EUの対中政策

18(金) 6:01配信 現代ビジネス
ドイツ人はなぜ、今さら「中国の脅威」を警戒し始めたのか

EUの対中政策
 東欧はヨーロッパの玄関だし、バルカン半島は重要な輸送路だ。一帯一路作戦には欠かせない。だからこそ中国は、すでに10年以上、この地域に多額の投資をしている。

 たとえば、GDPが425億ドル(2013年)のセルビアでは、中国が関わるインフラ投資がすでに100億ドル近いというし、最大の製鉄所も中国のものだ。また、人口62万人の小国モンテネグロでは、債務がすでにGDPの8割に達しているとか。どちらも、遅かれ早かれ借金で首が回らなくなり、第2のスリランカになる可能性は高い。

 40億ユーロ近い融資を受けているハンガリーでは、ブダペストとベルグラードを結ぶ高速鉄道という大プロジェクトが進行中だ。一方、ギリシャのピレウス港も、40年の契約で中国の手に落ちた。ここは、中国から到着した製品を鉄道に積み替える重要な港だ。

 また、ブルガリアで進んでいるのは、原発、高速道路、鉄道の建設。クロアチア南部には橋も作っているが、その建設費4.2億ユーロのうちの3.5億はEUからの援助だそうだ。つまり、EU市民の税金がEUの利益にならず、中国の進出をサポートしていることになる。

 そういえばつい最近、ドイツの国営第1テレビも、中国ドキュメントの中で、EUが対中政策で一枚岩でないと嘆いていた。しかし、私が思うに、中国が入り込んできたから纏まらなくなったのではなくて、元々纏まっていないから、そこへ中国が入り込んできたのだ。ただ、問題はその後だ。

 中国が次第に東欧で覇権を築き始めたのを知りながら、EUでは誰も動こうとはしなかった。どの国も、それぞれに中国のおかげで利益を得ているから動けなかったのだろう。これではEUの対中政策など立てられるはずもない。

 その雲行きがここのところ少し変わってきたのは、中国経済の勢いが少し弱まり始めたからだ。そのうえ、すでにあちこちから借金地獄に陥っている国の呻き声も聞こえてくる。

 そこで、その空気を敏感に感じ取ったメディアが、以前より多めに「実態」を報道するようになり、それがテレビの番組表に表れたわけだ。

 もっともその中身は、日本人から見れば、今さら何をと思うようなことばかりだが、ドイツ人にとってはそれなりに衝撃的なのだろう。

写真が好き、日本が好き
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