桜盆栽

平成は言われているほど悪くなかったが

平成は平静だった、との感想があるようですが、それはないでしょう。国内では、バブル崩壊、おぞましく正視に耐えなかった幼児誘拐殺人事件、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件、金融危機、ネットバブルと崩壊、リーマン危機、東日本大震災、大きな台風被害、日中関係の悪化、またグローバルにも中東情勢の混迷、世界的な人権軽視、欧州の混乱、ロシアのクリミア併合、北朝鮮の核、米国の内向き志向等々、激動と動揺の連続でした。それらがまだ続いています。百年前なら大規模な戦争が長引いても不思議ではなかった。

なんだかんだで、人類は少しずつ賢くなっているんだ、と信じたい。そんな視点で見ると、平成は平静ではなかったが、何とか乗り切った、というところでしょうか。

私自身の半生は、昭和と平成がほぼ半分ずつです。で、どちらが楽しかったか、前向きだったか、と聞かれたら文句なく昭和。

まず、自分自身が若かった、まあ、年齢的に夢を見ることができる時期だった、これが最大の理由かもしれません。

でも、若い時期を辛く過ごす世代も存在するわけで、個人的なライフサイクルを除外しても、昭和後期は希望にあふれた時代でした。

私の小学校時代は給食。それも語り草になるほど不味かった。スカスカのコッペパンに少量のおかず(らしきもの)、そして圧巻がアルマイトの器に注がれる脱脂粉乳でした。

家での食事の前には、必ず父か母先導で「農家の皆さん有難う」と言ってからお箸に手を付けたものでした。

学校では、歳末助け合い、ベルマークの収集、台風などへの被災地への衣服や寝具の寄贈などが、ほとんど月一で実施されていたような記憶があります。昭和のSDGs !

要は、まだまだ貧しかったわけですね、日本が。たまに海外に仕事に出かける近所のおじさんは「Made in Japanってのは、安かろう、良かろうの評価を受けている。でもフランスの大統領は、日本の総理大臣をつかまえて、トランジスタのセールスマンだ、なんて言いやがって」と語っていました。

高度成長まっしぐら、来年は確実に今年より給料は上がる、2,3年中にマイカーも変える、住宅金融公庫のおかげでマイホームも建つ。常に昨日よりも今日、今日よりも明日がベター、という時代。だからオリンピックも万博も、気合の入り方が昨今とは全然違った。

やがてバブル崩壊、平成到来でしたね。経済成長は鈍化、低迷し、教育はゆとりだへちまだ、とダッチロールを始め、物価も給料も金利も上がらない、長い長いデフレ時代が続きました。この時代は冒頭記したように、なかなかの疾風怒濤時代でした。

では、昭和と比べて平成は何が違ったのか。やはり一人ひとりの成功体験が少なくなる一方で、同時に明日も明後日も太陽は必ず上る、みたいな思い込みが強くなってしまった時代ではなかったか。

政府も企業も躍起になって「成長だ!」「ベンチャーだ!」「産業技術革新だ!」と叫び続け、様々な対策を講じてきましたが、正直、皆が乗ってこなかった。そんな時代風景が浮かびます。

その一番の犠牲者?が団塊ジュニア。現在40代後半くらいで、日本社会の屋台骨の方々ですよね。

ということは、団塊ジュニア世代が本気で元気を取り戻し、もっと前向きに、いや、少々乱暴なくらいの冒険心を持ってくれることが、新元号の時代を前向きに、夢多く生きていけるような気がしています。

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