"がこれまた超名曲なのだ。
楽曲の中で「俺たちはこの街で生まれてこの街で死んでいく」と繰り返し歌うサビでは、まだティーンエイジャーである彼らの見ている世界の現実や理想との間で揺れている感情やイギリスという国の階級制度で生きている若者の姿を伺うことができる。

2000年代の後半は特に数多くのバンドが出ては消えていった印象があるだけに、もっと今の時代聴かれてもいいのかなと個人的に思っている。
2016年にTheEnemyは解散したが、今日The Enemyが再結成ライブを2022年10月28日に開催することが決定した。

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まだ1年も期間があるため、アルバムや新曲のリリースを正直期待してもいいのではないかと思っている。この時代にThe Enemyがどんな音楽を作っていくのか、楽しみだ。

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