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ウィズコロナ・ポストコロナ時代の 観光体験はどうなっていくのか?

インバウンド事業を展開している株式会社D2C Xの中西です。連日コロナの悲惨な情報が駆け巡り、観光事業者の方々は悲痛な毎日を過ごされているかと思います。(私も同様です)

自社で運営している訪日観光メディア「tsunaguJapan」は、1月に過去最高の月間220万MAUを記録しましたが、2月からアクセスが減少しており、今後の事業展開に非常に頭を悩ませている毎日です。

(先に結論を申し上げると、体験を提供している観光事業者の方々は、資金繰り対策と並行して、この取り組みで多少の収益を稼ぐことが出来る可能性がありますので、是非ご一読ください!)

そんな中、4/10(金)にAirbnb創業者の Brian Chesky  がTwitterで新しいサービスの発表を行っていました。

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(Google翻訳にぶち込み) Airbnbエクスペリエンスを一時停止する必要がありました。私たちのホストは、ホスティングを継続できるように、オンラインエクスペリエンスの提供を求めました。 14日後、彼らは生きています。ぜひご予約ください。フィードバックをお待ちしています。

要は、今まで現地で対面で提供していた体験事業をオンラインで提供しますというリリースです。モノは試しだ!ということで、早速4/11(土)の朝に体験してみましたので、Airbnbオンライン体験の概要・分析と共に雑感を纏めてみようと思います。

1.Airbnbオンライン体験とは(Online Experiences around the world)

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Airbnbは、民泊物件を仲介していることで有名なプラットフォームですが、同じプラットフォーム上にて、全世界様々な地域で開催されている貴重な体験も仲介しています。観光地に訪れる旅行者(ゲスト)と現地でしか行えない体験事業者(ホスト)を仲介しているということです。

コロナウィルスの影響で 外出・出国できない ≒ 全く旅行が出来ない という環境下になったため、このプラットフォームを活用して、観光地に訪れたいけど外出が出来ない自宅待機者(ゲスト) と 現地でしか行えない体験を提供していたが仕事が出来なくなってしまった事業者(ホスト)を仲介するという取り組みをオンラインで提供し始めました。

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2.実際どうやって実施しているのか?

今までリアルでの出会いを仲介していたAirbnbですが、どのようにしてオンライン上での体験を提供するのか? 

最も気になるところですが、Zoomを活用するやり方でした。どうやら、Airbnb側で有償アカウントを契約し、ホスト側の体験事業者にアカウントを提供する仕組みのようです。そのため、体験自体はZoom無料アカウントの制限時間である40分以上の体験がほとんどであり、ホスト側は時間を気にすることなく提供できる環境が整っています。

3.どんな体験が提供されているのか?

Airbnbのリリースによると、当初は50個の体験が提供されているとのことです。そこで、50個程度なら数も多くないし、この週末も外出することは無いので、地道に一つ一つ調べてみました。(目視だと52個ありました)

体験種類

まず体験の種類についてです。個人的な主観で何となくのカテゴリを大別して分類した結果が上のグラフになります。料理体験が非常に多く、イタリア人が美味しいパスタの作り方などを教えているパターンが多い印象です。そのほか、ホストと一緒に体験するダンスやワークアウト、ホストが奏でる音楽を聴くなど多種多様です。ただ、これは観光体験なのかな?というものもあり、Airbnbでなくても良いのでは?というコンテンツが点在しているのも事実です。

4.どんな国籍の方が体験を提供しているのか?(ホストの国籍はどこなのか?)

ホスト国籍

次にホストの国籍です。こちらは圧倒的に米国でした。全体のおよそ3割強。興味深いのは、イタリア・スペイン・イギリス・ポルトガルなど、コロナの影響を最も強く受けているヨーロッパ諸国のホストも多いことです。1ヶ月以上在宅を強いられている環境下で、自宅に居ながら世界中の人に体験を提供できることは精神的・財政的にも非常に良いのでしょう。また、日本からも2ホスト参加しており、僧侶による瞑想とオタクに関するチャットサービスのようでした。

5.オンライン体験はいくらで提供されているのか?

価格は非常に気になるところかと思いますので、まとめてみました。基本的には、1体験における1人あたりの料金を日本円で抽出しており、縦軸は単価、横軸はその単価の体験がいくつ提供されているかの個数です(52個のうちということです)。

体験単価

一番単価の高い体験は、6,963円/1人でイギリス人の五輪メダリストが提供するサイクリングノウハウの体験でした。全体の平均単価は、1,994円/1人となり、どの体験もおしなべて5~10人程度は参加できる構成となっているようです。

体験時間も調べてみたのですが、1時間が33件・1.5時間が17件・2時間が2件となり、6割以上が丁度1時間の体験時間となっております。

今までの情報を基に、オンライン体験の収益を仮置きの数字で試算すると、

売上シュミレーション

色々突っ込みどころのある数値ではありますが、理論上で言うとこのような試算が出来るので、まだサービスが少ないこのタイミングで参入し、少しでも収益を稼ぐのは一考の余地があるかと思います。

6.実際に体験してみた

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前置きが長くなりましたが、実際に体験してみました。今回は大阪在住の僧侶の方が提供する瞑想(Meditation)です。普段は、大阪城を見ながら瞑想する体験を外国人向けに提供しているそうです。

まず、申し込んだあとは、ホストの承認後に自動返信でZoomのリンクと持ち物に関する情報が登録メールアドレスに送られてきます。

Airbnb予約確認メール

その後、開催時間前に同じグループの人宛に一斉送信でホストからご案内が入ります(Airbnb上のチャットで)。参加者は多国籍になるので、基本的な言語は英語がベースとなります。

準備が整い、さぁ始めるぞ!ということでZoomにログインすると音声が全く出ない。。。普段仕事でも使っているので、こちら側の設定には問題が無い。なのに、なぜか自分だけ音声が出ない。結局、自分だけ参加を見送り、次回以降にずらしていただきました。(2時間後に実施) 原因は不明なのですが、オンラインで体験を実施する場合、この辺りの通信におけるトラブルは発生する前提でマニュアルを組んでおくのが良いかと思います。ホストの方とその後連絡を取ったところ、私以外にもこういったトラブルで参加できない方がたまにいるようでした。

今回私が参加した体験には、アメリカ人が4人(NewYorkなど)・日本人が2人のゲスト計6人・ホスト1人の合計7人で、進行は全て英語で実施でした。まず最初に、それぞれの簡単な自己紹介、そこからホストのイントラダクション、時折ゲストへの質問、いざ体験という流れで約60分のプログラムでした。

コンテンツによって異なると思いますが、体験自体は、Host to Guestのコミュニケ―ションがベースで、Guest to Guestのコミュニケーションはほぼ無く、1to1で実施しているオンラインエデュケーションに近い感覚でした。(スカイプ英会話とかに近いけど、参加者がたくさんいる感じ)

参加していた米国人が結構笑っていて(自分は英語力の問題でツボが分からなかった)、結構満足度高く体験されていたのかなと感じたのと、時差の関係で米国は深夜であり、一人がやたらあくびしていたのが気になりました(笑)

7.雑感(現状の課題・今後の展望)

・時差の問題 →リアルの時には全く考慮する必要のなかった事象に対しての検討が必要。ゲスト目線だと、早朝のワイン講座や深夜のコーヒーレッスンなど受けたくない。また、ホスト目線だとターゲット国を明確に定めて営業時間を運用しないと、待機時間ロスが生まれるかもしれない。

・体験の内容 →観光文脈とは離れたコンテンツも点在しており、オンライン上で受ける体験が何なのか検証が必要。現状だと、Airbnbが提供し続ける必要性は無いかもしれない。

・インタラクティブ性 →Youtubeなどに動画をアップするのと差別化するためには、双方向性が重要と考えている。Zoomを活用することは、Youtubeアーカイブともライブ配信プラットフォームとも違う。Host to guest のコミュニケーションだけでなく、Guest to Guest のコミュを作り上げるホストの力が必要になってくると思う。

・収益性 →リアルと同じことを提供しても単価を上げづらいのがオンラインサービスの実情。今までリアルで提供して1体験1万円のものがオンラインだと数分の一になり、拘束時間はそこまで変わらない。Netflixなどと違い、1体験ごとに大きな原価が都度発生する(ホストの拘束時間・準備など)ビジネスモデルになるため、単価を如何にして上げていくかが重要なポイント。個人的には、体験提供以外の付加価値を与える(今考えている)と一回あたりの参加人数を増やす(オンラインだからある意味無制限)あたりは取り組むべき事項かと。

・Airbnbの今後 →しばらくはこのサービスぐらいしか伸びしろが無いと思うので、サービスを強化していく場合の方向性として、サブスクモデルが出るかもしれないと思っている。月額5千円で体験し放題とか。Netflixなどのデジタルコンテンツと違い、Airbnbとしての仕入れが発生し、ホストが常に稼働するビジネスモデルなので、サブスクに耐えられる構造に如何にして仕上げるかが課題

8.最後に

前回のnoteを書いてからコロナの蔓延状況は悪化の一途をたどり、1年後2年後でも元の状態に戻らないのではと言われています。(実際、自分もそう思っています) 

少なくともインバウンドについては、全世界鎖国状態が開放されない限り、外国人が日本に訪れることは無いため、その期間が1年なのか2年はたまた5年なのか、もしかすると旅行というそのものが無くなるかもしれないということも想定して、デジタルでのインバウンド観光業を如何にして作り上げるかということにトライするタイミングかもしれないと思っています。VRなんかもしかり。

このタイミングだからこそ色々トライすべきかと思うので、本noteを読んで興味をもった観光体験事業者の方は、まずはこちらからトライしてみましょう (エアビーの関係者ではないのでステマではありませんww)

また、日本各地にいる多くの体験事業者の方にこの情報が届けばと思いますので、このnoteをSNSなどでぜひシェア頂けると嬉しいです!

我々もAirbnbに負けず新しいサービスを検討していきたいと思います!

最後まで読んで頂きありがとうございました!!

Twitterではnoteよりも更新頻度多くインバウンドのことなどを気軽につぶやいていますのでぜひフォローください!


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