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連作短歌「秒針」

君がふと喩えたときの言い方がずっと残って僕の眼にある

散るために咲くん?(咲くために散るんやで)まだつぼみやな(ほらこっちにも)

陽だまりと旅の疲れが相俟って〈しんしましま〉で途方に暮れる

憶えるとノスタルジーがにじみます 忘れるとポエジーがめばえます

砂浜で遊ぶこどもたちが笑う走っていって遠くでも笑う

ほんとうに記憶とは不思議なもので深田恭子のマイクの持ち方

みみたぶはふしぎなかたち らいおんとしらないきせつをあるいてみたい

「茶色より黄色のほうが春っぽい」君の選んだスニーカー軽し

薫風のあわき残り香奪いゆく そうか、はじまりおわりはじまり

からふるな風の吹き込む窓ぎわに秒針のおと歪まずに鳴る

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