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「らしくない1年間」 3年 山口泰生

平素よりお世話になっております。
横浜国立大学都市科学部3年の山口泰生です。
 
初めにスポンサー様、OBの皆様、保護者の皆様、今年度もご支援いただき心より感謝申し上げます。
今年度は東京都リーグ参入により外部の目に触れる機会の増加、またコロナ禍で途切れていたOBの皆様との交流を取り戻すきっかけをつくることのできた年でした。これを機に、今後益々この組織が素晴らしい組織へと成長できるよう部員一同精進して参ります。引き続きご支援、ご声援のほどよろしくお願いいたします。
 
 
さて、「首脳学年を振り返って」というテーマがあるみたいなので、今シーズンを振り返って思うことをありのままに綴っていこうと思います。読ませる文章が書けるかどうかわかりませんが、広報のボスである原から最終節前日という貴重な役目を授かったので精一杯書いていこうと思います。
拙い文章になるかと思いますが、是非最後までお付き合いいただけると幸いです。
 
 
 
部員にとって、自分はどんな主将に映っていたのだろう。

そんなことをふと考える。
 
1年間の自分の主将ぶりを表すとすれば、「不器用」。そんな1年間だった。
それもそのはず、大学に入るまでキャプテンなんてものはやったことがない。もともと人前で話すのは得意じゃないし、そもそも口数は少ない方で、シャイでコミュニケーションが苦手。集団の中で声を張り上げたり先頭に立つタイプではない。それが本来の自分だ。
 
したがって当然、「主将」という飾りがついたところで急激に何かできるようになるわけではなく、この1年間全員の前で数えきれないほど噛んだし、ろくに関係性を築けなかったり、上手く伝えたいことが主張できなかった。挨拶で原稿を飛ばしたり、意味不明なことを言ってしまったりと無数の失敗をしてきた。終いにはカリスマ性がないだとか、ぎこちないだとか、自分でもわかりきったことを言われる始末。
 
自分でも主将とかリーダーにふさわしい能力が自身にあると思わない。

ただ、サッカーに対する情熱だけは誰よりも持っている自信があった。

チームを強くしたいという思いと、関東に昇格したいという思いが1年通して自分の原動力であった。
 主将という立場で、チームのために何ができるか。
このチームを強くし、関東に昇格できるチームにするためにできることは何か。
 
シーズン開幕してすぐは、主将としての仕事を卒なくスマートにこなすことを目指していた。ただ、やってみて圧倒的に自分のキャパシティが足りないことに気づく。どうしても1日1回はどこかでボロが出る。

そして、自分の能力不足とその中でやるしかない現実を受け止め、「不器用なら不器用なりに全力でやればいいのではないか」という結論に至った。そこからは変に上手に見せかけることはやめて、とにかく全力で取り組むことを大事に考えた。
 
もし、1年前に戻ることができて、もう一度最初からやりたいかと言われたら考える間も無くNOと言うだろう。それくらい辛く苦しいシーズンだった。
 
自分の原点であるこのチームを強くしたいという思い。そして関東昇格という結果を残したい思い。それらがあったからどんな状況でも頑張ることができた。柄にもなく奮起して、熱量持ってチームを引っ張るなんてことを挫折を乗り越えながら継続してきた。
 
ただ、リーグ戦が始まって、蓋を開けてみれば白星がつかない日々。半分を消化した頃には、優勝はおろか関東昇格の可能性も潰えていた。
関東昇格やチームを強くするという自分の原動力に対し、結果がついてこない現実。都リーグ参入初年度の弊害が至る所に生じた。
上手くいかない時にどう立ち振る舞えば良いのか。我慢したほうがいいのか、変化を起こしたほうがいいのか。敗北を重く受け止めたほうがいいのか、気楽に受け止めたほうがいいのか。雰囲気やモチベーションはどう作っていけばいいのか。
 
結果が出ないことや自分に何もできていないことがめちゃくちゃ悔しかった。自分にチームを束ねる才覚もなければ、チームとしての実力も足りない。とにかく全力でやるしかできることがなく、時に熱量の差から孤独感や疎外感を覚え、強くなりたいなんてのは個人のエゴなんじゃないかとまで考えた。次第に順位表を見るのが怖くなり、試合動画や撮ってくれた写真ですら見るのが嫌になった。
 
ただ、落ち込む暇はないと言わんばかりに次の試合がやってくる。そうした現実ともなんとか向き合い、今週こそはと何度も背水の陣のつもりで戦った。

ボロボロのメンタルも必要があれば気丈に振る舞い、怪我をしないよう身体のケアをして、個人でもスカウティングをして、筋トレや自主練も欠かさず取り組んで、チームの雰囲気を伺い自分なりに言葉を伝えて、試合に入れば足が攣るまで走って、出せる最大限の声を出し続け、シーズン通して限界まで戦った。
 
それでも結果は出なかった。
 
全力でやると言えば聞こえは良いが、できる最大限の努力を積み重ね続けても結果は出なかった。主将という立場は、性に合わないどころではなく、私には務まる器ではなかった。
 
 
そんなある日の練習前に、トップチームでミーティングが開かれた。

それぞれの考えや戦う理由を共有する会で、勝ちへの意志を確認し合う意味合いがあった。それぞれ理由はさまざまで、「このチームが好きで」だったり、「勝って仲間と喜びを分かち合いたい」というのが大多数な中で、まさか、「勝って泰生を笑顔にしたい」なんてカッコイイことを言う人がいるなんて。単純に嬉しかったし、どこか責任感や不甲斐なさから1人で戦っていた自分に気付かされた。
その後、円陣で泣くという奇行をしてしまいましたが、あれ以来チームの結束が強くなった気がします。上手く言葉にはできませんが、「このチームで勝ちたい」と、そう強く思わせてくれる出来事でした。
 
 
長くなりましたが、総じて伝えたいことはこんな自分に1年間ついてきてくれてありがとう。周りの支えがなければ、1人ではここまで戦ってくることは到底できなかった。他にとやかく言われずとも、自分がキャプテンとして不十分であることは理解していたし、だからこそ、やれることを全力で取り組む1年間だったけれど、至る所で足りない部分が散見されたと思うし、結果も出すことはできなかった。ただ、間違いなく自分にとってこのチームは誇りで、共に戦い、支えてくれた仲間に感謝したい。
 
 
さあ泣いても笑ってもラスト1試合。
勝てば実質残留が決まり、負ければ降格と言っても差し支えない状況。

だが、今の自分には本当に頼もしい仲間がいる。
 
20人に選ばれた選手。恐らく今シーズン最も苦楽を共にしてきた顔ぶれたち。
長かったシーズン期間、正直それぞれに文句をつけたくなる場面もありました。それでも、今いる仲間は最高だと、これ以上頼りになる仲間はいないと心から思っています。4年生を降格という形で引退させるわけにはいきません。1・2年生に来年2部で戦わせるわけにはいきません。勝って一緒に喜びを爆発させましょう。
 
メンバー外だった選手。今年から都リーグになり運営の苦労が半端じゃない中いつもサポート、応援をしてくれてありがとう。ピッチの外から共に戦う仲間として、点を決めた時、勝利した時、メンバーに負けじと盛り上がっている姿は見ていて自分まで嬉しいです。必ず皆の分まで戦い、勝って最大の恩返しをします。だから、過去最高の応援をどうかお願いします。
 
 
結果がどうなるかはわからないけれど、勝利を掴み取るだけの努力はしてきた。


明日必ず勝って、皆で最高の喜びを分かちおう。


チームのために、1人1人ができることを。
 
 
 
横浜国立大学体育会サッカー部73期 主将 山口泰生

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