自分を「売る」(エッセイ)
養成所に通っていたとき、「自己プロデュース」という言葉をよく聞かされた。それは自分自身を受け入れられやすい形に成形することで、つまり自分を「売る」ということだ。社会に出ていくためには、自分を抽象的で交換可能な価値に変換しなくてはならない。だから、「すべての労働は売春である」。
家で他人と喋らずに過ごしていたら、声量が出なくなってしまった。落語にも身が入らない。何もしていないと、何にもできない人間になってしまったような感じがしてくる。最近の私は、大人になれ、と急き立てる私と、そのままでいいよ、と自らを慰める私がせめぎあっている。そうして、不埒でまとまりのないnoteを書く羽目になる。