"contempt of Congress" (議会侮辱罪) of が「〜を」を表すとき
最近の New York Times の速報に、トランプ政権の顧問の一人が、議会からの召喚に応じなかった罪で起訴されたというニュースがあった。
この罪は<議会侮辱罪 contempt of Congress>と呼ばれる。
この表現は contemn Congress (議会を侮辱する)という意味関係をあらわしており、 of は日本語の「〜を」にあたる役割を果たしている。
これを「議会の侮辱」と理解すると、「議会が誰かを侮辱すること」と誤解しかねない。
辞書には他にも、the love of nature(自然を愛する心情), the fear of God(神を畏れる気持ち), an exchange of ideas(意見を交換すること), the education of the young (青少年を教育すること)といった例が載っている(ランダムハウス英和大辞典)。
英語の of はいろいろな意味があってやっかいだが、一般に of は<起源>を表すと思えば、うまく理解できる。
contempt of Congress の場合、原意は< Congress(議会)に起源があるcontempt (侮辱的な行為)>といったことであり、そこからしぼって、<議会を侮辱する行為>という意味で使われる。
なお、ドイツ語の二格は英語の of に似て日本語の「〜の」にあたることが多いが、ときに二格が「〜を」にあたる意味関係を表すことがあり、これをドイツ語文法では「二格目的語」と呼んでいる。例: die Produktion der Individuen (諸個人を創造すること。K. Marx, Grundrisse より)
最後に、この速報記事の見出しを引用しておく。
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