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連作短歌

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ふだんの短歌です
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2020年4月の記事一覧

連作短歌「差異」

変なこと言わないでくれ僕たちはもともとずっとひとりじゃないか マンションの階まちがっていつもとはおんなじだけど違う見晴らし 昨日まで花水木ってどんなのかわかってなかった今日からは違う

連作短歌「ちくわ」

なんでちくわそのまんまでたべてるの? いっこちょうだい ちくわちくわ KIRIMIちゃん. かわいい 新自由主義のさなかに起こったエラーみたいで 言われると気にしちゃうからもうちょっと近づいてから教えてほしい

連作短歌「ぼくら」

何かやらなきゃというのは錯覚でほんとは何もしなくてもいい 写真から溢れる色の意味不明 ぎりぎり判る犬の輪郭 燃え上がるようにと書けば燃え上がるように終わったぼくらの五月

連作短歌「ココア」

全員で百円ずつを出しあって一万円の会計をする ココアという品種のひまわり咲いていて終わっていたといまさら気づく 左でも右でもぼくは後ろから背中を押すことしかできないよ

連作短歌「なみだは宙に浮かぶものだし」

信じるってなんだろ 視力のいい人はめっちゃ星空みえてるらしい 中学の修学旅行の広島ですれちがってたかもしれないね 信じたいことだけ信じていられるよ なみだは宙に浮かぶものだし

連作短歌「なみだは床に落ちるものだし」

部屋の中なのに着ぶくれてる君はおっきいプリンも一瞬で食う 現実と理想 映画はどちらかといえば理想の側にあるのね 終わるなら自分で壊してみたかった なみだは床に落ちるものだし

連作短歌「恋に恋」

恋に恋しているのでは?  次にそれ言ったら怒るからね やっぱり 雷が鳴るといっしゅん思い出す元彼か元々彼の声 そう 彼も暫定一位でしかなく 未来があるってそういうことで

連作短歌「来て見て触れて」

この距離は君の距離でも僕の距離でもない 伸ばすよ 光った 触れて においとか体のあたたかさとかを感じたいからねえここに来て 眼球に光が入り、君らしき像を結んで、やっと逢えたね

連作短歌「同床同夢」

気が合ってどうしようかな、とりあえず、結婚しよう結婚しよう ひとつだけお願いしたいことがある 比喩じゃなくずっと近くに居て 長いって怖い なんでもそうかなあ ずっとおんなじ夢みれるかなあ

連作短歌「異床同夢」

遠くにあるものは遠くにあるように見える そういうことが悲しい いつまでもぴったり一緒がいいなんて言ってちゃほんとなんにもないよ? ジャングルの焚火の炎きれいだね 離れたところでみる同じ夢