父親との距離

皆さんは、父親とはどういう仲の良さというか距離感だろうか。

歳を重ねるに連れて、仲良くなる人も多いだろう。親の凄さも分かって。

自分の父親は、口数は多い方ではないが厳格でもなくて。まともに怒られた事はほとんどない。
かと言って、愛情をたっぷり注がれたような事も無い。しかし、愛されていなかった訳では無いと思う。小さい頃は色んな所へ旅行へ連れてってもらったし、不自由なく生活できた。

正月、父親と久しぶりに会った。

「話がある。」と父。

年末に、血尿が続き精密検査を受けたら腎臓癌の疑いが強く手術をしなければならないという。

幸い膀胱には怪しい影はなく、右の腎臓と尿管を摘出するが、予後も普通に生活できるくらいの初期らしいが。

手術当日には、立会人として行くことになった。

今日は手術説明の外来に付き添った。

もう70歳。

最近の父親の生活はよく知らない。

何年か前にカメラをこっそり買っていたのは知っていたが、この度「カメラあげるわ。」と言われた。
初期の癌だが、形見のつもりなのか、どこまでの思いかは分からなかったが。
しかし、この先何年後か10何年後かに亡くなった時にきっと形見になるんだろうなとは思った。
だけども、「要らんねやったら、売ったら。」なんて言ってしまった。
自分は元々優しくはないが、父親との距離感が特に近年は分からなくなってしまった。

父親が選んだ病院は、大阪国際がんセンターだった。癌治療の西日本最高峰と言われる所だ。

生きたいよな、そら。

説明を受ける父親の不安そうな横顔は忘れないだろう。

国際がんセンターは大きくて、全身のあらゆる科があって、それぞれに癌があって本当に癌という病は厄介だなと思った。
患者さん、家族。若い人もたくさんいて。いたたまれなかった。

病院の一角には、散髪屋さんではなく、ウィッグ屋さん。

なんで癌ってあるんかな。

手術当日、術後の父親にどんな顔して会って、どんな声をかけられるだろうか。


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