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【続き】noteを始めた理由:障がい者の世界に変化をうみたい

以前、noteに、私がnoteを始めた理由を投稿しました。そこで、障がい者の世界に変化をもたらすような繋がりを作りたいという話を書きました。たまたま読まれた方が私とインスタグラムで繋がっている同じ障害を持った方で、DMでご連絡をいただきました。その方は、今クールのドラマ「恋です!ヤンキー君と白杖ガール」を見て、白杖を持つことを決意して、先月から白杖生活をスタートされたとのこと。私の記事で書いた視覚障害者は変化に弱いという点に共感していますとご連絡を頂きました。

白杖を使いはじめた報告見かける頻度が増えました

視覚障害者が白杖を使い始める時の最大の障壁は、周囲の目線。「白杖=全盲」といった固定観念もあり、白杖を持つことに二の足を踏む方が多いと感じています(私も最初そういった固定観念を持たれている方から白杖使ってる人がスマホ見てるなどの目線で見られることもありました)。
しかし、「恋です!ヤンキー君と白杖ガール」で色々な視覚障害者の見え方が紹介され、そういった固定観念を持った人が減ったように私も肌で感じています。ドラマのストーリーも重なり、白杖を持つことに背中を押された方が多くいるのかと思います。ソーシャルメディアでも白杖を持ちはじめたと言う方結構見かけます。

白杖での学び方はひとそれぞれ

白杖の購入には一定以上の視覚障害を持っている場合、自治体より購入の補助金が出ます。「補装具申請通ったから、受け取ってきた!」やや、「とりあえず1本買ってみた!」といった白杖デビュー投稿は多く見かけます。一方で、白杖の歩き方を勉強してきたという方はソーシャルメディアを見ていても非常に少ないです。多くの方は購入時に少し教えていただいたや自己流で持ってみたという人も多いと思います。
私自身も、最初に白杖を買った直後に、短時間の白杖歩行訓練の体験を受けました。学んだのは本当の基礎だけ。
その後、夜や混雑した場所で使っていましたが、本当に正しい歩き方ができているのか不安に感じることも多くありました。
日中も白杖で歩き出すタイミングに合わせ、昨年5〜6回ほどかけて歩行訓練を受け、白杖の歩き方を学びました。持ち方、安全な歩き方、目印の探し方など。今安全に歩けているのは白杖の歩き方の基礎を一度勉強しているからです。
まずは最初の1日で白杖の歩き方の基礎を学びました。その後階段の降り方や目印の見つけ方、歩道の安全な歩き方を学びました。それ以降は色々な街に出て、街の歩き方などを学びました。
多くの方が、こういった学びができていないと、本当に安全に歩けているのか、間違えた持ち方で歩いていないか・・・とても心配になってしまっています。

歩行訓練を受けた後、私は転落事故を起こしました

そんな私も歩行訓練を終えてから半年ほど時間の経った今年5月に転落事故を起こしました。
白杖の歩行に慣れてきていたこともあり、慣れから少し適当に歩いてしまい、歩道橋の踊り場で段差を見つけられず、歩道橋の階段から転落をしてしまいました。大怪我をしてしまい、膝上までギプスをつけてしばらく歩けない生活を強いられていました。視覚障害がある場合、ギプスが付いていれば松葉杖が必要、白杖が使えずになってしまい、結局、ギプスが外れるまでの間、外出すらままならない状況になってしまいました。視覚障害者にとって、怪我をすることは、松葉杖不便とかではすまない、とても大きな問題になってしまうものなのです。

数週間にわたり1日中同じ場所に座って固定された足を
眺めている生活を送っていました。

転落をした原因は、白杖の持ち方。本来おへその高さに白杖を構えるのを基本姿勢として路面状態や歩く速度で構える高さを変えて歩きます。例えば、歩く速さを上げるのであればすこし低めに構えて、白杖で探知できる距離を長めにするようにします。白杖は、歩く2歩先を探知して障害物にぶつかれば止まるというのが基本動作なので、歩く速度が速くなった場合、白杖の先までの距離を長く取り、確実に止まれるようにします。一方で低めに構えると、杖先から得られる情報が減るため、何かを見落とすリスクも上がります。逆に、混雑しているところでは短めに持ち、踏まれないように確実にゆっくり歩くようにしたり。音や限られた視覚の情報で状況判断をしながら歩くため、かなり疲れてしまいます。慣れてくるうちに、慣れた道であれば、そこまで白杖からの情報なくても大丈夫と思うようになり、結果として低めに構え過ぎてしまったため、階段の段差に気づかず、歩道橋の階段から転落をしました。
そんな経験があるからこそ、ドラマに勇気づけられて白杖を持つ人が増えた今の状況に必ずしも喜べない自分自身がいます。

障害と正しく向き合うための情報が不足している

Googleで「白杖 購入」について調べてみてください。検索結果を見ても、どこで買えるのかすら情報が整理されていないかと思います。仮に、近くで買えるところが見つかったとしても、歩き方はどうやって学ぶべきかなど、そういった情報もかなり不足しています。私が白杖の歩行訓練を受けられたのは、自治体で発行している「障がい者のしおり」という冊子を頼りに色々問い合わせを行ったからです。視覚で情報を得るのが苦手な中で、必要な情報を手に入れることにとても難儀をしました。

自分にベストマッチな白杖を探すのもとても大変で、それぞれ見え方やニーズも異なることから誰かにおすすめを教えてもらうというよりは、自分で歩きながらベストな白杖を探す必要があります。
私自身、ベストマッチな白杖探しの中で一番苦労したのは、杖先の石突と言われる部分の選択です。そもそも、最初に白杖を手にした時は、石突にも色々な種類があることを知らず、スタンダードなものを購入しました。最初に基礎を学んだ時に、パームチップと呼ばれる石突の方が良いと教えてもらい、それで歩行体験をしました。パームチップの特徴は、普通の石突だと路面状況が悪いところで路面に引っかかるのですが、パームチップは引っかかりにくく、歩きやすい。一方で路面からの情報を見落とす可能性があるそんな石突です。私は、パームチップを愛用していますが、一方で、5月の転落事故の教訓で、ローラーチップの石突の白杖を購入しました。パームチップに比べて路面からの情報量が多いとのこと。購入したセンターで最初室内で試した時は、パームチップよりもフィット感があると思い購入しました。しかし、いざ路上で歩いてみると、近所の路面の荒れたところで情報量が多過ぎて歩くのに疲れてしまいました。
また、杖のメーカーも実は、私は今の白杖で3社目です。各社でグリップの形状や重さが異なります。グリップの微妙な太さの違いで、白杖の振り幅が変わったり、重さの違いで手首への負担が変わります。私が今使っている瀬川ケーンは、今までで一番グリップが細く軽いです。軽く細いため白杖から得られる情報は減りますが、一方で距離を歩く私には、軽く細いセガワケーンがベストでした。そもそも、白杖を販売している福祉施設も全てのメーカーを取り扱っている訳ではないので、こういった情報が整理されていることはなく、自分で調べる以外に正しい情報を得る手段はありませんでした。

写真の上側がパームチップ、下側がローラーチップです。
パームチップは幅が広くいろいろな角度に動くので、
引っかかることがとても少ないです。
ローラーチップは先が細いので溝にハマってしまうことも。

視覚障害に関わらずですが、障がい者と一括りにしても症状は様々。視覚障がい者の見え方で同じ見え方をする人は他には誰一人もいないと思います。だからこそ、それぞれの人に合った正しい情報を発信することはとても難しいです。
一方で、白杖の石突の特徴をしっかり理解、納得の上、白杖デビューをしている人がどれだけいるのか・・・多分相当少ないと思います。同じく、正しい白杖の持ち方を知って白杖デビューをしている人がどれくらいいるかも同じように疑問です。

障がい者の世界に変化をうむ方法

人それぞれ正しい答えは違っても、知っておくべき基本情報は一緒ではないかと思います。
私が目指したい障がい者の世界に変化をうむ方法のヒントはここにあるのではないかと思います。それは正しい情報を得られるように情報を整理すること。正しい情報を元に、障がい者と生きていくことができれば、より楽に生きることができるのではないかと思います。
個人的な感想ではなく、事実をきちんと伝えること。そういったメディアを作っていけないかと考えています。

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